第4話 三日目にして行動開始。

 生まれて3日目。不覚にも、昨日は眠気に抗えず寝てしまった......。まあ、赤ちゃんである以上、できることはほとんどないが、せっかく時間があまり余っているのだ。何かしよう......。


 最初は情報収集でもしてみるか、俺が知ってるのは神から教わった大まかな世界のこと。そして、食事の文化は野生そのもの。家の作りはお粗末。ゴブリンは、父さんと母さんしか知らない。んー、これは、無知ってことだね!!


 これから生きていく上で情報はかなり大切だ。


 まずはそうだなぁ、今自分が住んでいる家の周りの環境を知りたいんだよなぁ。

 そのためには、外に出るか、母さんや父さんから教えてもらうしかないが......。


 外に出るとなると、ハイハイをしていくしかないんだが、俺はまだ生まれて三日だ。試さなくてもわかる。四つん這いにすらなれない......。あとは、母さんか父さんに連れてってもらうって方法があるなぁ。父さんは狩りにいってるだろうし、母さんかな。


 よし、やるか。


「グギャー、グギャー。(母さんこっちきて!!)」


 泣き声?鳴き声?をあげれたら、母さんはすぐにやってきた。


「どうしたの、お腹すいた?うんち?」


 母さんが、俺の下半身を確認し何かしゃべっているが、残念ながら、うんちじゃないのだ。


「グギャ、グギャギャギャー!!(母さん、外に連れてって!!)」


「お腹がすいたのかしらね。今ナバナの実を持ってくるわね。」


 何か言って母さんは外に向かっていく。

 いや、そうじゃないって、俺も連れてって!!

んー、会話が通じないのはやっぱ不便だし、ストレスたまるなぁ。

 すぐに母さんが戻ってきた。そして、バナナもどきを食べさせてくる。まぁ、せっかくだからしっかり、食べるけどな!!


「おいしい?お母さん、ちょっとお外にいるから、いい子に待っててね。」


 また、母さんが家の外に行ったぞ。正直、今すぐ言葉を理解するなんてできないからなぁ。あたりまえだけど。


 んー、情報収集できなくね。唯一分かったのが、家の近くにバナナもどきがあったことだ。最後の一個とか、数が少ないとか、あるかもしれないが、母さんの表情的にそんなことはなさそうだ。


 ん?表情?そういえば、目がはっきりとみえるんだよな。人間の赤ちゃんだったら、視力って生まれた直後がかなり悪いって聞いたことがある。

生まれた時から,はっきり見えたし、歯が生えてたのと一緒で、種族特性とかかな?成長が早いてきな。

 地球の野生の動物ってなんかすぐ立ち上がれるよな。馬とかキリンとかさ。外敵から、身を守ったり、逃げるためにある程度成長した状態で生まれたり、成長が人間に比べてはやかったりするんだよね。

 

 まさしくゴブリンもそれなんじゃね?なんか、最弱のイメージあるし魔物の中で。成長も早そう!!なんか、希望が見えてきたぞ!!


 さっそく、早く歩けるように筋トレでもするか!全身の筋肉使うといえば、寝返りとかかなぁ。


"ゴロゴロゴロゴロ、ゴロゴロゴロゴロ"


 ひたすら、寝返りしてみたがかなり疲れるな。てか、床が痛い。ベットくれ、布団くれ。枯草って、チクチクする。文明度低すぎだろ!!


"ゴロゴロゴロゴロ、ゴロゴロゴロゴロ"


 悪態アクタイを突きながら、何度も繰り返す。たまに手足をばたばたさせる。


 いや、ほんとに疲れた。もう動けん。いやどうしよう。これ以上はオーバーワークかも。体は赤子だしな。こういう時は、睡眠欲が襲ってくるべきなんだが、目が冴えてしまっている。この時間なにしよう。まだ、父さんも母さんも帰ってこないし。


 前世で見た成長チートには魔力を鍛えるとかがあったなぁ。やってみるかぁ。

 

 ちょうど、体は疲れ切って、余計な力なんかはいんないし、目を閉じて俺にある魔力を意識してみる。


「......。(魔力はどこにあるんだ?)」

 1時間くらい、集中して魔力を感知しようと頑張ったが、全くわからん。俺には、普通のゴブリンに比べ魔力が多いはずだろ?まさか、神が嘘ついたんじゃないk......うわ!!ブㇽッ。なんか寒気がしたような。

 

 いや、もしかしたらゴブリンはもともと、魔力が鼻くそくらいしかなくて、それより多くても、結局ないに等しいとかそんなオチだったら最悪だな。


 まあ、よく考えたら、1時間じゃどうこうできるわけないか。根気よくやっていこう。


「帰ったぞ。」「ただいまぁ。いい子にしてた?」


 俺が、あれこれ考えているうちに両親が帰ってきた。


「さっそく食事の準備しますね。」


「ああ、パパは息子と戯れているよ。」

 

 母さんは帰ってきてすぐに、食事の準備をし、父さんは俺を抱きかかえこっちを見て笑っている。顔が怖くて、ちびりそうになったのは内緒だ。


 食事を終え、あたりが暗くなるとすぐに就寝の時間だ。ちなみに、ゴブリンは夜目がきく、だがそれでも、光のない家の中は一応見えはするが、結局暗いのだだ。寝るしかない。


 俺は、両親が寝静まるのを確認し、また魔力の感知に励む。


「グ......。(いくらやっても、とっかりが掴めん。)」


 やっぱそんな簡単にはいかないよなぁ、まあ時間はたくさんあるし、なんとかなるだろ。


 さすがに、今日は激しい運動(寝返り)をずっとしてたし、ねむくなってきた。また、明日からも繰り返しやっていこう。


 おやすみなさい。


「Zzzzz......。」




 



 


 

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