スキル【若返り】の無駄遣い。
華宮すばる
プロローグ
『湖のほとりの独りぼっちの魔女』
それが私、アルトについた異名だ。
独りぼっちの魔女とはよく言えたものだと思う。
私は生まれてから3年経った頃から誰とも過ごしていない。
ただ頼まれた依頼を遂行するだけの魔女になっていた。
でも独りぼっちももう終わりだろう。
生まれてから1500年と何年か。
端数はある程度しか覚えていない。
こんなに長生きしたのだ、当たり前だ。寿命がそろそろ来る。
「婆さん、そろそろ死んどけ。」
やっぱりだね。死神の迎えも来たようだし、そろそろ死のうか。
生まれ変わったら、独りぼっちの生活をやめたいの...
そう少し微笑んで死ぬ準備が出来たと死神に合図を送るようにそっと目を閉じた。
「【若返り】を習得しました。」
「【若返り】使用します。」
「【若返り】レベルが上がりました。」
頭の中に、そんな声がピコンピコン聞こえ、驚いていると、死神が
「禁忌の術を...魔女め......................」
と忌々しげに呟き、帰っていった。
禁忌の術...........死人蘇生などのことだが、私は術を使っていないのだが...........。百年近く前の死人蘇生術の使用が今になってばれたのだろうか。
そう考えていたとき、丸々と肥っていた体がシュッと細くなり、足がのび、肩にかかっていた髪がかつてのエメラルドに変わった。
なんなんだろうか...........これは...幻でも見ているのか。私は死ぬ前にとんでもないことをしたのではないだろうか。
スキル【若返り】の無駄遣い。 華宮すばる @_ultimate
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