もう一つの時計

 あれから二週間経ったが、直された時計には誰も違和感を抱く者はいなかった。


 時計の音を聞くだけで眠れない日々が続いたが、今はもう気にならない。


 廊下を歩いていると女子達が話をしているのが耳に入る。


 「空き教室の時計壊れてたらしいよ。」


 「え?何で?」


 「何か誰か勝手に使ったらしくてさ。先生が近くの時計屋に修理出したんだって。」


 「えー?何の為に?時計屋なんかこの辺あるんだ。」


 「うんほら、あの道の…。」



 女子が指差した方角はオレの帰り道の方だった。



 まさか…。


 

 確かに戻す時、雑に扱ったかもしれない。


 

 もう震えが止まらなかった。



 廊下から教室に帰り、時計を見た。



 カッカッ--



 今日はこの音が姉妹の笑い声に聞こえたのは気のせいだろうか。

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針の足音 @kdbsd011

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