File.7　希望と正義が生み出すキセキの物語　（幽霊橋殺人事件）

　年中新聞、十二月十五日の朝刊に掲載された記事。

『14日午後8時45分ごろ、明智市小林区三丁目の二重橋（にじゅうばし）上で、同市、無職男性（25）の大型車両が歩道から飛び出してきた無職男性（42）をはねた。はねられた男性はその場で頭を打つなどして、病院に搬送されるも死亡が確認された。明智署によると、事故の原因は調査中とのこと』

　その一か月後。一月十五日の朝刊にこんな記事が掲載された。

『14日午前7時25分ごろ、明智市小林区三丁目の二重橋上で「人が倒れている」と明智署に通報があった。警官が駆け付けたところ、男性が歩道の隅で倒れているのを発見した。病院に搬送されましたが、約二時間後に死亡が確認されました。男性は後頭部に矢を受けており、県警は殺人事件と見て、捜査を進めている』

　殺された男性は滝川（たきがわ）宗一（そういち）。歳は十七。僕達とは違う区域にある面相高校の生徒会長であった。

　何故、彼は殺されなければならなかったのか。

　その真相に対し、こうネット掲示板ではこう噂する者がいた。

『15　名前　名無しでありまする　20××年1月15日11:14:11.56

　事件現場で見たって人がいるんだよ。一か月前に起きたひき逃げの被害者が幽霊になって、殺してたってところ。きっと、あの橋は呪われているに違いない。橋の上で不慮の死を遂げた男が彼を殺したに違いない！』

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