電車の中

YOU

朝の電車


駅の前改札につく頃私は必ず深呼吸をする

不自然じゃないくらいのを一つ

そして、改札に定期を潜らせる。

学校指定のローファーが鳴る音と

ピっと改札を抜ける音が朝の駅に響く


朝は人が多い

違う制服の子やスーツを着た社会人

大忙しだ。


7時38分初 一番乗り場

階段を降りてすぐにあたりを見渡す。


同じ制服の男子を目で追う。

今日も一緒だった…!

同じクラスの…子。

すごく目立つ子じゃないけど優しくてこう居心地がいい。

高校三年間一緒のクラスだけど特に進展はない。唯一彼と二人で話せるタイミングは電車の中だけだ。


しかし、臆病な私は、失敗に終わる


今日こそは…っ!


持っていた小さな手鏡をカバンから慌ただしく取り出して、家で何度も見て整えたはずの前髪をいじる。


よし、変じゃない…!


意を決して、声をだす。

同じ制服の男子に


「お、おはよ。」

「ん。おはよ。」


………以上!

いや頑張れ私!

気合を入れろっ…!


「…朝毎回この時間なんだね…家近いの?」

「ん。自転車で10分もしないくらいじゃねーかな…そっちは?」

「私は歩いて10分くらい…かな?」

「歩きだるくないか?」

「自転車持ってなくて……」



他愛のない会話

それでも心臓がバクバ音を立てる

電車の音や人混みが多くて助かった

静かな空間だったら絶対…聞こえるくらい心臓の音が大きい。


がんばれ…私…!頑張って連絡先を…っ


「…あのさ」

「ふぁい!?」


向こうから声をかけられる反射的に声が出る

恥ずかしい……!


「……いや、そういえば、連絡先知らなかったなって よかったらさ、教えてくんない?」



そういった彼の声はちょっとだけ震えていて

照れくさそうだった。


でも、それ以上に真剣な眼差しで息が止まったかと思った。


数秒の沈黙

やっと出た声は震えていた


「い、いいよ…私も聞きたかった…から」


あぁ…神様

私もしかしたら今日死ぬかもしれません…


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