キャラクターレビュー/怒の章(伊達サクット様より)

伊達サクット様から頂いたキャラクターレビューをこちらに掲載します(ご本人様のご承諾は得ております)

十年ほど前、別所で掲載しているときからとても丁寧に拙作を読んでくださっている方です。


伊達サクット様著『やるせなき脱力神』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054934775296


キャラクター一人一人に向き合って書いてくださり、感謝が尽きません。ありがとうございます。

レビュー欄では文字数がオーバーしてしまうということで、こちらに掲載する運びとなりました。


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「怒の章」

キャラクターレビュー


怒の章からのレビューになりますので、ネタバレの塊となっています。

そのためこれから読む方、怒の章を読み終わっていない方はスルー推奨です(未読の方非推奨とか、じゃあ何のためのレビューなんだよ!)。

また、都合上、若干哀の章のことも混ざっていること、予めご了承願います。

い、いや、そういう作品そのもののレビューは、すでに他の方達が素晴らしいものを投稿してくださっているので、ここではキャラごとにレビューしたいな、なんて……。

あ、あと、ネタバレ上等な方とかは雰囲気で面白そうだと思ってくれて、この作品を手に取ってくだされば幸いです……。


多少作者様のブログ知識あり。

本来本編の描写のみで語るべきですが、もう本編で語っていることかそうでないか境界線が曖昧になっている部分があり、何卒ご容赦ください。


ここから先、キャラクターごとに焦点を当てたレビューとなります。

いきなりネタバレが目に飛びこんでくることの防止のために、キャスト表をつけておきます。


ここから先、敬語でなくなること、またキャラクターによっては結構辛辣な評論があること、誠に恐縮ですが、白女神ルテルアーノ様と大聖者ベイデルハルク様(以下ベイデル)の深いご慈悲にて、何卒ご容赦願います。



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<怒の章 CAST(ウソ)>


ランテ


ルノア


セト

ユウラ

テイト


デリヤ

ナバ

アージェ


リエタ


ダーフ / イッチェ

ベラーラ / ディオン

クスター / 中級司令官

ロア / スン

ニーナ / ユリユ(回想)

ゴダ / 叛く者の老婆

ノア / ネーテ

槍使いの兵士 / ワグレ宿舎先輩兵 / ゴダ護衛兵

エルダ / ステラ / ナバの兄(回想)/ ベラーラ盗賊団員A


フィレネ

サード

メイラ

カゼッタ


中央傭兵A / 中央傭兵B / 中央傭兵C 

ワグレ宿舎後輩兵 / ウェテ / ヨーダの少年 / クルト(回想)

負傷兵A / 負傷兵B / 酒場のウェーター / 黒獣(六つ足)

ネーテの父 / 司A / 司B / ランテと対峙した指令役の呪使い

リュブレ村長 / リュブレ駐在兵 / レベリア門番 / 中央傭兵の目付け役の洗礼兵 / デリヤの母上(回想)

ベラーラ盗賊団員B / ベラーラ盗賊団員C / ベラーラ盗賊団員D / ベラーラ盗賊団員E / ベラーラ盗賊団員F


劇団エアランテ / 使呪的演武集団 / 黒映プロ / 白女神プロ / ストテラ芸能社

精霊劇団 / 劇団北俳 / ルテル剣友会 / エルティ子役劇団 / 黒獣牧場 / カクヨムエキストラ事務所


オルジェ

レクシス

白獣(モナーダ)


叛く者の弓使い / 黒獣(阿修羅)/ 黒獣(門チェック)/ 黒獣(大)/ 黒獣(デリヤ)

ランテに蹴っ飛ばされた洗礼兵 / ユウラに殴られた指令役の呪使い / 以前の怪我も治してもらっていない洗礼兵 / ニーナの隣で死んだ南支部兵(回想)/ 黒獣(ノンタス郊外・回想)

セーラ / 肉壁洗礼兵A / 肉壁洗礼兵B / 門を出入りする者A / 門を出入りする者B

ワグレ宿舎門番A / ワグレ宿舎門番B / ワグレ宿舎門番C / 白獣(クスター)/ セトに救援要請した兵士 / セトが初めて激戦区に派遣されたとき助けられなかった先輩兵(回想)

アンセム(回想)/ ベラール(回想)/ イサ(回想)/ フィン(回想)/ ティア(回想)/ オリバー(回想)/ シリア(回想)

肉壁洗礼兵C / 肉壁洗礼兵D / 肉壁洗礼兵E / 肉壁洗礼兵F / ネリドル / 肉壁洗礼兵G / 肉壁洗礼兵H


北支部兵のみなさん / 東支部兵のみなさん / 中央洗礼兵のみなさん / 中央呪使いのみなさん / 西支部兵のみなさん

エルティのみなさん / レベリアのみなさん / スフィリーナのみなさん / ワグレのみなさん(幻影)/ ヨーダのみなさん 

リュブレのみなさん / ケルム負傷兵のみなさん / 『守る』存在のみなさん / 叛く者のみなさん


イベット

モナーダ

クレイド


ハリアル


ベイデルハルク



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<ランテ>

 記憶を失って、自分が何者なのかも、どういう力があるのか、どういう価値があり、どう役に立てるのかが分からないまま、周囲の人間が自分を次々にかばって傷ついていくのは辛かろう。

 ルノアもセトもランテをどんな手段を用いても危険から遠ざけようとするが、正直ランテにとってその優しさは呪いと表現しても過言ではない。

 そんな風に庇われて「あー危険な目に遭わずに済む平穏に暮らせるよかったなー」なんて思うほど、ランテは精神的に弱い人間ではない。作者様が言うように、メンタルは作中で一、二を争うほど強いのだ。

 ただ、個人的には、ルノアとセトとユウラとテイトの死を背負ったランテも見てみたいけど。守られて守られて、何も知らされず蚊帳の外に置かれ、徹底的に守られて、仲間が全員自分を庇って死んで、巻き込む恐れがある者達が誰もいなくなってしまえば、もう制御不能な自分の内なる力を恐れる必要もない。

 巻き込まないよう気を使う者が誰もいなくなってしまえば、いい具合に問題が単純化され、ベイデルを殺すこと意外考えなくて済むだろう。ストテラ掲載時から何周か読み直してるが、それで絶望して抗う気力をなくすほどメンタル弱いとも思えない。

 自分を守って死んでいった者達の声が「犬死にはさせられない」という究極の枷と呪いになって肩にのしかかってくるだろうし。


 なお、この怒の章では、読む限り、バトルではちょっと看過できないミスを二点犯している。

 1.「決着と」において、白獣と戦っているユウラを援護しようと慣れていない【光速】を使い、無防備で白獣の前に飛び出て却ってユウラも危険に晒す

 2.「希望」において、中央の兵達を投降させた後にテイトを呼ぶが、その時点で敵に対する警戒を完全に解いて先へ進もうとしてテイトや敵から目を放し、その結果投降した敵がテイトを殺そうとし、敵のど真ん中を通過中だったテイトを死なせかけている

 これはマジで猛省が必要。


<ルノア>

「約束」の回で、700年続く戦で死んでいった者達の無数の墓標を背景にルノアとの再会と対話するシーン。

 ここでルノアは自らの本当の名と正体を明かす。

 目をつぶって情景をイメージすると、会話の内容の相俟ってめっちゃドラマチックに映るんですが、もしかして作者様、墓地の背景効果狙ってました?

 別にこの会話って、わざわざこのタイミングでなくてもいいと思うんだけど、とにかくシチュエーション効果は絶大である。

 あと、本当に、マジで本当にどうでもいいことなんだけど、自分から現れておいて(しかもランテ達を墓地の敷地の奥の方に散々走らせて)、速攻ランテに「……それ以上、寄らないでください」って言ったのは申し訳ないけど吹いてしまいました。

 ランテじゃないけど、本当に「何で」でした。すいません、本当ならシリアスな場面なのに。



<セト>

 この章でも相変わらず主人公以上の活躍を見せる、事実上の準主人公格のキャラ。多分一番人気?

 モテるんだろうなぁ。絶対モテるんだろうなぁ。

 モナーダ戦、クレイド戦、リエタとの二度に渡る死闘と、とにかく中心的な活躍を見せる。

 自分の出生に関する秘密や、それにまつわるクレイドとの因縁、デリヤにまつわる彼とハリアルの関係、レベリアでのユウラとの諍いなど、固有エピソードも多い。

 もし終盤でランテが成長してセト超えが実現するんだったらアツイんだけど。

 いやー、「別離の死地」、重い。重いねぇ。次の「無力の代償」はもっと重いのでご安心下さい!

 Ifさんによるとこの辺りが一番展開重いところで、ここからはテンション上がっていくとの事だけど、ちょっと信用できない(笑)。

 ここ以上の鬱展開あるんじゃないかって警戒しときます。そう思ってないとショックが大きいので。

 お前ランテとユウラどっちか選べって言われたらどっち選ぶんだよ! もちろん……ユウラだよな?


<ユウラ>

 この章では、ディオン戦のくだりで彼女の視点とピンの活躍シーンがあった!

 レベリアではドレス姿も披露してくれた!

 ディオンを倒して、彼の自害を止めたシーン良かったです。これはきっと北支部にとって状況が好転する一助になるはず。

「抜殻」の回でまたクレイドと戦うことに……。ちょっと試練がキツ過ぎるが、これもメインキャラの宿命だと思ってこらえよう。

 ほんとセトはいい加減にしろよ! ユウラを泣かすな!

 

<テイト>

 まだ本編でテイト視点ってないんだよね。ちょっとピンでの活躍シーン見たかったり。

 恋人さんのこと、絶縁状態の豪商の実家のこととか、エピソードはあるんだけど、本編でやる余裕あるかなあ。「テイト回」みたいな。

 リュブレの追加エピソードで活躍シーン追加されたのは良かった。



<ベイデルハルク>

 出ました全ての元凶。だいたいこいつのせい。

 この章でも相変わらず天上天下唯我独尊なラスボス様。

「Rehearts」は基本的にメインキャラの視点で、そこから見えない部分は映さないからなかなか難しいんだけど、もっと悪役パートあっていいのよ!

 例えば、ベイデルとクレイドが、中央の大聖者の間で、

「ククク……いよいよ動きだしたな……」

「ククク……いよいよ動きだしましたね……」

 って二人して邪悪に笑い合っていたり(窓の外は暗雲立ち込めて稲妻が鳴り響く)。

 なんならゴダだって支部長室で一人「ククク……」って意味深に笑っていてもいい(※ただの思い出し笑い)。


<ハリアル>

 中央が王国説を潰すのにいかに血眼になっているかを考えると、さすがにワグレの関係者を置いとくのはリスクが高過ぎると思う。

 しかも王国説を唱えていた者の息子ときてる。爆弾じゃねえか! 下手をすると中央が北支部を攻める口実を与えることになってしまう。北支部全体の運命とデリヤを天秤にかければ、さすがにデリヤを切らざるを得ない。

 ハリアルを父のように慕っていたセトは、この判断に疑問を持っていたが、もう『大人の事情』で仕方なかったとしか言いようがない。自分がハリアルの立場でも、とりあえずデリヤはエルティから出す。

 ただ、これも後から何とでも言える結果論だけど、中央のスパイって口実は悪手だったかもしれない。

 デリヤのバックボーン考えると、「あなたは中央と仲良しでした」って公式に認定されたことで汚名を被り、彼が内心どれだけ怒り狂ったか想像にかたくない。

 追放するにしても、せめて建前でも何か別の口実作るか、それかいっそのこと正直に「君を置いとくのは危険だから出てってほしい。すいません」って言えば、復讐に走るほど歪まなかったんじゃないかなぁ。

 あと、レクシスの戦死者を水増ししていた件、根拠はないけど、この人なら薄々感づいていたんじゃないかって勝手に思ってます。

 ……結局エルティの襲撃の件をレクシスに伝えられていないところに、両者の不仲が垣間見える。

 ハリアルとレクシスの信頼関係がしっかり作れていれば、この件だって教えられるはずなんだよ。「エルティがやられた。そっちも中央の動向には気をつけろ」ぐらいは言えればよかったんだけどね……。

 イメージCV森川智之、実写版なら木村拓哉。キムタク演じるハリアルとか見てみたくない?

 

<クイレド>

 これはこれはセトのお父様オッスオッス!!! 

 あれ? ユリユさんと子作りしたのって強制性交だったんですか? それとも合意の上ですか? 

 訴えられたら裁判で「合意の上だった」って主張するんすかwwwwせいぜい腕のいい弁護士雇って下さい!

 何で肉体もない奴が子作りできたんですか? あれっすか? 実現の呪で男性器だけ実体化させたんすかwwwww

 あれでしょ? 誓う者って何かしら誓い立ててるんでしょ? おたく何誓ったんすか? 性犯罪するとか誓ったんすか?

 いやー、さすがに証持ちを肉壁にするの手慣れてて鮮やかでしたね! あれですか、いつも証持ちを盾にしないと怖くって戦えないんすかwwwww

 

 ……下半身のだらしない白軍№2。ベイデルへの忠誠心ってどのぐらいなんだろう。ベイデルは700年間上司?

 この人セト用のラスボスになるんだろうか? セト自身の手で因縁に決着をつけてほしいってのはあるが、サシでケリつけるのはセトに強化イベントないとキツイかなぁ。

 中級司令官ほどヘイトが集まっていないのが気に食わん。確かにあの中級司令官も外道だが、あれは中央の狂った常識に染まった典型例の一人であって所詮下っ端の雑魚。

 お前はその中央の狂ったルール作った支配者側だからな! 忘れんぞ!

 リエタはしっかりその報いを受けて毒に蝕まれ死んだぞー! 次はお前だ! イケメンだからって許されないからなお前!

 あの世でユリユとセトと、昔お前が裏切った人達(哀の章のネタバレなのでこんぐらいの表現にしときます)、そして戦場で捨て駒にしてきた洗礼兵達に詫び続けろ!

 唯我独尊で小物は眼中にない感じのベイデルと比べて、クレイドは弱い奴をいたぶって遊ぶ癖があるというか、嗜虐心の強さが目立つ。性格の悪さはベイデル以上なんじゃないか?

 つーか、マジでコイツ一体何誓って誓う者になったんだ? 作中に誓う者は何人か登場するけど、コイツだけは読んでて何の誓い立ててるのか全く見えてこない。

 本編何周か読み直してるけど、もしそこの部分に触れられているところを見落としていたら申し訳ない。



<デリヤ>

「黒を纏う者」。怒の章前半のキーパーソン。

 皮肉屋で毒舌のツンデレ君……というにはちょっと口が悪すぎませんか(笑)。『デリヤ節』というかなんというか。

 まあでもねえ、自分に無実の罪を着せて追放したセトとユウラが仲睦まじくイチャイチャ庇い合ってるの見せつけながら綺麗事並べてるの、確かに腹立つよ。イラつく気持ちはスゲー分かる。これはねえ、腹立つよ正直。

 一回目読むときはそうでもなくて「デリヤって嫌な奴だなー」程度の感想だけど、デリヤの身の上が大体分かった後で二週目読むと割とデリヤ擁護になって、このシーンでデリヤがセトとユウラが仲睦まじくしてるのを見ていたぶろうとする気持ちがすげー分かった。

 でもデリヤもデリヤで大概と言うか、「誇り」では「中央とだって三年前、すぐに戦いに持ち込んでおけばこんなことにはならなかったのに」なんて言ってるが、無茶言ってんじゃねーよ! 勝てるわけねーだろ! 中央の圧倒的な力知らんのか! ワグレの二の舞になるのがオチだ! ハリアルの立場でそんな決断下せるかっつーの!

 哀の章でのデリヤの貢献度を知ってから「誇り」の回を読み直すと、ランテがデリヤの腕を切り落として彼を救ったシーン、凄く感慨深く映る。哀の章のランテ&デリヤのコンビの旅を読んでからこのシーン見返すと、ちょっと泣けるんだよ。

 哀の章では散々ランテに毒舌吐いてるけど、ここではランテに「だけど、君には。ありがとう」って言ってるんだぜ……(しみじみ)。ああ、ランテがデリヤを生かしたんだなぁ……(しみじみ)。「だけど、君には。ありがとう」だぜ……。尊い。ランデリマジ尊い。いや「誇り」の回に限ればデリランかな? 何なのこの尊み……。

 個人的に彼の「どこかな。どこかへ」というセリフは「Rehearts」の中で一番好きなセリフ。

 マジで何気ない、何でもない言葉なんだけど、一抹の悲しさとわだかまりは残る一方、デリヤの中で腕一本と引き換えに復讐心が晴れ、王国説の件を託し、どこか吹っ切れたような、彼自身の中でどこかは分からないけど、次のステップに歩みだそうという確かな力強さ、清々しさも感じられる。

 語呂も良く、デリヤの心情に読者がどう依りたいかで受ける印象が変わる名セリフだと思う。


 天国の母上「生き延びてみろ……! 王国説を……継ぐ者としてっ……!!! 貴様がこの世に在る限り、ワグレの全てが「語らぬ白砂」になったわけではないっ!!!!!」


<ナバ>

 実写版があるならEXITのりんたろーか兼近に演じてほしい。


<アージェ>

 この章ではあまり出番がなかった。でも哀の章では重要な役割を担うことになる。


<フィレネ>

 本名フィレネ・ベレリラ。

 彼女が東の副長で、東の準都市の名前がレベリアなものだから、「レベリア」と「ベレリラ」って似ててちょっと混乱してしまった。俺だけかな?

 記憶を失う前のランテと出会ったことがある数少ない人物である。そしてユウラの師匠。

 そして、王国説の有力な根拠となり、多くの王国説研究者を生み出すきっかけとなった、そして中央による多くの言論弾圧、神教布教の禁止(エルティの神僕女の話より)、ワグレ消滅という圧倒的悲劇を起こす引き金となった運命の書物『ラフェンティアルン王国記』を継承してきたレベリア…ゲフンゲフン、ベレリラ家の人間(ほらーまたこんがらがってるー)。

 王国記の原本はワグレと共に白砂と消えたが、イベットの実現の呪によるバックアップが辛うじて残っており、ランテ達に託された。そしてそのコピー本は数奇な運命を辿り再びベレリラ家の人間の手に戻ることになり、奇しくもフィレネ・ベレリラが版本を担当し、王国説の流布をベラーラに依頼する。

 また哀の章の話になって申し訳ないけど、さすがにこの人を今の中央本部の総会には連れていけないよなー。危険過ぎるもん。

 中央の連中から「一冊残らず焚書したはずの王国記をこっそり代々伝えて、王国説ブームの火付け役になったベレリラ家の女だなコノヤロー!」って言われかねない。つーか現在進行系でその王国説の宣伝を企ててるし。

 この人も重要設定の塊みたいなキャラだけど、その割にはまだ出番も少ないし、記憶を失う前のランテの話も、時間的余裕がない中でそんなにちゃんと話せてない。

 この後、作中でどういう役割を担っていくことになるのだろうか。

 根拠のない勝手な予想だけど、最終盤でランテを庇って死ぬとか……、なんか死んで退場しそうな気がする。


<サード>

「西の動乱」は、初めてランテの視点から離れた話で、メインキャラがいない場所で物語が動くから結構ワクワクしました。

 37歳っていう玄人おっさん軍人キャラとして絶妙な年齢がたまらない。口調が悪いところもハードボイルド感あってよい。

 先の話になるが、哀の章の総会のシーンでも彼の視点で話が展開するから、結構な重要キャラなんじゃないかって期待している。

 指揮に優れているらしいけど、戦闘シーンも見てみたい。呪使えるのかな?

 


<モナーダ>

 あの後どうなったんだろうか。ランテが祝福の証を消し去ったんだから、無事中央から逃げていてくれればいいけど。後日談がまだ語られてない。

 ルルファって家の名前も設定あるし、わざわざロアとスンなんてネームドをキャスティングしてるぐらいだからまだ出番あるかな?

 だけど、せっかくランテによって救われたのに後で中央から制裁を受けて殺されていた……なんてのもクッソ胸糞で後味悪くてランテお前結局救えてねーじゃん偽善者かよみたいな感じで好きなんだけどね。


<リエタ>

 ユウラの次に好きなキャラクター。セトとの二度に渡る死闘、良かったです。

 あれだよ、同僚の聖者が誓う者だったり、激戦区の司令官なんてずっとやってると狂気に蝕まれてしまうのだろう。クレイドに比べてめっちゃ好意的な書き方してるけど。

 良くも悪くも『人』として散っていった印象。狂っていてもあくまで『人』の範疇。ベイデルやクレイドとは違う。最期、セトにすがってるじゃないですか。


「私、何のために……生きてきたの……かしらね」


 多くの兵の命を戯れで弄んだ所業。当然その罪は死をもってしか贖えない。

 だが、皮肉にもその死が迫ってきた最期のひと時、セトと言葉を交わすことで、戦場に充てられた狂気から解放された感がある。

 個人的には人を捨てて誓う者と化したあなたも見たかった。

 結局、登場人物紹介でも年齢はシークレットでしたなぁ……。永遠の謎ですなぁ……。登場人物紹介のページができたとき、ようやくリエタの実年齢が分かると期待してたけどしっかりシークレットでしたなぁ……。

 実写版キャスト想像するなら菜々緒か叶姉妹。



<カゼッタ>

 こういう苦労人っていうか真面目系キャラって視点を内在させやすいですよね!

 サードと同じく、33歳っていう、いそうでいない年齢設定が絶妙。


<ダーフ>

 良い意味でキャラとして尖った部分がなく、アクがなく、前に出過ぎず、メインキャラから一歩引いたところで存在感を見せる貴重なバイプレーヤー。

 これからも雑用やお使い役、頑張ってください。決して目立つ存在ではないけど、コメント欄では結構評判いいですよ!


<ベラーラ>

 ブログの小話のユウラに逮捕されて出所したあとすっかりユウラに惚れてしまいつきまとってた窃盗犯「おいババア冗談でも許されねえぞユウラさんに謝れ」


<ノア(館の少年)>

 デリヤと戦った廃墟の館に同行した少年のこと。

 糞生意気なガキだ! 大人をなめるんじゃない!


<ネーテ>

 司としてこれから頑張ってね!


<メイラ(黒軍過激派ボス)>

 この人に関しては哀の章のレビューで詳しく論じたい。


<イッチェ>

 こいつはとんだ食わせ者でしたよ。中央の者かと思ったら、よもや黒の民だったとはね。まったく煮ても焼いても食えん奴だ。


<イベット>

 誓う者がどういうものか、チュートリアル的な役割を果たしてくれた人。

 ラフェンティアルン王国軍総司令官。誓う者歴何年ぐらいなんだろう。ワグレ消滅事件のときだって考えると……。

 三年前、ワグレ健在のときまで王国軍はまだあったのだろうか? ユリユの知人だから現代の人なんだよね。

 王都自体は遥か昔湖の底に沈んだというのに、三年前まで王国軍は健在だった?

 

<オルジェ>

 オルジェは何年ぐらい支部長やってんだろう。北より中央に対して過激な態度取ってるのに、喜の章では北のエルティが中央の襲撃を受けた。

 なんで東が襲われなかったかっていうと激戦区に一番近くて支部の中じゃ一番戦力割いてるから。東が一番貧乏くじ引いてるんだけど、それが立場を強固にしている。

 東は強硬な態度取ることで、戦場での貢献度を盾に却って中央からなめられないって立場を獲得できている。

 でも、口で言うのは簡単だけど、その立場を作るってのはまず相当難しいし、度胸もいるし、そんな脆い均衡をずっと維持しているってだけで彼が相当名将だってことが分かる。

 個人的にもっと見てみたいキャラの一人。まだ謎に包まれた東のもう一人の副長も気になる。


<ゴダ>

 西支部支部長。絵に描いたような無能キャラ……と言いたいところだが、それ以前に言う程出番もセリフもないのが実情。この章では気絶してただけだし……。

 ジェノと違ってランテ達の前に立ちはだかる敵役張れる器ですらないんじゃないかって思えてしまう。

 出番が少ないわりに、コメントとかでかなりいじられてる人。下手すると呑気でKYなだけの、ただの気のいいオッサンなんじゃないかって説まである。

 まあ、多分そこまで細かい設定あるようなキャラじゃないだろうけど。キャラの重要度としても低~中ぐらいだろうか?

 登場人物紹介によると、年齢が44歳でイメージより若い。ストテラ時代は勝手にハゲデブジジイのイメージ持ってたもので(失礼)。58歳のオルジェより14歳も若いんだよね。


<レクシス>

 老害になる一歩手前で何とか踏み止まれた感のある激戦区指揮官。

 正直、この人の将としての器に疑問を禁じ得ない思いはある。以下、筆者がそう思う根拠を四つ挙げる。

 1.癒し手がいるという中央の言葉を鵜呑みにして、150~200の兵を死なせる(北支部が約2000人と考えると7.5~10%、そして激戦区配属の800人の内20~25%が死んだことになる)

   ※もしエルティ襲撃の件をハリアルから教えてもらって中央への疑いを高めていれば、もう少し違った結果になったかもしれないが

   ※リエタから突きつけられた、北支部を攻めて支部を占拠しろという究極の選択を拒否したからこそこの程度の犠牲で済み、ベストではないにしろ、最悪の事態は回避したとも言える

 2.腹心のディオンと対立し、結果ディオンやその指揮下の兵達をリエタに切り崩される

 3.本編で語られていない作者様のブログの裏設定的な話になってしまうが、過去、中央派の多くの将兵の離反を招いたとき、支部長になりたてのハリアルのフォローに回らず、彼自身が北支部を一枚岩にできない主要因になってしまっている(支部内で彼のシンパも多かったらしく余計にタチが悪い)

 4.自らの面子と体面のために生きた兵を死んだことにして増援要請をしていた事。効率面でも倫理面でもあまり褒められたやり方ではないと言わざるを得ない。

 しかし、その一方で三十年に渡り戦場で指揮を採り、今回の件では兵を逃がすために自ら最前線で奮闘し、その証として誰よりも深い傷を負っていたのもまた事実。

 また、ディオン以下400名を割ってでも、頑として『北へ戻り、支部長はじめ要職にある者たちを殺害し、支部を占拠すること』というリエタの命令は拒否しきってみせた。その制裁が上記1.なのだが……。

 多くの兵に慕われ、自らの失策に責任を感じて死のうとしていた気概もあるし、年下のセトに対して才気と若さを妬み意固地になっていたと正直に言って謝ることもできる人。

 是非ともハリアル不在の北支部の支部長代行を全うしてほしい。


<ディオン>

 東支部激戦区将兵達「いやいやいやいや何勝手に兵400率いて激戦区撤退しとんねん。担当区域放棄すんなや」

 西支部激戦区将兵達「いやいやいやいや何勝手に兵400率いて激戦区撤退しとんねん。担当区域放棄すんなや」

 南支部激戦区将兵達「いやいやいやいや何勝手に兵400率いて激戦区撤退しとんねん。担当区域放棄すんなや」

 メインキャラ達とリエタの間で起こったことを詳しく知らない中央軍将兵達「いやいやいやいや何勝手に兵400率いて激戦区撤退しとんねん。担当区域放棄すんなや」


 いやもうマジで今後の出番で名誉挽回して下さい。北支部今ガタガタなんですよ。頼みますよ。これで出番終了とかだったらただの害悪キャラで終わりじゃないですか。


<中級司令官>

 中央って一種のディストピアだと思うだけど、良くも悪くも、コイツはそのディストピアの住人の一人であり、上官の命令に従っているだけの一士官に過ぎない。

 やってることは悪辣だが、ただ命令に従って行動しているだけで、軍人としては何らの齟齬もきたしていない。人としては知らんが。

 命じているのはリエタだし、もっと言えば現在の中央を造り上げたのはベイデルだ。

 ただ、あんなすぐ屈するんなら、最初から話しとけや。まあこんな奴の尋問に長々と尺取ってもしょーがないけど。

 セトのお守りつきとはいえ、人間でランテが完全自力で勝った相手としては初かな? 記憶喪失で剣の腕が衰えているランテ相手に、しかも証持ちを盾にしながら戦って負けるとか雑魚過ぎだろ……。何なんだコイツ……。

 ストテラ時代、ランテ達の捕虜になったこの中級司令官達はこの後どうなったのかとIfさんに尋ねたところ、東支部へ送られたとのことで、厳しい東だからその後の処遇はお察し……とのことだった。

 おそらく、コイツともう一人の呪使いは中央を嫌う東支部の兵に手厳しい扱いをされた後に、東によって軍法会議にかけられるはずだ。

 そして命令者のリエタが死んだ今、ケルムにて東西南北(親中央派の西の兵はあの中にはいなかったかもしれんが)の友軍の負傷兵を大量に放置し飢え死にさせようとした責任を一身に背負うことになり、処刑判決が下るであろう。

 そう書けば、この中級司令官に腹を立てた読者の方々も、多少溜飲が下がるであろうか。

 ただ、この後の話で中央軍所属のシュアが、セトが中級司令官を尋問したのを知っていたことから、全てリエタの命令に従っただけということで何とか赦免されたか、中央との捕虜交換(建前ではあくまで中央は同じ白軍の味方なので捕虜交換というのもおかしな話だが)などの取引で身柄が中央に移された可能性もアリ。


<クスター>

 上から目線でイキってる小物の中ボスって印象。なんか意識高い系な感じがする。

 聖戦にはもう負けてもいいんですか。そうっすか。じゃああんたの親玉にさっさと和睦に動いてくれって伝えて下さいよ。

 上司の大ボスに粛清されるのが似合う役どころ。明確に死亡シーンが描写された初のネームドキャラ。

 クスターが死ぬシーンを読んで、そう言えば「Rehearts」ってあまり人が死なない話(ただしネームドに限る)だよなーって思った。

 上司のリエタを襲っておきながら、この期に及んでリエタに向かって「この先にきっと確保すべき目標が」とか指図すんのな。死ぬ間際まで上から目線。

 徹頭徹尾他人の神経を逆なでするような言動しかしない奴だった。



<ユウラに殴られた指令役の呪使い>

 羨ましいぞ! ユウラ様にぶってもらえて!

 

<槍使いの兵士>

 モブなのに随分存在感あった人。六本腕の黒獣を一人で相手にしていた。結構強いんじゃない?

 ランテと共闘し、ランテが黒獣に攻撃当てたら口笛で讃えたニヒルな奴。名無しなのが惜しい。


<叛く者の老婆 / 叛く者のみなさん>

 これから息の根止めようってところを、クレイドの野郎邪魔しやがって。

 ああも最低な言葉でセトを愚弄したんだから、テイトにしっかりと殺すところまではやってほしかった。

 あんなこと言うからには当然殺される覚悟はできてるでしょ?

 ってか何聞いてもいないのに勝手に身の上話なんかしてんの? テメーらの事情なんて知るかよ。

 所詮は神光に触れても癒し手になれなかったゴミクズだろ貴様ら。癒し手でもない神僕なんて無駄飯食らいの役立たずだ。

 始まりの女神に選ばれなかったんだよ貴様らは。コイツらこのラフェンティアルン大陸で何か存在価値あるの?

 ……ぐらいのこと言ってほしかった。


<ワグレ宿舎先輩兵 / ワグレ宿舎後輩兵>

 ランテの甘さによって先輩兵は命を救われ、またランテも先輩兵の甘さによって救われた。

 戦場でも、ときにはその甘さが良い方向に作用すると信じたい。このランテと中央兵達の対峙のように。

 同僚の兵士の九割方が、心なき証持ちである軍にあって、洗礼を免れた一割の彼らは一体何を見るのだろうか。

 生き延びてほしい。頼む。


<中央傭兵A / 中央傭兵B / 中央傭兵C>

 テイト怖っ!

 このシーンテイト視点で見たかったわ。


<アンセム / ベラール / クルト / イサ / フィン / ティア / オリバー / シリア / ウェテ>

(少なくともニーナが戦列を離れるまでは)生きている兵士を戦死したことにするとは、年下のハリアルに対する意地があったとしても、随分と乱暴なやり方だ。

 勝手に死んだことにされているのではなく、ニーナが事の経緯をユウラに話していることからも、本人達も承知した上でのことである。

 公式に殉職したこととなれば、軍から家族に見舞金的なものも支払われるだろうし、葬式も行われ、戸籍も鬼籍に刻まれる。

 つまり、こいつらは二度と故郷に戻ることができなくなるし(まあ、身寄りも故郷もない天涯孤独の身とかだったら大した問題ではないのかもしれないが)、

 配置転換で北支部本部からやってきた部隊と現在激戦区を担当している部隊が入れ替わるときも、永遠に最前線の担当から異動することができなくなる。

 そして、戦場で今後どんな手柄を立てても、軍からは一切の給料も恩賞も貰えないこととなる。

 レクシスの殉職報告書の偽装に加担した兵士は、社会的に極めて不利な立場に立たされることになるのだ。なにしろ、公にはすでに死んだ人間なのだ。

 もし、途中で戦争が終わったらレクシスはこいつらをどうするつもりだったのだろうか?

 つまり、レクシスも七百年続く戦争が自分の代で終わるなどとは思っていないのだろう。

 そもそも、増援として北支部本部から激戦区に着任した兵士が、死んだと聞いていたはずの人物がまだ生きていると気づいてハリアルに手紙でも送ってチクれば一発で露見するのだ。

 まあ、こいつらを本当に戦死するまで使い切るつもりであれば、それほど大した問題でもないのかもしれないが。

 思うに、ハリアルも薄々実態に感づいていて、軋轢を避けるために、またレクシスの責任を問うことになるのを避けるために、あえて黙認しているのではないか?

 ハリアルが反中央、レクシスが(ディオンほどではないにしろ)親中央の立場だとしたら、ハリアルも表からは査察官、裏からは偵察を戦場に送って前線の情報を収集するはずである。

 なにせハリアルは基本エルティを動けないのだから、しないはずがないのだ。これ、どう考えても遅かれ早かればれるのだ。現にニーナからユウラに伝わることでばれている。

 だがしかし、もし殉職報告書の偽装を取り沙汰して、レクシスを失脚に追い込めばどうなる? そもそも激戦区の最高指揮官を任せられる人材が他にいるのか? 副指令のディオンにレクシスの代わりが務まる?

 そもそもそれ以前の問題として、仮に処分を申し伝えたとして、レクシスがそれに従うか? 下手したらレクシスの反乱を招くのでは?

 更に言えば、レクシスは前線の将兵から慕われている。多くの兵が殉職報告書の偽装に加担するぐらいには慕われている。もしレクシスを罷免すれば現場の士気はどうなるだろう?

 そういった背景を考えると、支部長ハリアルの苦悩がめっちゃ見て取れるのである。

 まぁ、もちろんレクシスも好きでこんなことやってるわけじゃないと思うけどね。ハリアルに頭下げたくないってのもあるんだろうけど、こういうことしなきゃならないほど戦力が逼迫してるってことなんだろう。


 あっそうそう、言い忘れてけどウェテ、セトにレクシスのフォロー言ってくれてありがとね。上ではちょっと厳しめに書いたけど、レクシス結構好きなキャラなんだよ。


<ステラ>

 本編未登場だけどありがとう! あなたのおかげでユウラのドレス姿見れたよ! 本編未登場だけど!


<エルダ>

 あらあら。リエタに洗脳されちゃって。


<肉壁洗礼兵>

 あらあら。可哀想に。


<セーラ>

 あらあら。宿屋なくなっちゃった。


<ランテに蹴っ飛ばされた洗礼兵 / 以前の怪我も治してもらっていない洗礼兵>

 あらあら。


<ネリドル>

 誰?


###############################################



最後になりますが、PV10000越えおめでとうございます!

内容の面白さを考えると当然の結果だと思います! 

今の流行に乗っていない作風でここまで行けたことは本当に凄い。

もっと多くの人に読んでほしい作品です。

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