Third volcano
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「今日はね、洞窟の外に出てみようよ!」
「え?」
ファイウルはものすごく驚いている。
本当にここから出たことがないらしい。
「こんな薄暗いところより、外を散歩しようぜ!」
「でも……僕……」
「こっちこっち~!」
シャロールに手を引かれ、戸惑うファイウルは外に連れて行かれる。
――――――――――――――――――――
「わー! お外ってこんなに明るいんだー!」
ファイウルは空を見上げ、感動している。
「ね! 気持ちいいでしょ!」
「ここには洞窟にないものがいっぱいあるぞ〜」
例えば……。
「わ! あれ何!?」
少し先に昨日のスライムがいる。
「あいつは危険だから……」
「ねぇねぇ、君!」
僕の忠告を聞かず、ファイウルがスライムに近寄る。
「あ、おい!」
どうなっても知らないぞ!?
案の定、スライムはファイウルに火を吹く。
けど、確かファイウルはマグマに平然と入ってたから……。
「あはは! 気持ちいいね!」
火を受けて、笑顔のファイウル恐るべし。
「すごいなー……」
シャロールもあまりの光景に言葉を失っている。
「君達も遊びに来なよ!」
楽しそうに手招きしてくれるのは嬉しいが……。
「それは……」
「無理だよー!」
シャロールが叫ぶ。
すると、ファイウルの表情が曇る。
「やっぱり……僕のこと嫌い?」
さっきの一言は傷つけてしまったかもしれないな。
「謝ったらどうだ、シャロール?」
シャロールの耳元でささやく。
「うん……」
「ごめんね、ファイウル」
「僕達は君のことが好きだよ」
「……ありがとうー!!!」
ファイウルが飛びかかってくる。
「熱い!」
「アチチ!」
さっきまであぶられてたからな……!
「あ、忘れてたよ!」
「気をつけるね!」
「そうしてくれると、ありがたい……」
「それより、他のモンスターを探しに行こうよ!」
「そうだね!」
――――――――――――――――――――
「これは……」
「キラキラしてるねー!」
「しかも、大っきいー!」
悠然と僕らの前を歩くのは、甲羅に色とりどりの宝石をつけた巨大な亀だ。
確か、シェルリバーもこれくらいデカかったよな。
「でも、これ取れないよ?」
シャロールは甲羅の宝石を引っ張っている。
「たぶんそれも甲羅の一部なんだろ」
「それを剥ぐなんて残酷だぞ」
「そうだよね、ゴメンね」
僕がシャロールに注意すると、謝りながらおとなしく引き下がった。
「僕の家もキラキラにしたいから、ここらへんにないかなー」
ファイウルは下を向いて、キョロキョロしだす。
「じゃあ、私もー!」
こうしてみんなで宝石探しが始まってしまった。
――――――――――――――――――――
「ふぅ〜、疲れた」
ずっとかがんでたから、腰が痛くなってきちゃった。
「痛た……!」
年に似合わぬセリフを言いながら立ち上がると、頭上が輝いている。
なんだ?
太陽か?
見上げると、光り輝く何かが。
輪郭が丸くないし、太陽ではないか。
う〜ん、鳥の形……?
もっとじっくり見たかったが、目がくらんだので、一旦閉じる。
しかし、次に開けたときにはあの鳥は消えていた。
「あの鳥ってもしかして……」
フェニックスだったりして。
今ごろあの火山の中で燃えているかもしれないな。
「あー! これきれいー!」
「見てみてー!」
シャロールは緑の石を掲げている。
エメラルドかな?
「僕もー!」
ファイウルは青色の石を持っている。
サファイアかな?
「もっと探そー!」
「オー!」
すっかり意気投合しちゃって……。
――――――――――――――――――――
「佐藤だけだよ!」
「見つけてないの!」
二人は僕にキラキラ光る石を見せつけてくる。
そうだなー……。
なんでだろ。
でも……。
「大丈夫、大丈夫」
「僕はもっと輝くモノを見つけたからね」
「えー! なになにー!」
「見せてー!」
それは……。
「僕達の友情だよ」
「「……?」」
そんなにキョトンとされると、なんだかスベったみたいじゃん。
「もう帰る時間だな!」
「帰ろっか!」
けっしてスベったのをごまかしているわけではない。
「……そうだね!」
「バイバーイ!」
「またねー!」
――――――――――――――――――――
「ほら、見て見てー!」
ご飯を食べて、そろそろ寝るかと思ったとき、シャロールが僕に何かを見せに来た。
「おっ、きれいだな!」
シャロールの胸に今日拾ったエメラルドが輝いている。
ペンダントにしたんだ。
「そうでしょ〜?」
シャロールは胸を張って、自慢げだ。
「似合ってるよ」
「ただ……」
小さなエメラルドをヒョイとつまみ上げ、シャロールと見比べる。
「何してるの?」
「お前の方がきれいだよ」
「え……!?」
一瞬固まったシャロールは突然僕に背中を向けて、速足で寝室に向かっていった。
結構きまったと思ったけど、ダメだったかな?
――――――――――――――――――――
「なんで……あんなこと言っちゃうの……!」
胸がドキドキして、眠れなくなっちゃった。
「佐藤の……バカ」
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