第22話
「武器を下ろしなさい」
「で、でもそいつは私たちを!」
「いいから下ろしなさい!」
黒いシスターが語気を強めて言うと渋々といった形で白のシスターは武器を下ろした。しかしながら白のシスターは納得がいかないのか鋭い目つきでアイアンをにらみつける。
「そんな目で見られても困るのだがな」
「こら、やめなさいって言ってるでしょ」
そう言われてばつの悪そうな顔をする彼女だったが、やはり警戒を解くつもりは無いらしい。だってもう射殺さんとするレベルで睨んできてるんだもの。あっげんこつされた。
「しぃらぁすぅ?」
「うぅ・・・痛いよお姉ちゃん」
「あなたがいつまでもそうしてるからでしょうが、彼はあなたを救ってくれたんだから感謝の一つくらい言いなさい」
黒いのの言葉にえっ、と戸惑いの表情を見せる白いの。しかしお姉ちゃんが嘘をつくわけがないので、実際に命を助けてくれたのだろうという事を理解した。
とはいえ素直に感謝の言葉を述べるのに抵抗があるのか、それとも嫌いだからなのかわからないがなかなか感謝の言葉を口にできないシラス。
「あ、あり・・・っ」
「これであの場から逃してくれたことの借りは返した、悪いが我は先を急がせてもらう」
苦虫を食い潰したような表情で言われる感謝ほど嬉しくない感謝はない。そして何よりもこれ以上ここにいたら黒いのの目が無くなった途端に白いのに殺されかねない。
片腕の修復はまだ時間がかかるがまぁ1日2日生活するのに支障はないだろう。
「世話になったな黒白のシスターたち。貴様らも事情がどうあれ追われているのならくれぐれも気を付けるのだな」
「ちょ、ちょっと待っ」
「あぁそれと、ここで会ったのも何かの縁だ、もし何か困ったことがあれば力になってやらんでもない。どこかで会う事でもあれば声をかけてくれ」
それだけ伝え、消し飛んだ腕の付け根に手を当てながら足早にその場を去る。
・・・・まぁ二度と会うことはないと思うがな。
我、魔王軍幹部。魔王様に召集をかけられたけど怖いので逃げることにする。(仮) 森THE森AG @morithemori
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。我、魔王軍幹部。魔王様に召集をかけられたけど怖いので逃げることにする。(仮)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます