第10話 NPC(終)

「はっはっ。見たかあ」


「なに今の。すげえ」


「退いて攻めるは埋伏ありってな」


 何もせず、ただみんなでちょっとだけ、後ろを振り向いた。それだけ。反転もしてない。


「相手の指揮官、やっぱり相当な腕前だなあ」


 振り向く素振りにも、ちゃんと気付いて止まった。


「頭がいい方が勝つとは限らないんだなこれが」


 PCよりも瞬間の処理で劣るNPCでも、それをちょっとした工夫で罠にしてしまえば、こうやって勝てる。


「いやあ、撤退戦の必要すらないなあ。気分がいいなあ」


 なんとなく見た方向。左側。


「ん?」


 なんか光った。


「あっ狙撃っ」


 撃たれた。


 えっ嘘でしょ。


 自分だけ倒されちゃった。


 まじか。


 位置ばれしてたの私。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

勝利する撤退戦 春嵐 @aiot3110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る