7.くすぐりあいっこをする子供はやめ時が分からないことが多いよね

「……だいじょうぶ……いくよ……?」

「んー……いいよー……」


 私は、下着姿でコトちゃんと向き合っていた。どうしてこうなったのか、それには駿河湾日本一深い湾よりも深く新高山富士山よりも高い程度の理由がある。つまり、そこまで大した理由ではないのだけれども。話は数分程、遡る。


「そういや今日のお風呂とかってどうしたらいいんだろ?近くに銭湯とかあるの?」


 私だって花の女子高生(まだ1度も学校に行けてないけど、)である。静香ちゃんお風呂に住んでいる少女程では無いにせよ、出来ればお風呂は入りたいって気持ちはある。


「無いよ?」

「え、近くに銭湯とか……?

「無いんだよねぇ……残念ながら……」

「えー!?どうしよ……いや……まぁでも、出来れば入りたいってだけだからいいんだけど……」

「んー、気休め程度になっちゃうけど制汗シート使う?気分的にだけど少し違うとは思うよ?」

「ありがたく使わせていただきます……!」

「ほいほーい、どーぞっ!ついでにあたしも体拭いちゃおっと。」


 おもむろにコトちゃんは服を脱ぎ出して、私は少し気まずくなる。なんか恥ずかしい。慌てて背を向けると私も制服を脱ぎ始めた。

コトちゃんの姿が視界から消えると代わりに衣擦れの音とかが気になり出してドギマギする、、、うー……。なんか変に意識しちゃうなぁ……って


「ひゃうんっ!?」


突然背中にアルコール系のひんやりとした感覚を感じ、驚いて変な声が出てしまう。振り向くとコトちゃんが制汗シートを片手に悪戯っぽい笑みを浮かべていた。


「あはは無防備な背中を見たらやりたくなっちゃった、てへ」

「てへじゃないーっ!すっごくびっくりしたんだけど!?」

「わかるよぉその気持ち、びっくりしないとあんな声出ないもんね。」

「もぉー!!!コトちゃんったらぁ!」

「ごめんごめん〜お詫びに背中を拭いてあげるからさぁ……」


 軽く舌を出して謝るコトちゃんを見て私は怒る気力も湧かなくなる。最初から怒ってはないけどね。怒ってないですとも。


「お客さん〜痒いところはありませんかぁ?」

「あーもうちょい下……あー右、右、右、もうちょい上……あーそこそこそこ……」

「絶対そこ、みうちゃんの手届く場所でしょ……!」

「バレたっ!?」

「あはは……バレるよさすがに……よーし拭き終わったよ〜おしまーい!」

「ありがとっ!じゃあ交代だねっ!」

「お手柔らかに頼むよ〜?」

「えへへ……」


 改めてコトちゃんの背中を見る。すべすべで玉のような肌ってよく言うけど、しっとりとして柔らかそうで宝石のようなっていう冷たそうなイメージとは合わないなぁ、なんて思う。制汗シートを背中に当てて優しく拭っていく。何か悪戯されるかもって少し緊張で強ばっていた背中が少しづつ解れていくのが分かった。


「あー、いい感じ〜」


ふふっ……油断してるなぁ……

私は制汗シートを置くとちょっと間を置く。


「あれ?みうちゃん?如何したの?もうおわり……?」


 コトちゃんが疑問の声を上げるのを聞いて私は、つつーっと形の良い背中の上に指を滑らせた。


「ーーーーーーっ!?!?!?」


 コトちゃんは声にならない声を上げて悶えてる。ちょっと油断してる時にアレやられると物凄く擽ったいよね……!そのままの勢いで私は脇腹に指を伸ばすと軽くつつく。


「ちょっ……たんま、まっ……ひゃうっ!?」

「やめないもんーっ!くらえーっ!」


 そのまま私はコトちゃんをくすぐる。なんか思ったよりも良い反応返ってきて楽しくなってきちゃった……


数分後〜


「はぁ……はぁ……もう……むり……すとっぷ……はぁ……」

「今日のところはこんな所にしてやろう〜♪」


 楽しくなっちゃったので止まれませんでした。てへぺろ

 コトちゃんは頬を赤くして荒く息を吐きながらぐったりしている。息も絶え絶えって感じで酷い惨状だ……誰がしたんだろうね……はい私ですね……うん、ちょっとやりすぎたかも。


「みうちゃんの……えっち……へんたい……はぁ……もう動けないし……」

「えへへ……あまりに思った通りに反応してくれるからつい……」

「あたし……くすぐりに弱いんだよぉ……?」

「今の惨状を見ればわかるよ?」


 てしっと頭に手刀が飛んできた。甘んじて受け入れるとそのまま頭をグシャグシャって撫でられる。一応整えていた髪の毛が結構な勢いで乱れる。仕返しだなこれ……撫でられるのは良いけど。


「はぁ……もう……動きたくないから体拭いて?」

「はいっ!?えっ!?なんで!?」

「誰のせいでこんな事になってるのかな?みうちゃん?」

「はい、私のせいですね……」


 改めて制汗シートを貰うと今度こそちゃんと拭き始める。背中を拭いてる時はあまり気にならなかったけど、向かい合っていざ前を拭く段階になって距離の近さが気まずい。


「……だいじょうぶ……いくよ……?」

「んー……いいよー……」


 綺麗な肌にドキドキしながら私は謹んで拭かせて頂いたのであった。

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