&α
愛を伝える。
基本的で、ありきたりなコミュニケーション。その大事さを知ったのは、彼と出逢ってからだった。
「おはよう?」
声をかける。
彼。
聞こえていない。
そっと、袖にふれて。ほんの少しだけ、引っ張る。
彼。無表情だった顔が、こちらを向いて、少しだけ軟らかくなる。
「おはよう?」
口を大きめに開けて。聴こえなくても、分かるようにはっきりと動かす。
「おはよう」
彼の返答。そして、やさしい笑顔。
さあ。
学校に行こう。
あなたと一緒に。
「退院。おめでとう」
「ありがとう。もうどこも痛くないし、大丈夫です」
「よかった」
「好きよ」
返答を待つ。
彼。笑顔。
「うん?」
「好き」
彼。応答はなかったけど。
「大好き」
顔が朱くなっているので。どうやら、伝わったらしい。
「ぼくもすき」
返ってきた声は。小さいけど、やさしかった。
隣のあなたに届けるために 春嵐 @aiot3110
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます