第7話 村の翁。
魔力を使う手がかりとして、魔石の存在を知った。
そもそも、魔力やスキルの知識、その使い方は、魔族であれば生まれながらに知っている。それを知らないで生まれてきた、俺は相当なビハインドを背負っているのと同じなんだよなぁ。
普通より早く成長でき、早い段階で知識を得ることができたのは本当に幸いだった。筋トレした俺マジでナイス!!
いつものように、日課のランニングをしながら、魔力について考えていると。
「ホッホッホッホ、今日も、鍛錬かのぉ。」
白髪、白ひげ、しわだらけのゴブリンがいた。
「あ、はい。すみません。どなたですか?」
「わしは、翁といわれてるものじゃ。そしてこの村の村長でもある。ホッホッホ。」
この爺さん、なんでそんなに笑ってるんだ。癖か?そういう性格?しかも、村長なのかこの人。
「初めまして、村長。」
あ、名前ないから、自己紹介どうすればいいかわからん。
「ホッホッホ。お主は、
「はい、父の種族は、ゴブリンウォーリアーです。」
父さんの種族って、自己紹介に使えるんだね。よかった、筋肉のついたただのゴブリンじゃなくて。というか、爺さん何の要件だよ。
「あの、どんなご用件でしょうか?」
「ホッホッホ。いやぁのぉ、お主が毎日魔力の鍛錬に失敗してるから、手伝ってやろうかと思ってのぉ。」
げ、この爺さん毎日見てたってことか?だが、今日の俺は違うぞ、魔石の存在を知ったからな!!
「今日は大丈夫です!!うまくいきます!!」
「ホッホ。なら、ここでやってみてくれんかのぉ。」
フンッ、見てろ。
「わかりました。ここでやってみます。」
俺は、その場で座禅を組み、集中する。魔石はどこだ、胸の心臓あたりか?
「......グヌヌ。(どこだ、魔石。)」
爺さんが、無言でこっち見てる?てか、目開いてる?まぶた下がりすぎだろ。いや、そんなことより集中。
やばい、どこに意識をやっても見つからない!!体のいたるところに意識を向けても見つからない。
「ホッホッホッホ。」
俺が焦ってるのがわかったのか、また爺さんが笑い出した。腹立つ。
「ホッホッホッホ、魔石のある場所を探すのではないぞ。魔石に自分の意思を伝えるのだ。」
え、意味が分からんアドバイスをありがとう。
「ホッホッホ。お主意外と馬鹿じゃろ。」
初対面のゴブリンの爺に馬鹿って言われた。
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
「ホッホッホ。お主は、体を動かすときわざわざ、その場所を探すか?歩くと意識すれば歩くし、モノをつかもうと思えば、手が動くじゃろ。魔石もそれじゃお主の一部なんじゃ。」
「......。(理解できたようで理解できない。)」
「まず素直にやってみせぃ!!」
うわ、初めて笑わずに、言ってきた。怖い。
魔石よ、魔力を動かせ。魔力を体中に循環させろ!!な、なんだこれ!!
「体が熱い!!じ、じいさんどうすればいい!!」
「魔力の流れをゆっくりにするのじゃ!!」
魔石よ、魔力をゆっくり循環させてほしい。なんだ、体がもすごく軽くなっような気がするぞ!!
「爺さん、体が軽い。いままでに比べて、大違いだ!!」
「ホッホッホ。この、魔力を循環させている状態が普通なのじゃ。お主魔力の使い方を知らずに生まれてきたのだろう?」
ゲ,やっぱばれてるよな。もしかして魔力の循環って生まれた時から当たり前にしてるのか?
「ホッホッホ。お主の思っている通りじゃよ。いくら魔族とはいえ、生まれたばかりの体は弱い。だから、魔力を循環させることで肉体の負担を減らすのじゃ。それでも、歩くのには最低限出来上がる必要があるがな。」
「じゃあ、おれはどうして、他よりもはやく歩けたんだよ!!」
「ホッホッホ。それはの......。」
「それは?」
「......。」
"ゴクリ"
「知らん。」
は?
「は?」
今、この爺さんなんていった。あんだけもったいぶって、「知らん。」ってなんだ?
「ホッホッホ。お主に、魔力の使い方教えたのじゃ。そう怒るな。自分で考えるのも大事じゃぞ。」
グ、一理どころか、百理くらいありそうだから、これ以上は言えない。
「でも爺さんでもわからないってこがあるのか?」
「予想はつくがの?ただ、それをはあまりに不自然なんだ。」
不自然?
「その予想でもいいから教えてくれよ!!」
「ホッホッホ。お主少しも自分で考える気ないじゃろ。まあいい、お主がほかの子たちに比べて早く歩けたのは、お主の体つきを見るに筋肉量がゴブリンの成体の手前までもう来ておる。」
もしかして、赤子の時から、筋トレしたのがやっぱり影響してたのか。
「だが、そういう個体はまれにいる。他のゴブリンの幼体に比べ、早く歩けるようになるものはな。」
なるほどね、一応成長早いのはいるんだ!!
「だが、異常なのはここからじゃ。早く歩けるものはいるし、他より筋肉量が多いものもいる。しかしの、それはみな、魔力循環を使っているうえで立ち上がり歩くのだ、お主のような肉体になる前に。お主は体が出来上がり、立ち上がり歩いた。魔力を循環させずに。」
あれ、これってやばいやつじゃ?昨日よりピンチなんじゃや?
「魔力の循環は本能なんじゃ。呼吸と一緒で、生まれた時からできる。でもお主はその本能を知らん。できなかった。でも異常に体を発達させた。そうさせる、本能以外の何かがあったのじゃ。でもそれが、わからん。赤子の体は自然に成長する。お主の成長はやはり不自然なのじゃ。」
あ、やばい。それ核心に迫ってるよ。元人間の魂が入っているからなんて言えない。基本的に魔族と人族って敵対してるって聞いたし。どうしよう。
「た、たしかに不自然だなっと、僕も思いました。もしかしてそういう、体質なんじゃないでしょうか?父さんも筋肉の塊みたいなものですし。」
「ホッホッホ。そうかものぉ、お主はウォーリアーの子、頭が抜けてるのも体の成長が早いのもいっしょかのぉ。」
ご、ごまかせたぁ。父さんありがとう。今日だけで二回も感謝したよ。
「ホッホッホ。お主はあの
この爺さん、いいひとだったなぁ。結構ギリギリのところまで危なかったが、なんとかなった。帰ろう。
「翁、今日はありがとうございました。また来ます!!」
「ホッホッホ。いつでも待ってるぞ!!」
「ただいま!!」
「「おかえりなさい。」」
今日は、父さんに助けられたし、ちゃんと感謝してあげるか。
「父さん今日は、二回も助けられたよ!!ありがとう!!
「お、おう息子よ!!ほんとに感謝してるか?」
「してるよ。たぶん。」
よし、今日は魔力の使い方覚えたしまた明日から頑張ろう!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます