Quest in Town (町での探索)

First quest

 ここはどこだ?

 目の前には街道が続いている。どうやらここをまっすぐ進むと町に行くようだ。

 一方、後ろにはでかい城がある。ここがさっきまで僕がいたところなのかな?

 少し城に近づくと、メッセージが表示された。


 <ケスカロール城に入りますか?>


 <はい/いいえ>


 特に王様に用は無いし、町が気になるのでいいえを選ぶ。

 そして、町に向かって歩き出す。


――――――――――――――――――――


 しばらく歩くと、様々な建物が見えてきた。

 中世ヨーロッパをモデルにしたようないかにもファンタジーらしい建物を眺めながら、とりあえず町の中心部に進む。

 すると、町の中心部にひときわ大きな建物があることに僕は気づいた。

 その建物は正面入口の上に大きな看板を掲げている。


 『ギルド:ヴォルドガ →冒険者登録は受付まで』


 と書かれている。

 特にやることが無い僕は好奇心からギルドに入ってみた。

 中はさまざまな冒険者でにぎわっていた。それぞれが楽しそうに騒いでいる。

 受付けらしきカウンターが入口からまっすぐ進んだところに見えた。

 とりあえず冒険者登録とやらをしてみようと思い、そこに向かった。

 しかし、ここで困ったことが起きた。


「おいおい、兄ちゃん。人にぶつかっといて、謝りもしないとはいい度胸だな」


 ガラの悪い、酒臭い男に絡まれてしまった。


「そんなことないですよ。気のせいじゃないですか」


「なんだと!? 俺が間違ってるとでも言いたいのか!?」


 男は激昂して、僕の胸倉をつかむ。

 そして、僕の胸にある幸運の女神を見て言った。


「へへっ。これは高く売れそうだぜ」


「おい、表に出て決闘しないか? 兄ちゃん?」


 僕は面倒ごとに巻き込まれたくなかったので逃げようとしたが、まだ胸倉をつかまれているのでどうしようもできなかった。

 男は僕の腕をつかみ、逃げられないように外に向かって引きずっていった。この男、バカだが力は強いようだ。

 ギルドの横の人気のない路地に入ると、男は急にナイフを出して、斬りかかってきた。

 僕も死にたくはないので、避けようとした。

 が、現実は非情なり。

 僕が避ける前にナイフは僕の胸に突き立てられた。

 どうやら僕はよくある異世界転生者のように強くないようだ。

 冷静に自分の力不足を分析しながら、僕は死んでいった。


「こいつは金になりそうだぜ」


 あの男の声が最後に聞こえた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る