第8話 名前をつけよう

8. 名前をつけよう




俺です。もう7ヶ月くらいになりました。



起きたら父親達はもう外に出ていて、母親は寝ているので今日は魔法の練習をしている。



これまでは前世からの意識があるのでそれを生かして家族の見ていない時を見計らって言葉を練習しまくった。



そのお陰で、まだ「さ行」と「ら行」は若干怪しいが他はちゃんと発音できるようになっている。



魔法の練習については相変わらず石を動かして練習している。



女の子のおじいちゃんが火の魔法を使うのをずっと見ているが、火をつけた後のあの疲労感を見るとまだ赤ちゃんで体力のない俺がやったらどうなるのか怖くてできない。



魔力を使っても体力が減るわけではないのでどうしてあんなに疲れているのか分からない。



火の魔法はなにか特殊なのだろうか。



その代わり石を動かして魔力を減らして回復する事で、将来の魔力増量を狙っているところだ。



そして以前から進めている日本語布教活動。



今のところ女の子1人しかいないが、とりあえず女の子も50音は発音できるようになった。



そこで今日は以前から不便に思っていた名前がない事を改善したいと思う。



とりあえずは女の子に名前をつけたい。



女の子に自分で考えて貰いたいけどこの村に名前という概念がないからどう説明していいか分からない。



俺がつけた方が良さそうだな、どんな名前にしようか。



猿人だからストレートに「猿」、ダメだなそしたら全員「猿」って名前になってしまう。



英語にして「モンキー」・・・もダメだな。そういえば「アイアイ」って猿がいてそんな歌もあったような?



う〜ん・・・・だめだ。猿から離れられない。



前世で飼っていた犬に「イヌ」って名前をつけた俺にネーミングセンスはない。



今日女の子が最初に喋った言葉にしよう。



そう決めた所で母親が起きて来たのでいつも通り村の中心部に向かう。



いつもの様に女衆が集まって来て、俺は女の子の所へ向かう。



俺が向かうんだ。連れていかれるではない。



7ヶ月になった俺は既に高速ハイハイをマスターしている。



母親は俺がハイハイで動くのが好きだと思っているのか目の届くところにいれば大体放置だ。



歩くのは以前チャレンジしたがダメだった。



そんな訳で俺は女の子の所へ向かった。



「よ!」



と女の子に挨拶をする。



「ア〜イウ〜エオ〜!」



今日の女の子の挨拶は「あ行」でバイ菌がやっつけられて飛んでいく時のようなイントネーションだ。



よし女の子が最初に喋った言葉から名前をつけよう。



君の名前は「アイ」だ!



女の子にもつけられる名前で良かった。



俺は女の子を指差して「あい」と2回言う。



女の子は「アイ?」とよく分かっていなさそうだ。



繰り返し呼んで覚えてもらおう。



そして今度は自分を指差して「しょうせい」という。



クソ!肝心な所で舌ったらずになてしまった。



だがこのやり取りでアイは名前について理解したのか俺を指差して「ショーセ!」と言ってきた。



違うそうじゃない!



また自分を指差して「そうせい」という。



しかし女の子はずっと「ショーセ!ショーセ!」としか言わない。



もう固定されてしまったようだ。



その後はアイに名前を覚えてもらうためにもお互いの名前を呼び合って過ごし、ひと段落すると他の言葉も教えてみようかな、と考える。



取り敢えず地面から土を持ち上げてアイに見せ「土」と言ってみる。



アイも地面から土を持って「ツチ!」という。



これならいけそうだと感じた俺は夕飯の時間までに「草」、「ツタ」、「木」、「火」、「石」など近くにあるものの名前を教えた。



アイも楽しんでくれているようで、それらを指差しながら叫んでいる。



女衆はそんなやりとりをしている俺たちを「何してるんだろう?」的な顔で見つめていたが特に興味はなさそうだ。



言葉のない所に言葉の必要性を伝えるのって難しい。



俺も大きくなったら他の子供達と一緒に森へ行けるはずだからその時に年の近い子供達から広げていこうと決めた。

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転生創世記 〜転生しても健康で文化的な生活を送りたい〜 レキオス @ryukyu03

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