友達

「あたし達の関係ってなんだろう?」

「どうしたの?」

「いや、あたしとあんたってお互いに恋人いるじゃん」

「ん、あー、そうだね。あ、ついでに言っておくよ」

「なに?」

「プロポーズした」

「ぶっ!」

「吹く?」

「え、いや、最近、喧嘩中って!?え?」

「ん、ああ。実はさ、僕の方から謝ったんだ。

 そしたら、彼女笑ってさ。

 君の情けない所とかわかって付き合ってたつもりなのに、受け止められなくてごめんって言って……。」

「言って?」

「その時の笑顔を自分にずっと向けてほしくてプロポーズした」

「……けっこう勢いまかせね」

「うん、我ながらそう思う」

「それで、返事は?」

「お互い忙しいし、落ち着いたり、準備したらその時にもう一回してほしいと」

「ふ〜ん、あんたはそれで良いの?」

「うん、僕もそれで良いかなって」

「じゃなくてさ。多分、あの子は勢いまかせじゃなくて、しっかりと決意をもって言ってほしかったんじゃない?だから、時間を置いて、気持ちを整理してから、もう一回聞きたいってそういう事じゃないの?あの子も不安に感じているんじゃないの?

プロポーズを利用して機嫌とりにしたんじゃないかって」

「……そっか、うん確かにそうだ。もう一回、話してみる。彼女の笑顔をたくさん向けてほしいし、それを守りたいのは嘘じゃないから。

 ありがとう。いつもいつも」

「お互いさまよ。あたしだってあの人の事で……。  

あ、そっか」

「どうしたの?」

「いや、あんたとあたしの関係って、結局なんだろって思ったんだけどさ。友達なんだなって」

「友達か。なんか男女の友情は成り立たないって聞くけど」

「うーん、友情からって言うより、長い付き合いからそうなったって言うのかしらね?

 お互い頼りにしているけど、甘やかさないけど、困ってたら助け合う。なんか、隣に並び立つ関係っていうのかしら?それって、友達っていうんじゃないかなって」

「友達か……。確かにそうだね。うん、納得できる。じゃあさ、僕がもし彼女と結ばれたら祝ってくれる?」

「そっちこそ、あたしがあの人と結婚したらお祝いに豪華なものを期待するわよ。

 あと、必ず幸せにしなさい。あの子の友達としてあの子には笑ってほしいから」

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掌編や考えた事。 羽原みちばけ @HMitibake

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