第六十二章 鬼神輝明
第六十二章
「はあ。」
僕はため息が止まらなかった。思い出すだけでまたため息が出た。
「はあ。」
あの場に鬼は僕しかいなかった。だから僕が行くしかないのは分かる。それでも、行かせたくないみたいな素振り見せて欲しかった。それなのに『いなくても大丈夫』などと言われると、もうため息しか出ない。
「はあ。」
「
「え?何も言ってないけど?」
「ため息がうるさい。耳障りだ。」
シスルナが顔をしかめて言った。
「ため息くらい好きにつかせてよ。」
「息をするな。息をしなければため息もつかぬわ。道中ずっとため息をついているつもりかえ?」
シスルナが少しイライラして言った。相当耳障りらしい。
「はあ。これで最後にするよ。」
僕は最後に大きなため息をついた。
「ねえ、シスルナ。
僕は
「どんなとは?」
シスルナが答えに困って尋ね返して来た。
「そうだな。例えば、うちの
「
シスルナが冷たい視線を送って来た。
「違うよ。ただの例え。
僕は全力否定した。
「
「何だって?」
「悪さをするような奴ではなかった。」
「悪さをするような奴ではないって、何人もの
「人間と長くいると考え方も人間寄りになるのだな。人間など我々の
シスルナは
「シスルナは
僕はシスルナのことを
「人間に
シスルナはそう言って僕を
「
シスルナが何もない
「言った通り、私はここまで。ここから先はお前一人でお行き。」
シスルナが
「分かった。ありがとう。」
僕はシスルナに悪い気がしながらも一人で
一歩鬼の里に足を踏み入れると、ぱあっと辺りが明るくなった。足元に咲き乱れる花々や生い
「そこにいるのは誰だ?」
周囲を見回していると、
「あの、僕は
そう言いかけたところで、僕を見つけた相手が誰だか分かった。
「
そう叫んだのは紛れもなく、
「
僕もその名を叫んだ。
「どうしてこんなところに?遊びに来てくれたの?」
「
僕がそう言うと、
「
「
「
僕の話を
「いいよ。私が
「本当!?」
「うん。
「ありがとう。
僕と
「いつ行く?今から?」
「うん。来てくれる?」
「もちろん。」
僕は
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