第2話 朝食

どうしてこうなったんだ。

たしか俺は青田さんと料理をしていたはず。

そしたらどうしてキッチンがぐちゃぐちゃ

になった。

できたパンケーキも異様なまでに苦くて

まずい。

そして俺は少しだけ考えた。

今までの情報を脳が拒絶しているかの

ようだ。

たしか初めの方は

と言い、数十分前を思い出した。


〈数十分前〉

「裕樹、何をつくるの?」

と青田さんが聞いてきた。

それに俺は

「パンケーキをつくる」

とだけ応えた。

この際ちゃんと作れさえすればいい。

そう思っていた。

手始めに俺は青田さんに卵を割ることを

お願いした。

すると、卵を片手で握り潰そうと

努力している。

俺は何をしているのか何となく聞いてみた。

「青田さん?それは一体何を

しているんだ?」

すると青田さんは

「見ての通りよ、卵を割ろうとしているの」

「いや、握り潰そうとしているの

勘違いだろ!」

俺はまたも呆れた。

青田さんは一見美人で清楚な女の子に

見えたが、中身は色々なことが出来ない

おかしな子だったのだ。

俺はすぐさま次の作業に移った。

牛乳を冷蔵庫から取り出して

ボウルに入れ先程自分で割った卵を入れて

かき混ぜようとした。

その時だった。

青田さんがボウルを見ながら

「私がやるわ」

と言い出した。

俺は混ぜるくらいなら大丈夫だろう

と思い。

ボウルを青田さんの所までずらした。

そして青田さんは勢いよくかき混ぜ始めた。

青田さんは混ぜてる時に飛び出た

ものなんて気にしなかった。

「青田さん、色々と出てるよ!」

と声をかけても止まらない。

思わず体に触れ、少し強引に止めた。

既に周りは色々な材料でぐちゃぐちゃだ。

そこで俺はパンケーキの粉を入れるのを

忘れていたことに気づいた。

今度はしっかりと俺がかき混ぜ、

とうとう焼くという工程の手前まで来た。

ここまでの時間は10分程度だったのに

1時間くらいに感じられた。

そして最後の工程だ。

フライパンで焼く。

弱火でしっかりとフライパンを温めた後

先程混ぜた、パンケーキの素を

フライパンに入れた。

青田さんはそれを羨ましそうに

見ている。

学習した俺は絶対にこれだけはやらせては

いけない。

そう強く思った。

そして1枚目が綺麗に出来た。

青田さんは羨ましそうな目から

熱い眼差しを俺に向けるようになっていた。

俺は仕方なく

「フライパンで焼いてみる?」

と聞いた。

青田さんは頷いた。

火事などがあったら大変なので

さすがにこればかりは無視できない。

そう思いずっと青田さんを見ていた。

俺はしばらく青田さんを見ていて思った。

先程から手が動いていない。

ん?

やっぱりおかしい。

そう思い声をかけた。

「青田さ...ん?」

と少し嫌な感じを出して尋ねた。

すると。

「どうしたの裕樹?

問題なんてひとつもないわ」

俺は反射的に

「さっきからいっぱいあるわ」

と応えてしまったが

無視された。

そして鼻に少し変な匂いが入ってきた。

まるで焦げた匂い。

はっ!と思い青田さんの握るフライパンの中を見た。

さっきから青田さんのことばかり見ていて

何故か気づかなかった。

人が食べられるとは思えないほど

焦げていた。

そのパンケーキには3つの点があり

まるで顔のように見えて尚怖かった。

「完成したわね」

などと青田さんは言っているが

「どこがだよ!未完成というかもうダメだよ

これ!」

とつい言ってしまった。


そして問題は誰がこのパンケーキ

を食べるかだ。

先程青田さんがボウルをかき混ぜた

ことによって。パンケーキはもう

1枚も作れない。

俺はさすがにあの不味そうな何かを

青田さんに譲るのは気が引けたので

食べた。

パンケーキに3つの穴があるせいで顔のように

見える。

俺は「これはシュミラクラ現象だ

これはシュミラクラ現象だ...」

と何度か呟きながら口の中に運んだ。

その味は想像を絶する不味さだった。

焦げた部分は異様に苦く、変に甘い所もある

正直吐きそうだ。



俺はこのあとぐちゃぐちゃになったキッチンを掃除させられるのであった。

それと同時に

青田さんと料理は一生しない

そう誓ったのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〈追記〉


読者の方々へ

2話の投稿遅れて申し訳ございません


シュミラクラ現象・・・

3つの点があるとそれを顔と認識する現象

【次回】

学校の始まり

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隣の席の青田さんは箱の中 @Shunono

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