気温が暖かくなってきて、もうすぐ桜が咲くんじゃないかなって思っている。

 去年は君がいなかったけど、今年は君がいるから嬉しい。

 君の灰色のふわふわした体に、桜の花びらを乗せてみたら映えるんじゃないかな。

 そんなことを考える。

 君は嫌がって噛むかもしれないけれど。

 日だまりで寝転ぶちぎれ耳の猫を見て、今の暮らしが君にとって幸せなのか、心配になる時があるけれど、君のすやすやと眠るお腹を思い出して、花びらを乗せてみる計画を止めにして、桜の柄の小鉢を買って帰ることにした。

 君が出てこないように慎重に家のドアを開けて、手で押さえながら中腰で家の中に入るのは僕の癖になっている。

 思いもよらないところから君は現れて、僕に飛び掛かってご飯をねだるから桜の小鉢にごはんをあけてやったら、君は美味しそうに小鉢を空にして、ぺろぺろと口の周りを舐めるのが可愛い。

 君は僕の上で眠ってしまったから動けない。

 お腹が空いたなぁと思うけれど、嬉しいと感じる夜。

 桜の小鉢をそっと君に近づけてみると、やっぱり映えると思っていい気分だ。

 

 

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