愛すべき娘

@beruko0119

プロローグ

揺れる馬車の中で私はシスターに尋ねた。どこに向かっているのかと。

シスターはただ、私の手を握り「大丈夫ですよ」とその手を撫でた。そればかりだった。

孤児院を出てどれだけがたっただろうか。

窓の外に移る景色は都のようにみえる。

孤児院の周りには広い草原、田畑、農園ばかりがあった。こんなにも煌びやかな世界ははじめて見る。

あんなにも都へ憧れていたのに、こんなにも呆気なく来てしまうとは。少しガッカリするような気持ちすらある。

だがしかし、私にはやはり憧れの場所である。

都に行けば皇子様を見ることができると、皇子様が村娘を妃にする絵本を何度も読んだ。

どれだけの人が皇子様の妃を夢見ることだろう。

私もその1人だ。

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