8.パジャマって基本的に人に見せるモノじゃないからなんとなくお泊まり会は恥ずかしい気がする。

……………………

 お互いの身体を拭き合うという謎のイベントお風呂イベントを終えた私はコトちゃんのパジャマうさ耳パーカーに身を包んでいた。


「……コトちゃんってこういうウサギさんの着ぐるみパジャマとか着るんだ?」

「んー?それ兄貴が面白がって買ってきたやつだよー。あたしは着ないからタンスの下の方に入れてたのにわざわざ引っ張り出してきたみたい。」

「なるほど……まぁたしかにコトちゃんの今のパジャマとジャンル違うもんね〜」


 コトちゃんの格好はゆったりしたTシャツっぽいパジャマにそれとズボンといった感じ。他に普通の前開きのヤツとかも見えたので、この甘々モコモコなパジャマうさ耳パーカーはかなり異質な感じだった。アレ見てからだともはやあざといぞコレ……


「サイズは大丈夫そぉ?」

「うんっ!おかげさまでいい感じだよぉ!ちょこっとだけおっきいけど……」


 そう言いながら萌え袖になっちゃってる腕を揺らしてみせる。

”うさ耳パーカー”で”萌え袖”とか狙い過ぎ感出ちゃわないかなぁ……


「んー、やっぱり似合うなぁ……みうちゃんカワイイ系だし……写真撮っとこ……」

「なぁに?なんか言った?」

「んーん、なんでもなーい。」

「むぅ?まぁいっか。」


 なんかはぐらかされた気がするけどそんな重要な話じゃなさそうだしね、明らかにスマホの持ち方おかしいけど……って


「コトちゃん写真撮ってない!?」

「たはは、バレちったかぁ……大丈夫!可愛く撮ったから!」

「そういう問題じゃないーっ!消してーっ!もぉー!」


 笑顔でサムズアップをするコトちゃんから慌ててスマホを取り上げようとすると、コトちゃんはスマホを私の手の届かない高さに掲げる。くぅ……ここで背の差が出てしまうかぁ……!


「もーなんで消してほしいのさー?みうちゃん可愛いよー?」

「うー!だってなんか恥ずかしいしー!」

「じゃーあたしの写真撮ってもいいからさー?相互確証破壊抑止力って感じで」

「んー?それなんか違くない?」

「やっぱり?」


 仕方ないなー、じゃーこっち来て?って言われたのでコトちゃんのベッドに乗る。なんだろ?


「もっと近づいて?そうそう、はいチーズ!っと」

「ん、」

「ほーいパジャマダブル自撮りです!RaiNに送っとくねー?」

「うー、これなら……良いかな……?」

「でしょ?」


 まぁ、思い出としていいかも……あとコトちゃんが可愛いなこの写真……壁紙にしちゃおっと。


「うん、ごまかせたよかった。」


……聞こえてるけど、まぁいっか。私は寛大なちょろいのだ。

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女の子が血を分け与えるお話とその後のお話 音夢威(ので起こさないでください) @Partynigh20

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