Third passion Ⅰ

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「いつまで寝てやがる!」


「うわ!」

「ごめんなさい!」


 ……あれ?


 今、ガドーさんの声が聞こえたんだけど、姿が見えない。


 夢か?


「ご飯ですよ〜」


「はーい!」


 きっと向こうの部屋から呼んだのかもしれない。


――――――――――――――――――――


「今日はボルカノン火山まで行くんでしょ?」


 僕は朝ご飯を食べながら、おばさんと話す。


「しっかり食べて体力をつけなくっちゃいけないわよ」


「はい!」


 あ、そういえば……。


「僕、ボルカノン火山の場所がわからないんですけど……」


「それなら、この地図を使いなさい」


 おばさんが地図を差し出してくれた。


「ありがとう……ございます」


 思わず言葉が詰まってしまった。

 なぜなら地図がすごく汚いからだ。


 誰が書いたんだ?

 ガドーさんか?


 それにこの字、どっかで見覚えがある。


「ごめんなさいね、佐藤さん」


「はい?」


「私達は忙しくて一緒に行けないのよ」


 そうなのか。

 だから、わざわざ地図を。


「いえいえ、地図まで用意してくださりありがとうございます」


「佐藤さんは優しい子ね」

「さ、早く食べて準備しなさい」


「はい!」


――――――――――――――――――――


「行ってきます!」


「気をつけるのよ〜」


 おばさんはわざわざ見送りまでしてくれた。


 なんて優しい人なんだ。

 あの人とは大違いだ。


 そういや、ガドーさんを見かけてないな。

 どこにいるんだろ?


 ま、怒られないからいっか。


――――――――――――――――――――


「下手くそー!」


 こんな地図で着くわけないだろー!?

 何回道に迷ったと思ってるんだ!

 一応火山はでかいし、そこから出てる煙を目印にしてなんとかここまで来れたが……。


「シャロールー!!!」


 ここがボルカノン火山の麓のはず。


「おーい!!!」


「ハーハッハッハ!!!」


 なんだ!?

 どこからか声が!


 僕はあたりを見渡す。


「ここだよ! ここ!」


 近くにある大岩の上に人影が!


「とう!」


 そんなかけ声と共にそいつはきれいに僕の目の前に着地した。


「お前は誰だ!」


 真っ赤なマスクをかぶったこいつの正体は……!


「知りたいか?」


「ああ!」


「フッ、よかろう」


 そいつは口に握りこぶしを当て、咳払いをした。


「ゴホン、ゴホン!」


「早く名乗……」


「燃える火山の地に産まれ!!!」


 口上があるのか……。


「熱き誓いを心に燃やす!!!」


「……」


「悪は許さん、燃やしてやろう!!!」


 燃やすの?


「正義のヒーロー!!!」

「ファイヤーマン!!!!!」


 わー……すげー……。


「おい! お前!」


「はい?」


「早く話を進めろ!」


「え?」


 なんのことかさっぱりだ。


 あ、そうだ。


「シャロールを知りませんか?」


「そうだ!」


 そうだ?


「これくらいの身長で……」


「シャロールを返してほしければ!」

「俺の出す試練を乗り越えろ!」


「返してほしければって……」

「お前が犯人か!」


「そんなことはどうでもいい!!!」


 いや、重要なんだが……。


「第一の試練!」


 勝手に始めるな……!


「頭を使え! 究極クイズ!!」


 はあ?


「問題だ!」


 クイズ……なのかな?


「この岩はアツいか!」


 ファイヤーマンが近くの岩を指差す。

 とても大きな岩だが……。


「アツいかってどういうことだよ……」


 ここは火山だから、あの岩も熱い……。

 そんなわけないな。

 いくら火山だからって、あの岩が熱いとは言い切れない。


「う〜ん」


 まったくわからない。


 ファイヤーマンが問題出してるから、答えは熱いなんじゃないか?


 僕は半ば投げやりにそう考えて、回答してみる。


「アツい!」


 どうだ?


「ちっがーう!!!」


「えええ!?」


 なんで!?


「こっちに来い!」


 僕はファイヤーマンに近づく。


「この岩を横から見てみろ!」


 横から?


 言われたとおり、回り込んでみる。


「あ!」


 正面から見るとすごく大きい岩だったが、横から見るとすごく薄い岩だ!


「正解はアツくないだ!」


 アツイってそういうこと!?


「本当はここで失格なんだが……」


 そんな……!


「お前のシャロールへの熱い思いを見せてみろ!」


 シャロールへの……。

 熱い思い……。


「それ次第で、第一の試練はクリアということにしてやろう!」


 やった……!


 でも……。


「具体的には何を?」


「漢ならグダグダ言わずにとっととやれ!」


 え〜ん、無茶振りだよ〜。


「早くしねぇと……」


 ヤバっ!

 ファイヤーマンから炎が上がっている……!


 こうなりゃやけくそだ!


「僕はシャロールが!」


 う〜ん……!


「好きだ!!!!!!!!!」

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