Sixth statue Ⅱ
「ほら、こんな風にみんな石になってるんですよ」
僕達は町に入り、周りの人を見回しながらギルドに向かった。
「ホントだわ……」
「よく佐藤君とシャロールちゃんは無事じゃったのう」
「いえ、シャロールは僕が石から戻したんです」
「ポーションがあったんですか?」
オリーブさんが不思議そうに尋ねた。
というか、オリーブさんはポーションが必要って知ってるんだ。
まずいな……。
「前お店から一個だけ買ってたんです」
ホントは盗んだなんて言えない……。
「よかったですなぁ」
「それにしても、佐藤さんはどうして石になってないんだい?」
「……どうしてでしょうね?」
僕もわからない。
「勇者だからだよ!」
シャロールが自分のことのように誇らしげに答える。
そう……かな?
そんな単純なことなのかな?
「さあ、着きましたよ」
そうこうしている間に、ギルドに着いた。
――――――――――――――――――――
「四日前の朝、僕が目を覚ますともうすでにみんな石になっていました」
「いつ石になったかわかりますかな?」
「……わかりません」
「そうか」
「ただ、僕が起きるしばらく前だと思います」
「なぜそう思うんですか?」
「朝ごはんが途中まで作ってあったからです」
「なるほど」
「その後、シャロールを?」
「はい、シャロールにポーションを使いました」
「なぜシャロールさんに?」
え……!
それは……。
「もっと他にいたでしょう? ギルド職員や薬師などの頼れる人が」
「わざわざシャロールさんに……」
「大切な人だからじゃないのかい?」
「はい?」
トワイルさんはけげんな顔で訊き返した。
「シャロールは佐藤さんにとって大切な人だった。だから、ポーションを使った。それじゃあダメなのかい?」
「そうですか……」
どうも納得してなさそうな顔をされたが、それを気にする前に話は次へ進んだ。
「他に何か気づいたことは?」
「モンスターも石になっていました」
「ほう」
「しかし、スロウタースコーピオンは石になっていませんでしたよ」
確かにそうだ。
「でもでも、シェルリバーやバイティングスネークは石になってたもん!」
「モンスターが石に……」
「……そういえば、シャロールちゃんが抱えておる、そのスライムは何者なんじゃ?」
ノーチルさんの発言でシャロール……が大事そうに持っているクロイムにみんなの注目が集まる。
「彼はクロイムって言って……」
――――――――――――――――――――
「それで一緒に暮らすことにしたの」
「スライムにもそんな事情があったんですね」
シャロールの説明を聞き終えたオリーブさんは感心しているみたいだ。
その横でキャイアは今にも泣きそうな顔をしている。
「かわいそうなクロイムね……」
「シャロールに会えてよかったわね……」
「だからといって、危険じゃないとは言いきれませんよ」
感動ムードに水を差したのはトワイルさんだ。
どうやらまだ疑っているらしい。
その気持ちはわかるが、この人はモンスターを危険視しすぎてるんじゃないか?
「まあまあ、もし裏切ったらわしが元に戻れないくらい切り刻むから大丈夫じゃよ」
ノーチルさんは場をなごませるようにそう言った。
……というかそれは大丈夫と言えるのか?
そして、クロイムは言葉がわからないはずだが、何かを感じ取ったのかシャロールの腕の中で縮こまった。
「もー! クロイムが怖がってるじゃないですか!」
「すまん、すまん」
「そもそも私達はそんなことをしに来たんじゃないんですよ」
トワイルさんが話を戻すそうとしている。
そういえばそれを聞いてなかったな……。
「みなさん、どうしてここに来たのですか?」
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