彼の香り、彼の地

 しっぽのある君の匂いは、ポップコーンの匂いがするとか聞いたことがあるけど、君は違う。いつも干したての布団のよう匂いがする。

 遠い昔、夏休みのあの日、誰もいない居間の、暑さが遠くに感じるような、涼しいようなあったかいような、座布団の匂い。

 気ままに座布団から部屋に戻って、雑誌でも読もうかなと考えながら顔を埋めたふかふかの枕の匂い。

 読み終えてもぐりこんだ、ひんやりとした羽毛布団の匂い。

 ずっとこうしてたいけど、ずっとしていると熱くなってくる夏休み。

 さて、今日は何をしようかな。

 

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