好きな人からのお願い
頭野 融
好きな人からのお願い
「おはよう、桐島く―」
「近江さん、もう、これから俺に関わらないで」
私が言い終わる前に、桐島くんはいつもの声でそう、言った。
私は何も言わずに席に着く。これまでずっと話していて、彼から好かれてるってことは無さそうだけど、嫌われては無いだろうっていうのは、私の思い上がりだった。
もう、桐島くんとは話せないし、近くにもいられない。
好きな人からのお願い。守らないわけにはいかない。
昼休み
「桐島さぁ、近江と仲良いの?」
野田が話しかけて来た、幼馴染だ。最近は男子と女子ということを意識してか、そんなに話しかけては来なかったけど。 まあ、別に、普通?あっちから、話してくるから、流れで。
それを聞いた野田は、あんな女、やめなよ。良い噂ないよ。クラスでも浮いてるでしょ。といったようなことを言った。内容の真偽は定かではないが、野田が俺を気にかけてくれたのだ。
「うん、分かった。ありがと、野田」
どういたしまして、と言いながら、笑顔で野田は帰って行った。
野田が笑ってる。良かった。
好きな人からのお願い 頭野 融 @toru-kashirano
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