Second revenge Ⅰ

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「ここがカームソードがあると言われる場所だ」


「へー!」


「いや、ここって……」


 イカにマッサージしてもらうとこじゃないか?


「こっちに開かずの扉があるんだよ」


 島をぐるっと回ると、年月が経ち、だいぶ腐食している扉が目に入った。


「これを開けてくれないかい?」


「わかりました」


 この先にカームソードがあるのかな?


「私とシャロールはちょっと準備してくるよ」


「え? お父さん?」

「そんなの聞いてないよ?」


「待っててくれ、佐藤君」


 ヒュイさんはシャロールを引きずって、どこかへ行ってしまった。


 きっとこの先には準備が必要なくらいの強敵がいるからだろう……。

 じゃあ、なんで僕は呼ばれなかったの?


 まあ、いっか。

 スキルでちょちょいと開けちゃお。


「目の前の扉が開かない」


 フォン。

 <スキルが使用されました>


 重厚そうな扉がゆっくりと開く。


 僕はそのまま二人を待つ。


――――――――――――――――――――


「さ、さとう!」


「ん?」


 やっと帰ってきたのか。

 待ちくたびれたよ。

 そう思いながら、声の方を向くと……。


 水着!?

 これまたどうして水着なの?


「今から勇者の剣を取りに行くのに水着って、冗談でも笑えないぞ」


「だって、お父さんが……」


 モジモジしながら下を向くシャロールは……かわいいなぁ。


「あれ? ヒュイさんは?」


「んーとね、お仕事思い出したんだって」


 このタイミングで?


「ホントか?」


「先に行ってていいんだって!」

「佐藤、早く行こっ!」


 シャロールは僕の腕に抱きついて、ニッコリ微笑んだ。

 水着で強調された胸の谷間に僕の腕が収まる。


「そ、そうだな、行こうかっ!」


 恥ずかしさをごまかすために急いで中に入る。


――――――――――――――――――――


 中に入ると小さな部屋……。


 バタン!


「あ!」


 入ってきた扉が閉まってしまった。

 まあ、また開ければいいでしょ。


 僕は室内を見渡す。

 簡素な照明と通気孔が天井についているだけの部屋。


 ん?

 あれは蛇口か?

 どこにでもありそうな蛇口がある。


「よくぞ来てくれた、勇者!」


 突如として、部屋に謎の声が響き渡る。


「私はカームソードの番人、ウォーターマン!」


 ウォーターマン?

 なんかファイヤーマンみたいだな。


「これから勇者にはクイズを解いてもらう!」


 クイズを?

 ファイヤーマンのときもそうだったな。

 こいつらマニュアルでもあるのか?


「と、その前に!」


 なんだ?


「スタート!」


 ウォーターマンがそう告げると同時に蛇口から水が出てくる。

 ここは密閉空間だから……。


「貯まっていってるぞ!?」


「ご名答!」

「このままでは、君達は溺れてしまう!」

「なので、これから私が出すクイズに素早く答え、脱出してもらいたい!」


 脱出ゲームってわけか……。


「ちなみに、ここではスキルは使えないからズルはできないよー!」


 マジか……。


「それでは、第一問!」

「ギルドで受けられる依頼の種類を全て答えよ!」


「えーと……モンスター討伐に……」


――――――――――――――――――――


「第三十二問!」


 まだあるの!?

 もうこれ以上は無理だって!

 今だって頭を出して息をするのに精一杯なのに、もう溺れちゃうよ!


「キャイア、ノーチル、そして私が所属していたパーティ名は?」


 私って誰だよ!


「ねぇ、佐藤?」


 混乱している僕にシャロールが後ろからピッタリと張り付く。

 背中に柔らかいものが当たる。


「な、なんだ?」


 今、忙しいんだけど。


「このまま、二人で溺れちゃおうよ?」


「そんなことできるか!」


 確かに死んでもやり直せるけどさ!


「私、佐藤となら死んでもいいよ?」


 濡れているからか、妙に色っぽいシャロールが妖艶な笑みを浮かべて僕を見つめる。


「んふふ……」


 ダメだ!

 惑わされるな!


「えーと……シャドウフレア!」


「正解!」

「いよいよ最後の問題!」


 もう溺れる寸前だ!

 早く答えないと!


「あなたが最初にフレンドになったのは?」


 そんなの……。


「ん〜、ゴボゴボっ!」


 ついに部屋が水で満たされてしまった。

 これじゃあ、答えられない。


 いや、答えられる!


「んー! んー!」


 僕は水の中でシャロールを必死に指差す。

 どうだ!?

 これで正解じゃなきゃ、溺れてしまうんだが!?

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