―Ⅰ― 人心と獣心
第1話 餌の少女
とある大国の国境に位置する深い森。その森を一台の幌馬車が疾風迅雷の様相で駆け抜けていた。
薄い霧がかかり、夜も完全に更け、方々に腰の高さもある草が生えた獣道を照らす明かりは大きく欠けた月と幌の内側に吊るされたランタンのみだった。
馬がけたたましく蹄を鳴らす中、馬車の乗員達も負けじと荒れ狂ったように〝ある〟口論をしていた。
火種はたった一言だった。馬を急かす御者が言った何気ない一言。
『この辺りは野良の死狼が出る』
その言葉をきっかけに口論が始まった。
「なぜここを通った?」
「どうりで話が旨すぎると思ったんだ」
「せめて夜が明けるまで待てば良かったのに」
「武器は支給されてないのか?」
乗員達の不安は絶えない。そしてその口から言葉が発せられる度にその言葉の一つ一つが熱を帯びていった。
カイサはそんな男達に囲まれながら、小柄な体を縮こまらせ、否が応でも耳に入ってくる男達の話を聞いていた。
しかしやはりカイサはその馬車のただの乗客というわけではなかった。
カイサは罪人のように両手と両足に鉄製の枷をはめられ、枷で不自由な足を折り曲げて膝を抱き、死んだようにそこに顔を埋めていた。
それは死狼の〝餌〟を次の町まで輸送する馬車だった。
―――みんな死狼に喰われちまえ。
「カイサ大丈夫?」
カイサの隣に座るもう一人の少女が言う。彼女もまたカイサと同じく餌として同乗していた。
少女はカイサに自己紹介したし名前も告げた。しかしカイサは少女の名前を覚えていない。
―――名前なんてどうでもいい。私達はみんな等しく餌だ。そもそも聞いてない。
横目でチラリと少女を盗み見る。そこにはカイサの手を握る少女がいた。
彼女は震えていた。しかし死狼が怖くて震えているわけではなかった。
少女は町を出た時から震えていた。町を出る時少女は言っていた。
「私達が餌になる時は昏睡状態にしてからだから、大丈夫。全然怖くないのよ」
少女は微笑みながら、しかしその目は潤み、口は震えていた。何回も何回も自分に言い聞かせるように言っていた。
―――おまけに新米かよ。
カイサは別に少女のことが嫌いなわけではなかった。
ただ全てが無意味なのだ。彼女への馴れ合いも気休めに対して気休めで返すのも。
カイサはそれを知っていた。カイサは少女に対してただ「ええ大丈夫」と小さく返した。
少女の顔が手でも打つように明るくなる。カイサが彼女に対してまともに口を利いたのはこれが初めてだった。
友達になれたとでも思っているのだろうか。それほどまでに心細かったのだろうか。少女がベラベラとしゃべり始めた。
カイサはまた膝に顔を埋める。
―――どいつもこいつも。死狼に喰われちまえ。カイサが心の中で毒づく。
馬車が大きく揺れた。また速度を上げたようだ。
しっかりと整地されていない道をこのまま強行して馬車を走らせるのは危険すぎる。そんなことは馬車に乗りなれていないカイサでも十分に分かることだった。
前にいた町を出てから丸二日。
出立して半日でこの少女と同乗し、それから更に一日半かけ移動してこの森に入ったが、その間カイサはこの少女はおろか誰ともろくに口を利いていない。
幾つもの寒村や寂れた町を通り過ぎ、大金を掴まされてこの仕事を請け負った間抜けな男達は遠足気分で浮かれ、しかしやはり他のことに考えが及ばなかったようで、馬車が次第に人里から離れて行くことに気付いてはいなかった。
男達の話によるとどうやらここは『死狼の森』と呼ばれているらしい。
なんでも人食いの死狼がうようよといて、森の奥で虎視眈々と獲物を待ち伏せ、有象無象の人混みのようにひしめき合っているのだそうだ。
カイサは口喧しい男達の罵声を聞きながらもつくづくと自分の不幸を呪う。
また、実際にそれを見たわけではないのだが、聞いた話によると死狼という生き物は人間の肉体や魂から『人の生命力』を食べるのだという。
その生命力を〝魂胞〟という器官で人知の及ばぬ〝特別な力〟に変えるのだと。だから死狼は好んで人食いを行うのだとも。
―――でも。
そんなことはどうでもいいこと。私はその死狼の餌になる。それだけ。私はこれから行くべき場所も帰る場所もない。それだけ。
少女は今、自分の故郷について話しているようだ。カイサは別にそれについて興味を持ったわけでも彼女と話したいと思ったわけでもなかった。
しかしその話に刹那、ほんの一瞬だけ、耳を傾ける。
―――故郷、そんな物があるだけましだ。
カイサには故郷がなかった。
カイサは生まれてすぐに死狼の餌として育てられ、死狼に食べられることが決まっていた。
それがどういう意味かこの少女に想像出来るだろうか。少女を品定めするように見る。
―――分かるはずない。こんなやつに……。私は生まれてからこの方、小さな愛さえ知らない。
カイサは再び少女を盗み見し、そこでこちらへと向けられた冷えた光の尖端へと目が行く。少女はその光をチラつかせながらカイサに目で合図を送った。
カイサは自分たちを取り囲む男達の様子を窺い、それに気づいていないことを確認すると耳を近づける。
「カイサこれ」
少女が小さな声で話しその光を膝の間から覗かせる。その鋭利さを物語る曲線と青白い光。ナイフだ。赤い血に汚れている。
大方この少女の血だろうとカイサは推理した。またどこに隠していたかもすぐに見当がついた。自分もやったことがある。こんな物騒なものではなかったが。
「カイサ、私達つけられてる」
カイサは幌馬車の幌と馬車の骨組みの間から外の様子を窺うと――少女の言う通り。
ランタンの光が幌の薄い布に透けて辺りを照らしていたが、林がやけに揺れている。馬車の周りだけ、風ではない。
そしてカイサは次の一言を誰にも聞こえない小さな声で言った。
「死狼」
少女も小さく頷く。
「私達なら逃げられる。きっと」
カイサがそのナイフを受け取った。
「まずは枷を外さないと」
少女はそう言うと視線を男一人一人に動かし、それから一人の男の腰にぶら下がっている鍵を見つけた。
それに気づきカイサが頷くと、寒いという言葉と共に手に息を吐く素振りを見せ、口を覆いながら言った。
「私が気を引く。鍵は任せる」
「早く」
少女が急かす。カイサが小さく首を横に振った。
「まだ」
馬車が細い道に入る。
御者が手綱を締め、馬の蹄が御者の掛け声とともに一旦鳴り止むと馬車の速度が目に見えて落ちた。
林がガサガサと激しく音を立てる。林の奥でこちらを向いた二つのぎらつく目がはっきりと見えた。
それを見たカイサがここぞとばかりに男勝りの雄叫びを上げ御者の男の背中に飛び掛かる。
首筋にズブッと一刺し――――。
そのままナイフの柄を全体重をかけ思いっきり後ろにえぐるように引く。
鮮血が吹き出した。
ナイフは恐らく骨まで達していたのだろう。御者の首は半分ほどが体と繋がっていなかった。
そして初めからそれが合図だと決まっていたかのように林から黒い三つの影が飛び出す。
うち二つの影は馬車前方に繋がれた二頭の馬の方へ、もう一つの影は馬車の下へと潜り込んだ。
それは一瞬――――。
二つの影が交差して馬を通り過ぎる、とその瞬間二頭の馬の首が吹き飛んだ。
そして馬車がズシンという衝撃と共に一瞬傾き、そのまま馬の死体に引っ張られ馬車が横転、その出来事がほんの数秒の間に起きた。
馬車の荷台内部に設置されたランタンの中身が衝撃で飛散し幌の布に燃え移る。
カイサ、ではない方の少女は馬車が傾いた瞬間、男から上手く鍵を奪い、馬車の後方から外へと身を投げ出していた。
少女はしばらく地面にうずくまっていたがすぐに上体を起こし馬車の方を確認する。
黒い影が三つ――――。
熊、それよりも大きい。実際、少女はこんな大きな死狼は見たことが無く、またそれほどまでの巨体だった。
オオカミのような姿かたちは他の死狼と変わらないが亜種か新種、他の生き物と言っても過言ではない。それ程までに大きい。しかしその死狼達はただ大きいだけではなかった。
動物や人を殺し、肉を食いちぎることに特化したその異常なまでに醜悪な大口と重騎兵が振り回すサーベル顔負けの牙。
そして大人一人の胴体であれば貫いて容易に吊るせるほど大きく湾曲した長い鉤爪。目は血でも垂らしたようにどす黒く赤い。
灰色の体毛が体を包み込み、背中に馬のような白いたてがみがある。
そして首回りは巻かれたように白い毛があり、白毛で覆われた首元は妊婦の腹のように隆起していた。
その毛むくじゃらの巨大な化け物はじりじりと四つ足で馬車へと距離を詰める。
幸い少女は馬車から離れた位置にいた。
少女は急いで左腕の枷の鍵穴に鍵を差し込む、とカチっと音を立てて鍵が開く。
それから素早くもう片方の腕、両足の鍵を開け、足が解放されると少女は立ち上がった。
燃えた馬車から乗っていた男達がぞろぞろと出てきたが、その中にカイサはいなかった。
少女は逃げるか迷った。
カイサは餌の少女が輸送されている最中にたまたま居合わせただけ。そう、言わば他人同士。
そしてカイサ以外ここに少女の味方はいない。
これは少女にとって明らかに分が悪かった。更に馬車から降りた男達はただ恐れ慄いているだけだった。
大きな影、死狼の内の一匹が人の言葉を喋った。
「悲死、当たりだ」
もう一匹がそれに応える。
「ああ楽死、馬車の荷台から人の匂いがしていたが、まさかこんなに人が乗っていたとは」
死狼が喋ったことに少女はたじろいだ。それはこの死狼達が常日頃から人食いを行っていることを意味していた。
―――心を持つ死狼とは即ち、人間の魂から心を食べて心を得た死狼。
そう、この死狼達は根っからの人殺しだった。
先ほどの手慣れた強襲にも納得がいき、少女はここから逃げなくてはいけないとすぐさま悟る。
しかし追いつかれてしまう可能性もあったし、どこかに他の死狼が潜んでいる可能性もあった。
どうすべきか少女が自分の置かれた状況に思い見ていると一人の男が震えた声で言う。
「その女をやる」
その男の指は少女の方を指されていた。三匹の死狼が一斉にその先を目で追う。
「おい、待て、あれは積み荷だぞ」
「あいつはただの人間じゃない」
「死狼に喰われるのは俺達じゃない。本来あの女の仕事だ」
そこで男達はタガが外れたように命乞いをし始めた。
「あの女と引き換えに、俺達を見逃してくれ」
「俺達は死狼の味方だ」
「人間界では人間と死狼は持ちつ持たれつで上手くやっている」
「餌ならいくらでもやる」
それを聞いた楽死という死狼がゲスに大笑いした。
「持ちつ持たれつ?勝手にほざいてろ。人間界の死狼は家畜と呼ばれている。俺は知っている。お前達、人間は死狼の力が欲しくて――」
「………待て」
一匹の死狼が一声でそれを制する。この死狼だけ他の死狼達と比べ体が一回り大きかった。
「命乞い。気に入った。お前達は見逃す。さっさと行け」
他の二匹が不満そうに吠える。
「嘘ッだろォ⁉狂死、おい正気か?」
「楽死の言う通りだ。あんな子供一人では俺達の腹は膨れない」
「あの女の左腕を見てみろ」
狂死と呼ばれた死狼は顎をしゃくった。
少女の左腕、上腕の真ん中辺り、そこに左右対称の紋章のような物が描かれている。
少女はハッとしてその紋章を右手で抑えて隠したが時すでに遅し。
「やはり。あれは最近人間界で噂になっている餌。これは一晩中楽しめそうだ」
そして狂死はニタリと長い牙を見せる。
「お前達が弄んだ後に俺が最後に魂を頂く(殺す)。今日は宴だ」
他の二匹は強引な独断にやや不服そうだったが、狂死と呼ばれる死狼が怖いのだろうか。二匹は再び狂死に逆らおうとはしなかった。
そして悲死という死狼は渋々と言う。
「魂の分け前が俺達にないのは気に食わないが、俺も若い女の肉は好きだ。いいだろう、狂死」
楽死と呼ばれていた死狼が裂けるほどに口の端を吊り上げ、馬車を包み込んだ炎に照らされながらゆらりと少女に近づく。
少女が目に涙を浮かべ口を両手で被い後ずさる――とその時だった。
「このガキ。おいオラッこっちに来い」
長い黒髪を強引に引っ張られ、カイサが燃えている馬車の裏から引きずられるように連れて来られた。地面に放り投げられる。
「このガキ。死狼にくれてやる。だがその前に俺達全員で袋叩きだ」
「いや待て」
間を置かずそう言った男はカイサの顎を乱暴に掴んで馬車から轟轟と燃え盛る炎の明かりに照らした。
彼女の整った顔立ち、抜けたように色味の薄い肌が艶めかしくてかる。
その顔は決して大人っぽいという意味ではなく、しかし可愛らしいとも違う。また違った美しさだった。
その少女が持つ独特の雰囲気。
冷たく刺すように反抗的な眼差しとは裏腹に、その奥にまだあどけなさを残した黒蝶真珠のような瞳。
薄い唇の隙間から上下に噛みつかんと言わんばかりに小生意気に漏れる犬歯。
背中まで流れるように伸びた髪はシルクレースのように軽く柔らかで、この世界にある黒、そのどれよりも黒く、さらにその上から箔を施されたかのような輝きを放っていた。
カイサの瞳に揺らめく炎が反射して艶めいた光を放つ。
「こいつあっちの女よりも全然見た目がいい」
その男の目は欲望に血走っていた。もう一人の男も言う。
「確かに悪くない」
「こんな女、俺の今月の稼ぎ全部出しても買えない」
「俺からだ。早く服を脱がせろ」
死狼達は足を止めその様子を面白そうに見ていた。男達がカイサに群がる。
「大人しくしろ」
「足枷が邪魔だ。外せ」
「鍵を無くした。合鍵はどこだ」
「よし、いいぞ。脱がせ」
「顔は血で汚すなよ」
「言うこと聞け。オラッ」
男がカイサの腹を思いっきり殴った。
男達に囲まれたカイサがその場でうずくまり血を吐く。
しかしそれを見た男達は泡を食ったように後ずさった。そして男達一人ひとりの顔が恐怖に染まっていく。
男達はカイサが吐血したこと自体に驚いているわけではなかった。
ましてや血が怖いわけでも無かった。しかし、ただそれは尋常ではないほどの血の量だったのだ。
その血はまるで蛇口でも捻ったように勢いよく出てくる。男達が殴った男本人の顔を見るも、そいつは困惑した顔で首を振るばかり。
――――――――カラン。
金属が地面に着地する音。吐血に紛れて口から出てきたそれは―――――ナイフだった。
カイサは笑った。
「ああああああああああっ」
一人の男が叫んだ。そいつはガクガクと震えていた。
カイサがそいつの腹からゆっくりとナイフを引き抜くと、男は自分の腹部に出来た裂傷と血のついたナイフを見比べ、ややあってそのまま崩れ落ちた。
男達は茫然自失してただその場に立ち尽くしていた。
そしてそれから狂ったように絶叫して目をむき、後ろに倒れ、カイサから這うように逃げた。
「こいつ人を殺したぞ」
「人殺しだ」
『私は何のために生まれてきた?』
カイサは静かに口を開いた。
「死狼、私と取引して」
「ほう」
答えたのは狂死だ。狂死はカイサに非常に興味を持った様子だった。
「この私が今刺した奴、あなた達に上げる」
カイサは二匹の死狼が迫りつつある少女を見た。
「だからそこの女の子と私を逃がして」
狂死は悠々として目を細める。
「お前が今、刺した男はじき死ぬ。死ねば俺はその魂を食べられない」
「後、何人刺せばいい?」
「言ったろう。殺せば魂は食べられない」
「じゃあ刺さずに、逃げられないようただ足を切り落とせばいい?」
狂死は笑った。その顔は非常に満足げだった。
「気に入った。お前は見逃す。行け」
他の二匹の死狼もその結論に満足そうだった。
それは自分達が男達を全員食べていいという意味だったからだ。
行くよ。そう言うとカイサは少女の手を取りその場から離れた。
※
森の中をひた走る二人の後ろの方で小さく男達の悲鳴が聞こえた。大分遠い。
『私は何のために生まれてきた?私は何のために生きる?』
カイサは振り向き、自分と年の変わらない少女を見た。
少女は泣いていた。これが普通の年頃の女の子の反応なのだろうか。
「ナイフ、飲み込んだよね。大丈夫?」
少女がカイサを気遣う。
「私もあなたと同じ餌。どうってことない」
カイサは少女から鍵を受け取ると手枷を外した。少女の手を握る。何かを確かめるように彼女の手に触れた。
『私は何のために生きる?』
「あなた名前は?」
少女はクスりと可笑しそうに笑った。
「私はクシ。名前はクシ」
「私はカイサ、改めてだけどよろしく」
カイサはクシという名前の少女に対して初めて笑った。
―――――グシャっ。
クシが潰れた。
クシだったはずの肉塊の上に狂死が立っている。
そしてカイサの腕が、クシの手と繋がれていたはずのカイサの腕がグニャグニャに曲がっていた。
一番大きく湾曲した所から太い骨が突き出している。
「聞こえなかったのか?『〝お前は〟見逃す』と――」
カイサの瞳に血の赤が灯った。
カイサの腕がバキバキと音を立てまるで巻き戻しでもしているかのように繋がっていく。
狂死の血のように赤い目が暗闇の中で細く光った。
「ほう、肉体再生の力――。お前も〝
それに対してカイサは何かを言い返したり、激昂して死狼に飛び掛かったりしなかった。
カイサの瞳から血の赤が消えまた鉄仮面のような冷たい面差しに戻ると、まるで何事もなかったように元通りになった手で血を払いそこを後にした。
その夜カイサはひたすら森を走った。
※ ―― ―― ―― ※ ※ ―― ―― ―― ※
蒸気機関による産業革命のすぐ後、ある大国で大きな技術革新が起こった。それは人食いの死狼の魂胞から『人の生命力』を抽出することだった。
人間がその恩恵を得るためには大量の〝人肉〟が必要だった。
人間は死狼を家畜として飼い慣らし、生命力と引き換えに罪人や病気で死にかけた者の肉を死狼に捧げた。
しかし人々が手にした生命力は極々僅かで今までの暮らしが劇的に変わるほどのものではなかった。
より多くの生命力を求めた人間は死狼餌と呼ばれる不死身の少女達を創り、死狼の〝餌〟にした。
それにより安定した人肉の供給が実現され、永続的な生命力を得た一部の権力者と貴族は永遠の命さえ手に入れた。
しかしそうした人々はただただ生命力を搾取、独占し続けるだけだった。
その下で民衆は生命力を奪い合い、国は腐敗し、人間の社会は輝きとその存在意義を失った。
しかしそんな世界の片隅で『餌の少女』はある『死狼』と出会った。
※ ―― ―― ―― ※ ※ ―― ―― ―― ※
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