いただきもの

キャラクターレビュー

キャラクターレビュー/喜の章(伊達サクット様より)

伊達サクット様から頂いたキャラクターレビューをこちらに掲載します(ご本人様のご承諾は得ております)

十年ほど前、別所で掲載しているときからとても丁寧に拙作を読んでくださっている方です。


伊達サクット様著『やるせなき脱力神』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054934775296


キャラクター一人一人に向き合って書いてくださり、感謝が尽きません。ありがとうございます。


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「喜の章」

キャラクターレビュー


色々とほのめかすだけでネタバレはしてないつもりです。

……嘘ですごめんなさい。ちょっとネタバレしてます。

このレビューを見た方がこの物語を手に取って、先を読み進めたくなるようなネタバレを少しだけスパイスに。

そういうのが苦手な方はスルー推奨です。


多少作者様のブログ知識あり。


ここから先、キャラクターごとに焦点を当てたレビューとなります。

敬語でなくなること、誠に恐縮ですが、何卒ご容赦願います。



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<喜の章 CAST(ウソ)>


ランテ


ルノア


セト

ユウラ

テイト


アージェ

リイザ


ダーフ / マーイ

イッチェ / レナ

ロア / スン

神僕女 / 酒場の男

キリス / ユイカ(五年前・回想)/ イッチェに斬られた兵士C

白獣(腕)/ 黒獣(大)/ 黒獣(雑魚)


フィレネ

ノナタ


ジェノ(友情出演)


酒場の店主 / ジェノ青年期(三十年前・回想)/ イッチェに斬られた兵士A

イッチェに斬られた兵士B / イッチェに斬られた兵士D / イッチェに斬られた兵士E / 地下牢へ案内した兵士

ジェノ部下呪使いA / ジェノ部下呪使いB / ジェノ部下呪使いC / ジェノ部下呪使いD / ジェノ部下呪使いE

ハリアルを呼びに行った兵士 / 呪に免疫がない奴A / 呪に免疫がない奴B / 衛兵 / 見張りの兵 / 警備兵


劇団エアランテ / 使呪的演武集団 / ストテラ芸能社 / 北支部兵のみなさん / 中央洗礼兵のみなさん

ルテル剣友会 / ラフェンティアルン・スタント・クラブ / エルティのみなさん


ハリアル


ベイデルハルク



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こうして登場人物の全体像を見ていると、主人公のランテ、ヒロインのルノア、メインキャラ(=パーティメンバー)のセト、ユウラ、テイト、NPCのアージェ、リイザ、ダーフ、マーイ、肝っ玉母さんのノナタ、上司のハリアル、おそらくラスボス格であろうベイデルハルク、一通り主要な役者は出揃っている。

主人公が記憶喪失で、ルノアは謎だらけということもあり、当面の間はセトが物語を牽引していくことになる。

フィレネのような、主人公の過去について重要な鍵を握っていると思われる、伏線を敷いたキャラも登場しており、今後どうなっていくのか気になるところ。




<ランテ>

主人公。

記憶喪失のため、この世界のことが全然分からず、ひとまず読者と同じ傍観者視点に立ち、この世界のことを色々と聞き知るところから始まる。

元々は相当剣の腕が立つと思われるが、なにしろ記憶がないため、戦闘技術も吹っ飛んでしまっており、仲間の足手まといにならないよう必死な状況。

セトとユウラに食われてイマイチ存在感が薄くなっているが、こればっかりは物語の構造上どうしようもない。状況・環境的に活躍のしようがない。

しかし、喜の章は終始ランテの視点に内在して物語が進行していくため、読者と同化する、いわゆるドラクエ型主人公としての務めはしっかり果たしている。

フィレネの証言による黒獣との戦いでの無双っぷり、ベイデルハルクとの戦いで【光速】を使ってみせたこと、呪に謎の耐性があるなど、只者でない片鱗が序盤から見え隠れしている点は注目である。

今後の成長に期待。っていうか主人公なんだからしてくれないと困る。

最近の人気が出る風潮のラノベではとにかく初っ端でフルスロットルでインパクト残さないと駄目だろうから、こういうスロースターター主人公は活躍させ辛いよね。王道なのに!


<ルノア>

ヒロイン。

意味が分からんくらい美しいらしい。イメージカラーは紫で高貴な感じにまとめてある。まあ実際高貴な人なんだけど(ネタバレ)。

幻想的な規模の超常現象をいとも簡単に起こす程の力を秘めており、どうも光呪と闇呪を同時に使えている節がある。でもそんな芸当ができる奴、普通いるか? テイト先生もビックリでしょ。

とにかく謎だらけで発言内容も抽象的。ルノア絡みでこの喜の章でハッキリしてるのは、

・なんだかよく分からんがルノアはランテを大切に思っている。どうあってもランテを危険から遠ざけたい。

・ベイデルハルク(以下ベイデル)から妻と呼ばれている。ルノア曰く「あなたを夫と思ったことは一度もないわ」とのこと。

・ランテはベイデルを見るとなぜか無性に憎悪がわく。ベイデルはランテを永遠に殺し続けたい。いや、正確に言うと何百年も前にいたランテによく似た人らしいんだけどね。

……あれ、割と序盤にして、主要キャラの人間関係の根幹は描写されてるんじゃね?


<セト>

この「Hearts」及び「Rehearts」における、初期ステータスの主人公より格上の、カッコいい兄貴分ポジであり、準主人公格に相当するキャラ。

少年漫画とかでも人気投票で主人公より人気出ることが多いポジション。

ランテが記憶喪失で右も左も分からない状態の上、戦闘技術も頭から吹っ飛んでしまっており、ルノアもヒロインであるがメイン(パーティー)メンバーではないという難しい位置付けの上謎だらけなため、否応なしにストーリーを回す役割がセトの肩にかかってくる。

序盤は完全に彼とユウラが主人公を食った活躍を見せており、まだしばらくはこの状態が続くことになる。カクヨムの他の読者様のコメントでもセトに関するコメントが多い。ストテラ時代からそうだった。

何でも自分でやりたがり、事実何でもできてしまう人。超ハードワークで、作者様のブログを拝読する限り、倒れない限り休まないらしい。あと謹慎食らったとき。

そして、凄いのもう設定が。設定が凄いのよもう。作者様の好きな要素を盛りに盛ったことで色々背負うものが大きくなってしまった人。

とにかく自分の優先順位が低く、他者を優先する。配慮と気配りと自己犠牲の権化のような男。

ユウラとの関係については鈍感になるけど、こんな鋭敏で駆け引き上手なセトが女性にことに関してだけ鈍感になるはずないから、フリなんでしょうね。

上手にはぐらかし、かわしてるんでしょうよ。風のように。さっさと自分を滅ぼしたくって仕方がないんだろうから。彼自身の生い立ちの問題とか、色々事情があるんでしょうが(ネタバレ)。

自分で認識している自分の価値の低さと、周囲からどれだけ慕われて、信頼を寄せられ、価値ある希少な人材だと思われているか。

その自己評価と他者の評価のあまりにも極端なギャップは、ゆくゆく悲劇を呼び起こすような気がしてならない。

だって周囲から大切に思われれば思われるほど、セト自身は辛いっしょ?

驚くべきは19歳という年齢(この世界の一年は400日あるらしいから、こっちの世界に換算すると21歳くらいなのかもしれないが)で、多くの読者が彼の年齢を知ってその若さに驚愕する。

ストテラ時代読者様もそうだったような気がするけど、大体の人が20代前半~半ばぐらいを読んでいてイメージしていたように思える。

このインパクトを引き出せるなら、若すぎる年齢設定もセトの魅力であり、結果的に成功だったのではと思料する。

うん、ランテよりレビューの文章長くなっちゃったね。憎い男だ。


<ユウラ>

このレビューの筆者が一番好きなキャラクター。応援してます。

ルノアと違い、メインキャラの中に組み込まれている、サブヒロイン的なポジション。

ランテを門の向こうへ放り投げる辺りとか、性格悪く見えるかもしれないけどやむにやまれぬ事情があって、彼女自身も余裕がないので許してあげてほしい。

ランテのピンチに駆けつけて、兵士五人を一瞬で切り伏せる程の実力を持つイッチェを、脚に怪我したぐらいのダメージで撃退する。凄くかっこよくないですか?

読者の皆様は、この小説のタグに「恋愛」があるのにお気づきだろうか。

セトとユウラの関係性が今後どうなっていくのかも「Rehearts」の見どころの一つ。

この先セトとユウラには読者にとっても辛い試練が待ち受けている。備えよう。


<テイト>

メインキャラ四天王、最後の一人。

呪のエキスパート。基本的に呪関係のことならとりあえずこの人で間違いない。

他三人より年上で、縁の下の力持ち的存在。明言はされてないが、作者様の設定集などの情報を見る限り、呪使いとしては北支部随一だろう。

柔和な人。セトのように、見ていて辛くなってくるような要素がない、ほんとに柔らかい、大人な人。但し呪に関しては厳しい。

セトは言わずもがなだけど、この人も死んだら北支部の損失かなり大きくない?

序盤から生死の境さまよってたけど生きててよかった。


<ハリアル>

この人もカッコいい。こういう有能な指揮官、描写がホント難しいですよね。

どういう書き方がいいのか、どういう采配をさせれば優秀な指揮官ぶりを見せられるのか、自分も答えが見つかりません。

無能なのだったらいくらでも書けるんですけどね。


<ノナタ>

北支部のお母さん的存在。セトと並んで他者に対する配慮と気配りの塊のような人。

セトがノナタに多めの宿賃渡して、ノナタはランテに「銀貨一枚と銅貨三枚」を渡すという、言葉交わさぬ『配慮合戦』は喜の章のハイライトの一つ。

少なくともこのレビューの筆者はノナタのようなキャラは絶対書けない。If様のお人柄が滲み出ている。

強制的にでもセトやランテを休ませようとするけど、多分、今までノナタさんのご飯を美味しい美味しいって食べてた北支部の兵士達が戦死して戻ってくるところも見てきたんだよ。

いや、筆者が勝手にそう思ってるだけだけど。そう思うとちょっとノナタさんが切なく見えてきませんか?


<アージェ>

北支部随一のパワー。

あまり本編では語られてないけど、作者様の設定を拝読するに、セトと双璧の黒獣退治の要となる存在。

セト達メインキャラがずっと支部を空けてるとしたら、セトの代わりにこの人が過労死するんじゃないか。

脳筋っぽく振る舞ってるけど、これ絶対バトルでは頭の回転速くて機転が利くタイプでしょ。


<リイザ>

アージェとセットでよく出てくる。奔放で男好きなようだが、なぜだかあまりセクシーな感じがしない。


<ダーフ>

名脇役。いい人。北支部は良い人ばかり。


<マーイ>

出番は少ないけど、ネガティブで負のオーラが漂っているため印象が強い。

でも癒し手だから、こう見えて超希少な人材ですよ。


<イッチェ>

中央のスパイ……。から更にまたどんでん返し仕込んでたりするんだよなぁ……。

読者の皆様は是非この先も読み続けて頂きたい。

っていうか、エルティの門に入ってダーフに呼ばれるまでホント存在感ないよねアンタ。


<フィレネ>

おそらく今のところ、旧「Hearts」と「Rehearts」で最も差異のあるキャラクター。

「Hearts」での、ランテに対しての恋愛感情が丸々オミットされている。これ地味に重要な改変じゃない? どうも読んでておかしいと思ったら……。

本編ではなかなかフィレネの出番を挟めるタイミングがないのと、ランテはルノアとの関係一本に絞って、話の筋を整理するための措置だろうか?

興味のある方は、是非なろうとカクヨムの「仮初の安息」を読み比べて頂きたい。


<ジェノ>

物語の最初の敵役、十分に全うしてお疲れ様でした。程よく嫌な奴で、無能そうだと思いきや、意外な切り札もあり。良い敵役。

読者の方々にイジられることが多いけど、ルノアの護送を担当していたり、与えられた任務の重要性を鑑みると、中央からはそこそこ評価されていたんじゃないかと推察する。


<ベイデルハルク>

こんな初っ端からこんなラスボスみたいなのが相手ってアリ!?

でもルノアが助けに入ることでバランス取れてるか。個人的な偏見だけど、序盤からラスボスが絡んでくる作品は話の筋がブレなくて名作であることが多い。

いやラスボスかどうかは分からんが、ここまでの威厳と風格、ラスボス格なのは間違いあるまい。ベイデルより上とかいても困る。それも見たいけど。


<ロア&スン>

酒場でランテが見かけたカップルのこと。ここではまだ名前は出てこない。怒の章で重要な情報をもたらすキャラなので覚えておこう。


<レナ>

謎の北支部下っ端モブ兵士「まぁまぁお姉さん、気持ちは分かるけど、そう無茶言いなさんな。恨むなら中央ですぜ」


<キリス>

あらあら。お気の毒に。


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このような具合に魅力的なキャラクター達が織り成す王道ファンタジーです!

皆様も、彼らの物語の行く末を追ってみてはいかがでしょうか?

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