夢のない君へ

渋谷かな

第1話 夢のない君へ

あなたに夢はありますか?

夢を見ていますか?

夢を描けていますか?


「何も思いつかない。」

 16才の高校1年生の佐藤二郎は小説家志望だが、ある日、何も書けなくなった。

「全て今の夢の描けない世の中を作った大人が悪いんだ。」

 まだ少年は16才だが、芸術部門の音楽・美術・出版の世界の暗黙のルールは分かる。まず無名では売れない。コネが無ければデビューできない。また親がお金持ちでなければデビューできない。自分の家の資産で世に出したCDや絵、本などの作品を自分で買うのだ。これが世間では公表されないが、音楽・美術・出版業界の常識だ。

「夢なんかどこにもない。」

 ネットやSNSで人気のアイドルには芸能事務所がついている。となると評価の星やアクセス数など業者や事務所の人間にひたすらアカウントを作り続け、売り出したい事務所のアイドル・SNS関係などの専門家、もっと分かりやすく言えばテレビに出てくる素人は生まれてくる。そして、今ではタレントより力が強くなってしまった。

「夢ってなに?」

 お金でも、コネでもなければ、そのレールには乗れない。中にはいるだろう。自分で道を切り開いたという人間も。ただ表面的にテレビ局がついていたり、また、テレビがついているから酷い目にはあっていないだろうという成功者も、結局はテレビで放送されない所で、パワハラ・セクハラの被害にはあっている。そうでなければ、いつづけられるポジションではない。だから直ぐに消えていくのだ。


「夢ってなんだろう?」

 深刻なのは上記よりも普通の一般人だ。コネも無ければ特殊スキルもない。お金もない。生まれてきて楽しいこともない。餓死して死ぬのを待つだけ。仮に勉強をがんばった。現代は東大や慶応、早稲田を出ても就職できない時代。他に弁護士や公認会計士の資格をがんばって取った。現代は会社も増えない。お金のない一般人が弁護士を頼むことは、まずない。運動を頑張った。オリンピックに出れるか? プロ野球選手? サッカー選手? すぐに戦力外になる。成功できるのは一握りの人だろう。体を鍛えても後には何も残らない。

「これが夢にあたるのだろうか?」

 アルバイトでも無職でなければいい。嫌なことが無ければ家に引きこもっていたい。毎年約100万人が成人するが、100万人に正社員の就職先があるだろうか? 今の時代は就職を希望しない人間を分母から外し、派遣社員、契約社員、アルバイトも就職内定者に数える。災厄のカモフラージュだ。現実を知らない親、子供。現実を知った時に子供は無知な親を怨むだろう。


「夢のない君へ。」

 昔の作品で赤毛のアンというものがある。その中で夢は心の中、空想の世界にあるとある。夢は自分の心で描くものだと。夢は現実にはないのかもしれない。お金という概念は強欲であったり、結婚もお金で異性を買うだけであれば色欲と変わらない。夢は現実ではないのかもしれない。

「夢を見ることは罪ではない。」

 さあ、自分の思い通りの夢を見よう。だって人間は幸せになるために生まれてきたのだから。

 終わる。

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