第15話 事前準備は大切
手探りの状態で新しい道を開拓していくことの楽しさや喜びは、言葉では語り尽くせないものがある。
とはいえ、事前にある程度の情報を集めるのも、リスクを回避するためには欠かせない。
「友璃奈先輩、心の準備はいいですか?」
「ええ、もちろん。ちょっとやそっとじゃ怯まないぐらいの覚悟はできているわ」
エッチなことに興味はあるけど、お互い初めてだから不安がないとは言えない。だからネットの力を借りて、ちょっとばかり見識を深めよう……という考えを先ほど二人同時に思い付き、すぐさまスマホを手に取った。
具体的な行為内容はともかく、最低限のマナーやエチケットについてはきちんと学んでおく必要がある。
二人で肩を寄せ、私の手にあるスマホの画面に表示された検索結果に視線を集める。
ちなみに、私たちはさっき大浴場から部屋に戻ったばかりだ。
お風呂上がりの友璃奈先輩もすごくいい匂いで、密着していると体温まで伝わってくるから、すごくドキドキする。
情報収集という名目で、このままずっと体をくっつけていたい。
「蕾、どうしたの?」
友璃奈先輩がこちらを向き、不思議そうに訊ねる。
「ご、ごめんなさいっ。友璃奈先輩がすごくいい匂いで、うっとりしちゃってました!」
「なっ!? そ、そうなんだ……ありがと。蕾も、その……いい匂いよ、すごく」
「えへへ、ありがとうございます。飛び跳ねそうなほど嬉しいですけど、面と向かって言われると照れちゃいますね」
「お互い様よ。いいから、とりあえず一番上のサイトを開きなさい」
「了解ですっ」
顔を真っ赤にした友璃奈先輩に促され、私はスマホをタップする。
お菓子作りのレシピに似たレイアウトで、シンプルなイラストを添えて分かりやすい文章で説明してくれていた。
「なるほど、ためになりますっ」
「当たり前と言えば当たり前だけど、こうしてしっかり学んでおくと安心できるわね」
行為を始める前のエチケットや、大事なところに触れる際の注意点など、あいまいだった知識の土台をしっかりと固めることができた。
「本番が楽しみですね!」
「そうね、あたしも楽しみよ」
まだキスも未経験な私たちだけど、いまよりさらに親密になるための大きな一歩を踏み出す日は、きっとそう遠くない。
これは素敵な出会いです! ありきた @ARiKiTa9653
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