〝食べられるために〟生まれてきた不死身の少女と人食い死狼が出会う感動のラブストーリー

荻原トリン

第一部 Lost In Your Light

―序― 餌の鎖

第0話 死狼餌









人間は〝死狼餌しがみえさ〟と呼ばれる不死身の少女達を創った―――。











「自分が何のために生まれてきたか知ってる?」



まだ七歳だったときカイサはそう聞かれた。

小首をかしげたカイサにそいつは言った。自分達は〝餌〟と呼ばれていて食べられるために育てられていると。

なぜと聞く。そいつは〝死狼しがみ〟という生き物がいると言った。死狼は人間を殺して食べると。自分達は死狼の力を欲する人々のために餌になると――。



―――声がする。沢山の人の視線が突き刺さる。



「あいつ餌だ」

「可哀想に」

「彼女の人生はただ死狼に食べられることだ」

「何のために生まれてきた?」

「いや、ただの十五歳の少女じゃない」

「私達の身代わりね。仕方ないわ」

「餌なのに見た目が悪くない。もったいない」

「違う人生を夢見たりするのだろうか」







『私は何のために生まれてきた?』


―――もう、嫌だ。





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