第6話 11月23日
週が明けて、新たに1日が始まった。
カーテンの隙間から漏れる光が、部屋を僅かに明るくする。いつもの時間に、いつもの様に、
学校に行かなくなってかれこれ5日目だ。この生活にも慣れてきて、床で寝てるせいで腰が少し痛いのも当たり前の様に感じてきた。
母親が朝食を持って来て、1人静かに食べる。姉の部屋に来てから朝飯は10〜11時頃なので、基本的に1日2食だ。決して朝の量が多い訳ではない。だが、
ずっと前から思っていたが、自分は案外体重が重い気がする。身長と体重のバランスが少し悪いんじゃないかと思っている。別に体型は普通なのだが、BMIの値が大きい気がする。
痩せるというより、まずは太らない生活をしたいと思っているが、どうしてもダラダラしてしまう癖があるのが辛い。
どうにかならないかな……と考えつつ、自分は筋トレをしながら映像授業を見始めた。
果たして効率が悪くなってるのかは分からないが、結局は映像を見ているだけでは集中力が途切れるので、こういうのも悪くはないだろう。自慢ではないが、横になりながら映像授業を見ていれば、自分は9割以上の確率で寝落ちするから。
そうして勉強をして、携帯でゲームをして、掲示板を見て、その他色々と見て……
そんないつもになってきた生活だった。
しかしそれは再び崩れ去った。
午後2時前。突如として、母親からメッセージが来た。
検査結果は陰性。家に戻っても大丈夫との事。
この瞬間、隔離5日目にして、自分の1人生活は終わりを迎えた。
ただ、即座に退去する訳ではない。
そのまま携帯を見て、祝日だったので開催している競馬を見て、やがて日が暮れた。そして、姉が父と一緒に荷物を持って戻って来る。
一応は勉強していたので、
そして、午後8時前後だっただろうか、全ての荷物をまとめて、自分は家に戻った。
「お疲れ様」
「うん」
家に戻って、久しぶりにリビングのテーブルで食事をとる。そばでは家族がゲームをやっていたり、騒いだり、まぁ自分が移動する前と変わらない様子だった。
…………正直言って、1人の方が落ち着けて良かったけど。
晩飯を終えて、ふと妹がアイス食べたいという話になった。
「じゃあ俺行って、買って来るわ」
久しぶりに、外に出て歩きたかったので、自分が買いに行くのを申し出た。家-姉の部屋の往復を除くと、実に水曜日以来の外出だ。
外に出ると、案外寒い。人通りのない道を、ただ1人歩く。こうして振り返ると、色々とあった。
突然部内で感染者が出て、隔離される事になって、濃厚接触者となって、検査して、その結果は陰性。
色々あったけど、その期間は1週間にも満たない。かなり振り回されて困ったけれど、こうして1人でダラダラ生活するのも悪くはなかった。
だが、その期間は他人に差を広げられてしまう期間。だからこそ、まだ自宅待機が解除されるまでの残りの期間を有意義に使えればと思った。
皆さんも、いつこうなるかは分からない。濃厚接触者になった時の影響は、学生のみならず、社会人にとっても大きなものになるだろう。だが、それによって何かを発見したり、考える機会が生まれる事も確かだった。
これからも暫くはコロナと上手く付き合うしかない。その時、それをいかにして有意義に過ごせるか。それは、その人次第だ。
コロナによる差別など、間接的に起こる被害もある。そう言ったものを減らしていくには、コロナとしっかり向き合い、経験を生かし、1人1人が適切な意識を持つ事が大切だというのが、この自宅待機期間に自分が思った事である。
濃厚接触者が伝えたい事 トレケーズキ【書き溜め中】 @traKtrek82628azuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます