File.6 その館、緊急事態宣言発令中につき(異世界ハーレム殺人事件)

Ep.0 Re:ゼロから始める犯罪計画

 通常のインターネットとは違う闇の世界。人はそれをダークウェブと呼び、一つの犯罪サイトに今日も誰かがアクセスしている。

 「犯罪者になろう」。

 完全犯罪小説を冠する犯罪計画書が次々と書き込まれ、支配人ができるかどうか、そこに芸術性があるかどうかでランキングが決まる。

 

 その支配人が書き込むは非常に残忍な計画の一つ。

 

『これは、とあるツアーの最中、行われる最低かつ完全犯罪が可能な計画。この計画には名探偵と名乗るものも同行させ、大いに恥を掻かせたいと思う。そして、全国の探偵共、小説、ミステリー作家共に知らしめてやるのだ。幾ら、有名な名探偵がいたとしても、決して完全なものはない、と』


 彼女は陽気にキーボードを叩いていく。リズミカルに楽しく、笑いながら。


『今こそ、正義の犯罪者が立ち上がる時。この計画犯罪に一辺の狂いもなし』


 彼女はぼやく。

 楽しみにしてるよ、名探偵。貴方にこの連続殺人の謎が解けるか。それとも解けずに全員死ぬか、勝負しようじゃないか、と。


『裁きを! 裁きを受けるがいい! 有象無象共め! 魑魅魍魎ちみもうりょう共め!』


 彼女のそばにはもう、一人分の死体が転がっている。

 頭に金属バッドが埋まった女の視線を感じ、犯人はゾクゾクしながら鼻歌を口ずさんだのであった。

 

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