Second quest
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「はっ!」
気が付くとそこはお城の前だった。
とりあえず王様ともう一度会う必要はないらしい。
それにしても、さっきはひどい目にあった。幸運の女神のせいで不幸が訪れるとは。
今度はギルドに近づかないようにしよう。
もしギルドに用があるときは気を付けて入ろう。そう心に誓った。
しかし……ギルドには行かないことにしたが、町には入らなければならない。
なぜなら、僕には住む場所や食べる物がないからだ。
この城の前で野宿なんてしたくないし、食料なしではいつか死んでしまう。
死んでも生き返ると思うが、それでも餓死はしたくない。
それに死んだら時間が戻るようだから、獲得したアイテムも消えるのでは?
そういえば……。
このゲームにセーブポイントはないのか?
セーブができれば、死んでしまってアイテムを失うことにおびえる必要はない。
チュートリアルや王様との対談では勝手にセーブがされていたようだが、手動でセーブできる場所はないのかな。
何か知りたいことがあるときに役に立つのが……。
「ヘルプ!」
セーブについての項目を探すとこう書かれている。
「オートセーブは重要なイベントの前後で行われます。また、町にあるギルドや宿屋に行き、宿泊手続きを行うとセーブされます」
げっ! ギルド!
セーブのためにはギルドか宿屋に行かなきゃいけないのか。
気になるのは「宿泊」という言葉だ。
宿屋はわかるがギルドでも宿泊できるのか?
まあ、そんなことはどうだっていい。
今の僕は、いわばホームレスだ。寝る場所がないのだ。なんとかして、泊まれる場所を見つけなくては。
しかし、ギルドにはできれば行きたくない。
となると……。
僕は宿屋に向かって歩き始めた。
地図はヘルプに載っていたので、それを見ながら歩く。
しばらく歩くと宿屋の看板が見えた。
ドアを開けて、中に入る。
「いらっしゃい」
カウンターのおばさんが声をかけてきた。
「何泊する予定かい?」
何泊? 家がないのでずっと泊まっていたかったが、僕はとりあえず
「一泊で」
と答えた。
「じゃあ、50ピローだよ」
この国の通貨はピローと言うのか。
そう思いながら財布を探すがどこにもない。
ここに来たときは制服を着ていて、その内ポケットに財布を入れていた。
その制服はチュートリアルの時に脱いで……。
あっ!
チュートリアルの最後に、あのナイトが言っていたじゃないか。今身に着けているもの以外はすべて消去すると。
つまり、僕の財布は消えてしまったわけだ。
まあ、仮にあったとしてもピローなんて持ってないか。
「すみません、お金を持ってないのを忘れてました」
そう言うと、おばさんは怒って僕を追い出してしまった。
これからどうしよう。
やはり、ギルドに行くしかないのか。
いや、ギルドでの宿泊もお金がかかるだろう。ただで宿泊させてくれるわけがない。
じゃあ、お金を稼ぐしかないのか。
「ヘルプ!」
僕は再びヘルプを開き、お金について調べてみる。
「お金は原則として、モンスターを討伐した報酬金として支払われます。また、特定の依頼をこなすと報酬として獲得できることもあります」
なるほど、基本的にはモンスターを倒さなければならないのか。
特定の依頼とは何のことだかわからないし、モンスターを倒すことが主な収入源になりそうだ。
しかし、よく見ると最後にこんなことが書かれている。
「※注意:冒険者登録を行っていないプレイヤーのモンスター討伐は違法行為です。処罰の対象になります」
え!
ということは、やはりギルドに行かなければならないじゃないか。
そう思い、僕はギルドへ歩き始めた。
しかし、僕は一日中歩き続けて疲れていた。
さらにもうあたりは暗かった。
だから前方からくる人影に気づけなかった。
グサッ。
突然ナイフを刺された。
僕はいろいろと考える間もなく、崩れ落ちた。
死ぬ間際にナイフを突き立てたやつの顔をよく見ると、ギルドにいたあいつのようにも見えた……。
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