魔王城ちゃんねる(LIVE)

干支たつみ

第一回『ボス部屋に落とし穴仕掛けてみた』その1

 はいこんにちは、魔王城広報部のコメットちゃんです。


 今日からですね、魔王城の中身をドーンと見せちゃおう! ということで、私のスマホから魔王城の映像を皆さんにお届けします。


 あ、ちなみにこれは広報部の公式チャンネルですが、生放送の内容は広報部のヤベー先輩方が考案しています。


 では早速第一回の企画、やっていきましょー。






 えー、今回はですね……。サムネから分かる通り、魔王城のボス部屋、つまり魔王様の仕事場に落とし穴を仕掛けるという企画ですね。


 正直ガクブルですよこれ。あ、ヌメヌメさん投げ銭ありがとうございますー。


『ヌメヌメ:頑張れー』


 はい頑張りますよ。この仕事、完全歩合制なんですよ。皆さんの投げ銭がそのままこの私、コメットちゃんのお給料になりますからね。


『ノノー:今ドコ?』


 今は魔王様の仕事場に向かう通路です。あと10分くらいで着きますよ。


『するめ:さっきからたくさん足音聞こえるけど、コメットちゃんの他にスタッフいるの?』


 スタッフですか。今ここにいるのは私含め6人です。魔王様ってほら、体がとても大きいんですよ。ですから多人数で作業しないと魔王様が入るくらいの穴が掘れないんです。


 これから他のスタッフとも合流するので、計10人くらいになりますよ。


『ヌメヌメ:追加で2万』


 投げ銭ありがとうございますー。って、またヌメヌメさんですか。自分のお財布と相談しながら投げて下さいね。投げ銭破産とかダメですよー。


『REU:コメットちゃん顔映さないの?』

『マクドゥ:顔出しマダー?』


 顔出し? あ、すみません。これ外カメラになってましたね。ってことは今まで誰も見てない画面に手振ってたんですか私。え、恥ずかし。


 それじゃあ内カメラにしますねー。えいっ。


『メンチカツ:かわよ』

『アンタン村の大鷲:予想以上に可愛かった』

『ナジー:声掠れてね?』


 地声ですー。これ地声なんですー。誰ですか掠れてるとか言った人。ナジーさんですね。名前覚えましたよ。ブラックリスト入りまーす。


『マクドゥ:理不尽w』

『ヌメヌメ:メンチカツでも食べて落ち着けよ』

『メンチカツ:草』

『ナジー:やめて(´;ω;`)』


 ヌメヌメさん投げ銭ありがとうございますー。っていうか大丈夫ですか。もう天井じゃないですか。


『アンタン村の大鷲:天井はっやw』

『スネカジリ:もう5万も投げたのか。すげぇ』

『ニニニート:こいつぁ猛者だな』

『ヌメヌメ:地声キレイだから安心しなって』


 うわー、ヌメヌメさん優しい。ありがとうございます。なんかもう頭上がらないですよ。ヌメヌメさん聖人じゃないですか、聖人。こんなに優しい人初めて見ましたよ。


『ヌメヌメ:ヌメヌメ星人?』

『REU:星人は草』

『スネカジリ:普通に罵倒しとるやん』

『ナジー:俺より酷くて草』


 はいそこ「せいじん」違いですよ。聖なる人って書いて聖人です。星の人じゃないです。


 あ、見えてきましたね。魔王様の職場。この真っ黒くて大きい扉の向こうに魔王様がいらっしゃいますよ。


 一応説明しておきますが、魔王様にはインタビューのアポを取っています。インタビューをするのはスタッフのうち一人で、私は落とし穴を作る作業に入ります。インタビュアーは部長です。


『ニニニート:部長w』

『ノノー:部長マジかw』

『ヌメヌメ:広報部暇人かよw』


 部長の仕事は広報部総出で昨日のうちに終わらせました。最後まで仕事していた部長は寝不足が酷いですよ。ほら、ご覧下さい。目の下とか真っ黒じゃないですか。あっ、ちょ、部長。隠さないで下さい。


『アンタン村の大鷲:映してやるなw』

『メンチカツ:拒否られてるじゃん』


 違うんですよ、多分これ照れ隠しですよ。部長ってあまりメディアに露出しませんし、生放送とかも初めてですし。


『ノノー:この前他のチャンネルで広報部部長見たぞ』

『スネカジリ:元旦の特番にはいつも出てる定期』

『レベルカンストスライム:部長、先日は生配信コラボお世話になりました』


 えー……めちゃくちゃ露出しまくってるじゃないですか。何が「テレビに興味ないんだよね」ですか、部長。何が「ネットの使い方がまだ分からない」ですか、部長。


『ヌメヌメ:【悲報】部長、露出狂だった』

『メンチカツ:草』

『ニニニート:草』

『ノノー:草』

『ナジー:草』

『食堂のおっさん:草』


 えー、では茶番はこれくらいにして。


 到着しました、ボス部屋。

 これから協力者の方々と合流します。多分もういらっしゃってますね。


 ああ、いましたいました。


 ではご登場下さい、どうぞ。協力者の方々です。


 見たことが無い人もいるかもしれないので、一応ご説明をば。


 右から魔王補佐、老中、近衛兵、近衛兵です。


『ヌメヌメ:おいちょっと待て』

『リンダリー:顔ぶれが豪華すぎて草』

『なてぃうー:補佐それでいいのか』

『エネ目:もうこれ反乱じゃん』


 私もこのメンツはやべぇって思ったんですけどね。先輩方が押し通しまして。しかも補佐官や近衛兵さんもノリノリで。気付いたら退くに退けない状況になっていたんですよ。

 しかも先輩曰く「このメンツじゃないとまず成功できない」とのことで。


 では補佐官から自己紹介をお願いします。


「魔王様の補佐をしております、レガルトです。魔王様の椅子の台座を壊し、落とし穴の土台を作ります」

「老中のアキ。魔王に睨みを利かせてビビらせる役目……だったっけ?」


 はい、そうです。アキさんはクールビューティーな見た目に反してマジで怖いので、魔王様もビビっているとお聞きしました。本当ですか?


「ビビってるかどうかは知らんけど……目が合ったらアイツ逃げようとするな」


 ヘイヘイ魔王様ビビってるぅ。これはアレですね、明日にはまとめサイトに載りますね。


『リー:老中という名の戦闘兵器じゃんその人』

『なめらかゼリー:魔王様あの図体しておいてビビってるのか』

『きりたんぽぃ:近衛兵は? ねぇ、近衛兵は?』


 あ、近衛兵さんの紹介も待ち遠しいようですね。このお二人はあまり喋らないので、私が代わりに紹介しますね。


『ヌメヌメ:喋らないってまさか』

『ノク助:嫌な予感しかしないw』


 このお二方は近衛兵トップクラスの実力を持つ双子、ライロイ兄弟です。ギルバートを持っているのが兄のライさんで、巨大なメイスを担いでいるのが弟のロイさんです。


『まばら飴:ファーw』

『めぐみ:こwれwはw』

『ノーリスク:このメンツで落とし穴作るとか豪華すぎんだろw』

『盛者必衰のグンマー:戦争でもするんかこれ』


 盛者必衰のグンマーさん、投げ銭ありがとうございますー。戦争はしないですけど、それと同じくらいの被害が出ると踏んでメンバーを揃えたそうですよ。


 魔王様が怒って攻撃を始めたら、ライロイ兄弟が私たちスタッフを守って下さり、その間にアキさんとレガルトさんがが魔王様を鎮めるそうです。


 これ思うんですけど、スタッフの危険がデカすぎるんですよね。この企画伝えられる前に保険に入らされたんですけど、企画の内容聞いた時に「あ、そういうことか」ってなりましたもん。


 一応遺書はしたためてあります。




 では、私たち落とし穴係のスタッフは裏口から入って作業を始めます。

 部長には盗聴器を仕掛けてありますので、それをBGMに穴掘り作業をご覧下さい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔王城ちゃんねる(LIVE) 干支たつみ @tatsumi-eto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ