Fourth break
=Now Loading=
「あんた達、暑くなかったのかい?」
キャイアさんは突然僕達にそう切り出した。
「「え?」」
「ボルカノンは暑いでしょ?」
「なのに、その服!」
「言われてみれば……」
僕は改めて、自分の服を見直す。
一般的なワイシャツ……というかこれが僕の学校の制服なんだが、長袖なので確かに暑かった。
「うん、私も暑かった……」
シャロールは……確かに長袖だもんな。
下も長ズボン……っていうのかな?
春ぐらいの気温のケスカロールならちょうどいいが、あそこでは暑かったかもしれないな。
「二人で買い物にでも、行ってきなさい!」
――――――――――――――――――――
「佐藤のお洋服は〜♪」
シャロールは楽しそうに服屋の中をちょこまかと動き回る。
「僕は何でもいいよ」
強いて言うなら、涼しいやつかな。
「これとかどう?」
シャロールはなんか……変な柄のシャツを僕に見せる。
正直ファッションに興味はないからなー。
「いいんじゃない?」
適当に答える。
すると、シャロールは顔をしかめた。
「むっ」
「そんなこと言うなら、私が決めちゃうからね!」
「うん、そうしてくれ」
考える手間が省ける。
僕は店内のベンチに座って、シャロールを待つ。
――――――――――――――――――――
「佐藤、見て見て!」
「おっ、かわいい!」
シャロールは白のスカートを履いている。
今まではなかなか見ることができなかったシャロールの足が見えて、なんか……緊張する。
「えへへ〜」
「それで、上は……」
無地のTシャツ?
「あ、これね、なんかね」
「そちらはパーティー名をプリントできる特別なものなんですよ」
店員さんが説明に来た。
へー、おもしろいな。
「そうなの!」
「佐藤、パーティー名って何だったっけ?」
シャロールはもうこれに決めたようで、パーティー名を僕に尋ねた。
えーと……。
「あ……」
まずいな。
なんとか隠してきたのに。
「早く言って!」
シャロールが僕を急かす。
あー、もうわかったよ!
「……佐藤のネコミミラブパーティーです」
「……」
「……かしこまりました」
「少々お待ち下さい」
店員さんは至って冷静に告げて、お店の奥に入っていった。
なんだろうなー、この空気。
やってしまった感がある。
――――――――――――――――――――
「あら、かわいいわね」
「スカートがとっても似合ってるよ」
二人はシャロールを褒める。
確かに僕もかわいいと思う。
「なあ、佐藤のネコミ……うぐっ」
「ラブパー……むっ」
何かを言いかけたノーブとホープは口を封じられる。
「そこは触れちゃだめよ〜」
「そうだぞ〜」
「……」
シャロールはあれから黙ってるし、こんなに気を遣われるとは。
まいったな。
――――――――――――――――――――
「なあ、ごめんって……」
「もう知らない!」
私は佐藤に背中を向ける。
「……ネコミミ、好きなんだよね」
佐藤の手が私のネコミミをなでる。
「私のことなんて……」
「シャロールはもっと好き」
「……!!!」
私のネコミミが小刻みに動いてしまう。
「かわいいなぁ……」
私はどっちが……と聞けずに黙ってしまった。
そのまま眠りに落ちる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます