口下手な主人公が想いを伝えるために、ギターを使ってラブソングを作る――たったそれだけのお話。
現実的に考えると、ラブソングを好きな相手に贈るというのは中々ハードルが高いかもしれません。
けれど主人公にはこの手段が一番でした。それはこの物語を読むと自然とそう感じられます。説明的な文章ではなく、主人公の奥手でどこかうじうじとした性格が伝わってくる地の文が知らないうちにそう思わせてくれるのでしょう。
だから彼が告白の方法としてその手段を選ぶことも、そして実際に告白する場面も、読みながら「彼らしい」と感じさせられます。
主人公に共感するというよりは、距離の近い友人の恋模様を見守っている気分になる、そんな物語です。