第2話 無知な女の子に肉欲を教えようとしたら手痛いしっぺ返しをくらいました

 異変が起きたのは乳首当てゲームを終えて、下腹部触りっこゲームも佳境にさしかかっていた時だった。

 すっかり紅潮しきって口からはよだれまで垂らしていた少女(触りっこゲーム開始から5手目で全裸になった)を慣れた手付きで責めていると、突然少女が絶叫しだしたのだ。

 快感ゆえ、という雰囲気ではない。それよりもむしろ、苦痛に苛まれているかのような声に、ナツは驚く。

 ビリビリと痺れすら感じるような大声から、尋常でないことが起こっているとナツは感じる。

「だ、大丈夫!?」

 心のそこから少女の安否を気遣って、ナツは少女の肩をつかんだ。

 豊満な乳房が揺れる。

 それが引き金だった。


 ばしゅん!


 少女の身体が、内側から弾けた。

 ナツの顔に臓物の一部と思しきものがべちゃりと張りつく。室内にぽたぽたと、血の雨が降りだした。


「え…………?」


 今日一番、眼前の光景が信じられなくなって、後退る。なにか、救いのようなものを求めて周囲を見回したナツはそこで見てしまった。目が、合ってしまった。


「――!」


 それは少女の生首だった。いかなる力学がはたらいたのか、爆発の際、少女の頭はまるごとはじけ飛んでいたのだ。大きく見開かれた目が、こちらを見ている。


「ちが、……そん、そんなつもり、じゃ……」


 ナツの脳裏をよぎるのは少女の言葉。

 ――これ以上続けると私、死んでしまいますので……。

 あれは、そういうことだったのか。

 本当に死んでしまうという意味だったのか。


「――う」


 思わず膝をつく。なんとか堪えようと手で口を塞いで――次の瞬間、それが失策だったと思い知らされる。

 手にも当然、血はびっしりと付いているのだ。その鉄錆のような濃厚な臭いに吸い寄せられるかのように、胃の中身が逆流する。


「オエエエエエエエエエ」


 一通り吐き終えると、ナツは息を切らして、どうしたら良いのかと考える。

 だが、ぐるぐると無意味に空回る思考は時間を無為に消費するばかり。そのくせ精神力はごりごりと音を立てて削れてゆく。

 どれほどの時間が経っただろう。

 ナツはずっと、その場に座り込んだまま放心していた。

 ――もうダメだ。殺される。

 さすがに異世界とはいえど、人間を殺せば相応の処罰があるものだろう。ナツの見立てでは、少女は奴隷のたぐいではなさそうだ。少なくとも、遊びで殺されてもいいような身分にあるとは思えない。

 よく手入れされた爪や髪、そして純真無垢な瞳がそう訴えている。無論、今となってはそれらすべて、血みどろになってしまったのだが。


 ――逃げてみる?

 ナツは顔を上げて、部屋の出口を探した。だが、一見して扉のようなものは見られない。おそらく出入りには魔法が必要なのだろう。

「はは、誰か来るまで死体と一緒か……」

 空笑いして、天井を見る。不気味なくらい何もない、薄く発光する白い天井がそこにはあるだけだ。

 ――あれ?

 ――なにも、ない?

 まさか、と思いナツは慌てて部屋中を見回した。そして、発見する。上半身だけになった少女の姿を。

「どうして……。――っ!」

 答えはすぐに分かった。

 吹き飛んだ血や臓物、骨が戻っていっているのだ。少女の身体を再生するために。

 上半身だけになった少女は、裸身ではなかった。その身に、再構築が完了した上半身を覆うだけの服を纏っていた。

 おそらく、少女の身体は服と同じなのだ。ある程度魔法適性値が回復すると、自動的に肉体が再生するようになっているのだ。

「はあ~~~~~~~~~~~~」

 ナツは人生で一番長いため息をついた。

「とりあえず、生き返ってくれるみたいで良かった……」

 突然爆発した理由はあとで本人に聞こう。そう決めて、ナツは眠りについた。


◆◆◆


 あとで少女に訊いたところ、この世界の人類は短時間のうちに魔法適性値が大幅低下するとなんやかんやあって爆発するらしい。

 普段ならそんなバカな、とツッコミの一つでも入れているところだが、現にそのさまを目撃してしまっているのだし、エロくなると布面積が減る服なんてものまで存在するのだからそういうこともあるだろうと納得することにした。

「……まあ、そういうことですので今後はもう少し、魔法適性値の減少量が小さめな『げぇむ』を教えていただけると助かりますー」

「はい……気をつけます」

 さすがに臓物が弾け飛ぶあの光景はもう二度と見たくない。ナツは素直に頷いた。

「……あの、ところで外行ってみたいんだけど」

 この部屋にいると、血みどろの光景を幻視してしまいそうなので早く出たい――そう思っての発言だったのだが、

「それで、どんな『げぇむ』をなさいますか!?」

 キラキラと目を輝かせる少女に見つめられて、迫られて、ナツは言葉を詰まらせる。

 ――抗えない。

「うーん……………じゃあ、じゃんけん、やってみる………………?」

 かつてないほど焦燥しきった顔で、ナツは提案した。

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娯楽の伝道師として異世界に召喚されたのでとりあえず肉欲レズハーレムを作ろうと思います 砂塔ろうか @musmusbi

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