第38話 一転五惑
「はあああ!!!!」
気合いを入れるんだ!
先輩の約束は、絶対、絶対に守るからね。
いつのまにか、わたしの髪が伸びてる。きゅんきゅんしちゃってたからだ。
わたし、ボディ子は感動したり萌えたりすると、身体中のホルモンがばっくばくに溢れて、髪の毛が生えてしまう。
めんどくさいから髪留めでツインテにする。ポニテ?意外とめんどいんだよ?後頭部をビシッと決めるのが難しいんだよ?
わかったら世の女性に感謝しなさい。
破片と光、魔法の色、紫のシールドがビビ割れていく。
ステンドグラスの王の間、綺麗だったのになぁ。ドラゴンが全部壊しちゃった。
アーメン。なんちって。
神様なんて、いないよ。
タンッと地面を蹴ると、そのままくるくるとドラゴンの目の前を横切る。
「アイシャちゃんの、家を、壊すなぁッ!!」
ドゴォ!
回し蹴りでドラゴンの左腕を吹き飛ぶ。
「入った!もう一発ーーー」
「バカナ・・・・・・コレホドのチカラを・・・・・・」
うるせーやい。先輩は、多分今いっぱいいっぱいなんだよ。
どうせ先輩はアイシャちゃんのことしか考えてないんだから、アイシャちゃんのことだけ考えてて!(なぜ2回言ったし笑)
だから、わたしは自分にできることを。
とりあえずバリアから離れろデカブツ!
ドカッ!!!
そのまま空中で一閃。ドラゴンの胴体を蹴りの衝撃波が仰け反らせる。
すごい力だ。やっぱり先輩の作った靴はすごいぃ!
「先輩にありがとう、だなぁ」
「ナニヲイッテイル・・・・・・」
「うっさい。あんたも大変そうね。でもね、先に手ェだして来たのは、そっちだからね」
ムーンサルトからのご褒美パンチラ・・・・・・踵落としぃ!
バギ、メキャ・・・・・・
「ナ、ナニモノダ・・・・・・」
うーん。先輩の下僕?オールワークスメイド?知らんがな。
「ボディ子ちゃんだよ」
「ボ、ボディコ?」
「そう、わたしの名前はボディ子。今、最高にキュンキュンしてるから教えてあげる。
アイシャちゃんと先輩の邪魔したら、ぶっとばすゾ?」
「グゥ・・・・・・ヨテイニナイ異物。災禍の種ト共ニ、滅ビヨ」
「諦めてくれたら1番お互いに良いんだけどね?」
「ムダダ。ソノムスメノ存在ハ、最早キサマの理解ノ範疇ヲ超エテイル」
「どういうこと?ってああ、みんな!攻撃しないで!人が話してる時にッ。」
「な、なぜダメなのだ!?」
宮廷魔道士だかなんだか知らないけど、マジで一回話し合いしとかない?
「お互い冷静になろうよ!アイシャちゃん、このドラゴンの気持ち、わかるんでしょ?読んでみて!」
「そ、そんな、まさか・・・・・・」
「アイシャちゃん!?」
口を押さえて、恐れたり悲しんだり、忙しく表情を変える。アイシャちゃん。
「ド、ドラゴンさんは、赤ちゃんのことを考えてます。・・・・・・ドラゴンの卵の中にいる子供が、わたしが死なないと孵化しないみたいです」
「やはり、盟約は変わらないのですね?」
国王!?
「ワカッテイタコトダロウ。何故娘ヲ一度ニガシタ?」
「わたしは、ムスメを道具にするために世界を救ったのでは無い」
「お父様!?」
えっ?どういうこと?アイシャちゃんのお父さんは、アイシャを逃したかったってこと?
「アイシャちゃんのお父さん、実は良い人ーーー」
「やめて、お父様」
アイシャちゃん?
今にも泣き出しそうな顔。どうしてーーー
「すまない。今のは建前だ。ナタリーのために、ここはどうしても引けぬ。たった今、完全に立場が逆転したぞ、盟約の竜よ。うちの勇者が卵を手に入れたそうだ」
「ナンダト!?」
「お父様あああぁ!!!」
「どうする?竜よ。ひとつ、提案があるのだが。
カサイ・ハルトの命と引き換えに手を引いてもらえないか?」
な、なんで。
これじゃあ誰の味方をしていいか、わからないじゃない。
寝取られ後の幸せ(改丁版) とろにか @adgjmp2010
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