第2話 春~出会い

       1


 桜の木に囲まれた高校──通称桜ヶ丘学園。今日から僕はこの学校に入学することになっている


 名前の通りで、この学園は桜が綺麗ということでも有名だった。歩くたびに桜の花びらが舞い降りてきて頬にあたったりしてくすぐったいがとても新鮮に感じる


 辺りを見渡せば同じように新しい制服にみを包んだ同級生がちらほらと見える。彼らも内心ではとても緊張しているのだろう、僕は中学の頃から友達は多かった──ただし、ほとんどが男子生徒だったが。


 僕は過去に起きた出来事のせいで女子と話すのも好きじゃなくなり、しまいには恋愛感情というものを捨て去った。友達としてなら、まだ妥協はできる。だがその先──仲良くなった先に待ち受けているであろうものには微塵も興味がなくなってしまったのだ


 中学の頃は部活は卓球をしており、女子とも話したりはあった、よく君って優しいんだねと言われるが僕は全く嬉しくはなかった。どうせ裏でなにを思っているかなんて分かっていた


 自分に自信がないのは当たり前だろう、そう思い込んでいるのが僕の人生そのものである


 「よっ! なに深刻そうな面してんだよ! 元気だせって。今日から高校生だぜ?」


 考えごとに集中しすぎて気づかなかったが気づくと隣には中学の頃の知り合いでもあり、親友の橋木翔が座っていた。なるほど、僕はいつの間にか深刻そうな顔になっていたのか


 「おはよう翔、別に。少しだけ考えごとをしてただけだよ」


 そう言うと翔は少しだけ不満そうな顔をして僕の顔をみた


 「お前は思ったことがすぐに顔に出るんだよ、一人で悩まずに何かあるなら俺に相談したらいい」


 その言葉に僕は少しびっくりして、そして笑って大丈夫だよと返した。そんなに深刻なほど悩んでいたわけでもない、別に大丈夫だ


 そっか、と翔は言いそのまま立ち上がった。そして僕の方に体を向けると


 「さ、そろそろ行くぞ。時間ギリギリになりそうだから」


 「あぁ、行くか」



          2


 入学式も終わり新1年生は各々指定された教室へと向かっていった。翔とは同じクラスで1-Bだった、しかし他に知り合いはクラスにおらず少しだけ不安を感じたがそれは杞憂に終わった


 教室に皆が入ったところで新しい担任の自己紹介から始まり次にみんなの自己紹介に入った。翔が自己紹介したときは女子から盛大な拍手があったが気にしてないようだ


 「はじめまして、水里春と言います。部活は帰宅部に入ります、よろしくお願いします」


 翔の後の自己紹介のおかげか僕にも拍手が起きていた。うん、悪くはないかな


 席に戻るときに後ろの方の席に座っていた1人の女子に視線がいってしまった、ただ思ったことは怖そうだな‥‥‥話しかけたらやばそう。であった


 そんな感じてわ自己紹介も終わり担任からこれからの説明を受けて今日の課程を終えた


 チャイムが鳴り僕は翔と話しながら教室を出ようとした──


 「なぁ、お前達もこれから遊ばない?」


 見るとどこか人懐っこい笑顔を浮かべた少し身長が小さい男子生徒が僕と翔に向けて手を差し伸べていた。その後ろには他の男子生徒数名、つまりは男だけで仲良くなろうぜ! 的なイベントらしい


 「ありがとう、翔。どうする?」


 「おー、どうせこの後暇だし行こっか」


 それを聞いた男子生徒は嬉しそうに頷いた、そうして男子12名によるカラオケ会が始まったのだ


 「ふぅー!」


 「歌うぞー!」


 何人かの掛け声と共に一気に歌い始めた男たち、ただ‥‥‥凄い、みんな歌が上手い。さすがと言ったところか


 ある程度時間がたったくらいで1度みんなで軽く自己紹介をした、僕は学校でやった自己紹介をもう一度して、何人かとLINEの交換をした

 

 「よろしくな!」


 男子生徒はみんな優しくてすぐに仲良くなれた、僕はそろそろ帰らないと行けない時間になっていたのでごめんねと言いカラオケ店から出た


 「今日は、楽しかったなぁ」


 つい独り言になってしまった誰も聞いてないはずなのでよしとする。さっそく家に向いて歩いた、途中コンビニに寄ってジュースを買ってから家に帰った


        3


 翌朝、いつもと同じように翔と並んで歩き学校に向かった。電車通学の人と何人かとすれ違っていたとき僕はまたしてもある女子生徒に目がいってしまった──なんでだろう、と僕は思ってしまった


 「春? なにボーッとしてんだよ、行かないのか」


 「あ、行くよ、ごめん。少しボーッとしてた」


 僕はさっきのことは何も考えないようにして教室へと足を運んだ。1時限目は交流会が行われた、6人班で机を合わせてトーキングをするというものだ


 そして朝みてしまった女子生徒も同じ班になった。あとは昨日仲良くなった男子生徒──隼人も一緒だった、隼人はその女子生徒と仲良く話していた


 軽く自己紹介からということで僕はまた自己紹介をした、そうして順番通りに自己紹介していき女子生徒の番になったところで


 「川上紗菜」


 と、小さい声で自己紹介をした。


 隼人は紗菜にむかって声小さいなと笑っていたがその時僕は心の中で何かが動いたような気がした


────────────────────

こんにちは、こんばんは

るいです


今回は2話目ということで、入学式と次の日の場面ですね。次回もぜひ見てください


それではまた。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君と始める物語 八雲るい @yakumorui

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ