めだまやき食べたくなったらあなたはどんな音が聞こえてきますか?
とーわとわ
第1話 音声がぐるぐるーとする
小銭を落としてしゃがみこんだら、ポケットに入っていた財布が落ちた。
財布の中身が開いていたから小銭がすべて滑り落ち、チャリンチャリンと無数のかねのおとを鳴らす。
「あーあ、またやってしまった」
恵美華子は今日もまた自分のふがいなさに落胆した。
小銭を拾い上げようとするのだが、財布の中にまだ入っていた残りの小銭も落ちてくる。どうしてこうなるのだろうか。ため息が出てくる。
ため息とともに何か自分の口から黒い靄のようなもので始めてくる。
これはいったい何なのだろうか?
黒い靄は床一面を這いずり回るようにうごめき始め、そして地面へと乗り移っていき、そのまま黒いしみへと変わっていった。
このシミはあめという字を作った。
あめという字を見たとき、はなこのからだ中からどくどくと音が出始める。
「どくどく、どくどく、どくどくどくどくどくどくどくどく」
鼓動は徐々に早くなる、鼓動が早くなる、どんどんと加速し、今度は華子の口の中ら黒いねばねばとした何かが、溢れ始めてきた。
「なんなのこれ!」
おどろきのあまり、身体が倒れそうになったが、華子は必死になって、両手と両膝を使って体を支えた。
しかし、身体を支えれば、支えるほど、体が重くなる。体が重くなるほどにポケット中が膨らんでくる。
そしてポケット中から、小銭が一枚、二枚とこぼれ落ちてくる。
チャリーン、チャリーン
ぐるぐる、ぐるぐる
カチカチ、カチカチ
目が回る。時計の針が刻々と動き続けているのがわかるが、目の中はぐるぐると回り続けていた。
めだまやき食べたくなったらあなたはどんな音が聞こえてきますか? とーわとわ @to-watowa
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