第43話『カジノ荒らし』
ルーレットを回している二人。散々稼いだ後で憐は0に全ベットした。結果は完全に勝ち。合計三十六倍のコインが彼の元に運ばれる。既に何枚あるかは数えていないが、これだけあれば大丈夫だろうと判断した。
「はいゼロ」
「……緑。0でございます……」
「はいこれでコイン……幾ら位だ?まぁいっぱいって事だけはわかるわ」
荒稼ぎした後で、雷の元に向かう憐。二面スロットをひたすらやっていた雷は、一二回でスロットの面を覚えた。それからはもう早い物で、後はひたすら打って稼ぐだけであった。
「さーて雷の方を見に行くか……うわ何やってんだお前……」
「ん?あぁ、ちょっと話しかけないでね、今集中してるから」
足元にコインが散らばっており、いくら稼いだんだ?と思える程の数を揃えていた。とは言えこれだけあれば問題ないだろうと、憐はどちらかと言えばよかったと思うのであった。
「いやいや……荒らせって行ったけどさ、やりすぎじゃない?ねぇ」
「駄目か?」
「いや……まぁいいだろう!よし裏カジノに行くぞ」
裏カジノ。それは一言で言うのなら、最悪の具現化である。法も生命もへったくれもない。あるのはただ一つ、金と快楽だけ。
「……裏カジノ?」
「あぁ。まぁあそこは……これくらいあっても足りるかどうか……まぁ行くぞ」
そして二人が向かった先は地獄そのものだと思った。人が平気で死に、金の為なら何でもすると言うような地獄の果て。雷も本当にここで合っているのか気になるほどであった。
「ここが裏カジノ?」
「そうだ、……まぁ、表向きにゃカジノは普通だが……前に言った確率操作なしって言うのが……ここだ」
確かに確率操作は出来ないだろう。なぜなら生きた人間がこの場所にいるのだから。そして生きた人間でギャンブルをしているのだから。だが逆に言えば強いやつがいれば荒稼ぎされてしまうという事でもあった。ただし、それの対策もあるが。
「……うわぁ……」
そして中心では何とも言えない闘技場があった。それがいわゆるコロシアイに使われる場所。それ以外にも明らかに人が死ぬような場所が大量発生である。正直ドン引きってレベルである。それに金持ってそうな奴らが賭けの対象になっている少年少女やらに金を賭けていく。
「では私はあの小娘に賭けましょうかね」
「おう行け坊主!とっとと進め!」
明らかに人を殺すために出来ているこの場所。ここがカジノの闇、裏カジノである。趣味の悪そうな奴らがいっぱいいる。しかも賭けられているのは何とも言えない金。人を殺して得たような金。地獄かな?と思うのも無理はないだろう。
「とまぁ……賭けの対象が人になる。普通に死ぬこともある。そう言う場所なんだよここは。地獄か?」
「地獄の方がマシでしょ。それでどうするんだよ?」
そんな地獄を片目に、これからどうするのかを質問する雷。憐は元々ここを通過点としてしか見ていなかった。もっと厄介なのが奥にある。通称地獄。本当に人が死ぬ為に作られたとしか思えない場所であるが、皮肉を込めてこう呼ばれている。『ヘブン』と。
「この先にある更に裏の奴、……通称『
「俺が勝てばいいと……成程な」
とても分かりやすい話である。勝つためには簡単な事。これさえ覚えておけば問題ない。勝てばいいのだ。自分が。と言う訳で参加する為にディーラーのいる場所に向かっていく雷。さっさと参加するのであった。
「さぁ皆さまお待たせしました!これより参加者を募集しております!ルールは簡単。あの橋を渡りきるだけでございます!」
「……参加するぜ?何か書く物とかあるのか?」
「遺書ですかね?」
「じゃあ俺以外は書かなくちゃぁなぁ……そうだろ?」
皮肉返し。傲慢と謙虚の入り混じった言葉に対し、傲慢で自信たっぷりに話しかける雷。これにはディーラーも笑っていた。
「それはそれは……では行ってらっしゃいませ」
そして選手室に入ると、そこには自分と同じくらいか、もしくは自分より年が行っている奴が大体六人くらいいた。
「ふーん……何か結構いっぱいいるなぁ……」
正直これから殺し合いに近いことが始まるのに、とやかく言っている暇はないとそそくさと雷はゲートに向かうのであった。
「さて。……行くか」
と言ってみたはいい物の、何と言うか明らかに殺意が高い橋を発見する。細さ五センチ程度である。普通の人間にはきついんじゃないのか?と思うがそうでもないらしい。とりあえず走っていくことにした。
「細っ」
『さぁ最初の橋はその細さ五センチ程度の橋!足を踏み外しちゃったらぁ……ジューだ!』
笑顔でそれを言うディーラーにドン引きしつつ、次の部屋にさっさと向かう雷。正直に言ってそんなに難しくないので流石にこれで落ちる奴は一人もいないだろうと考えていた。
「うわぁ……引くわー」
『まぁここで落ちる奴はいないでしょうね』
「うわー!」
いた。
『「いた」』
しかも二人も。正直ドン引きである。なお肉が解ける嫌な臭いがするが皆それを気にしない事にした。それを気にしている暇はないのだ。
「まぁいいや、とにかく次だな」
『さぁ次々行ってみようか!……目の前に広がる絶望、もとい地獄のチェーンソーを!』
とりあえず次に行ってみると、そこには地獄と言える場所であった。大量の丸鋸が空を切り、人を殺すために舞っている。雷はその前に地獄を多用しすぎではないかと思った。
「何でも地獄ってつければいいってもんじゃねーぞ」
「おあーっ!」
一人が一斉に丸鋸に襲われ、体が真っ二つにされてしまう。雷は何とかそれを避け、更に先に進む。もう既に三人になってしまったが、最後の一人になるまで続行されるのだ。そう言うゲームなのだ。
『うわぁ真っ二つだぁ!』
「仮にもギャンブルだろ……?こんな事あるか?」
とは言えそれを理解しているからこそ、このゲームに疑問が生じる。なぜこんな事をさせるのだろうかと言う物。今考えるべきではないとさっさと次の部屋に行くのであった。
『さぁ三人が次のステージに進んだぞ!そして次のコースはこいつだ!爆弾!』
「うわぁマジかよ」
浮いている爆弾が大量に迫ってくる。一人が突っ込んで行くものの、哀れにも避け切れずに爆散してしまう。次の部屋に逃げる前に、その男の助けを聞いたような気がした。だが誰もその男を助けない。助ける意味がないからである。
「いやd」
『残念だ!残り二人となってしまった!さぁ最後の橋は単純明快!先に外に出ればいいのだ!』
そう言われた瞬間、雷は更に走る。男も走りだそうとしたがもう遅い。既にドアまで走っていった雷はドアを閉め、そのままゲートを封鎖してしまう。生きる為には必要なのだ。
「……」
「待っ」
「じゃあな」
そう言った瞬間、部屋の内部が爆裂し、残っていた一人が木っ端みじんに砕け散る。元々こんな場所にいるのだ、死んでも構わないだろう。そしてディーラーは勝利宣言をするのであった。
『彼の勝利だ!そして彼に賭けていた奴はその十倍のコインが与えられます!』
凄まじいコインが彼らの元にやってくる。大量である。これには笑いが止まらない。もう一度やって更に稼ごうとする二人だが、ここで変な奴がやってくる。
「よし、大量だぜ」
「もう一回行くか?」
それは黒い服を身にまとった男。明らかに何か裏っぽい人間であった。その男はこちらに話しかけて来た。恐らくコインを稼ぎ過ぎていると判断されたのだろう。
「お客様、我らの主人が会いたいと言っています」
「……はぁ。なら行ってみようじゃねぇか」
と言う訳で地獄に通される二人。彼らの目の前には身長三メートルを超すような大男が平然と立っていた。いや座っていても分かるほどの巨体なのだ。筋肉も隠す事無く見せつけるようにこちらを向いて座っている。
「……」
しかし喋らない。こちらを向きながら圧を飛ばしてくるだけで、何も声が聞こえてこない。流石の雷もこれには話しかける。
「あの……喋ってくれません?」
「……」
すると隣にいる奴に顔を近づけ、声をかけていく。それはこういう節の言葉であった。
「お二人にはコロシアイに参加していただきます」
願っていない参加。しかしそれはボスに出会えるチャンスと言う訳でもあった。
ガレオ・ガレーラ~劣等上等!~ 常闇の霊夜 @kakinatireiya
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