第10話
「ねえ、」
有栖川さんが教室へ戻ろうとする僕を呼び止める。
「何?」僕は振り返り聞き返す。
「村上君は先に戻って。私と一緒に教室へ戻ると不自然でしょ。」
確かにそうだな。ただそれでは有栖川さんはきっと終礼に遅れてしまう。
「有栖川さんが先に戻って良いよ。僕は遅れても構わないから。」
彼女は、少し考えている様子だったが、少し経ってたから僕の方を見て、
「そう、分かったわ。では先に失礼する。」
そうして彼女は階段を降りて行った。
僕はその場で座り込んだ。
「はぁ〜緊張した〜。まじで陰キャの僕があんな美人の人に話しかけるのとかきつ過ぎる。」
この先ずっと話す事になるんだ。身が持たないな。
一方その頃、有栖川さんは、
「やばいやばいやばいやばいやばいやばい。
村上君とお話しちゃった。とても緊張しちゃった。変な事言ってなかったかしら…。あんなに怒鳴ってしまって、嫌われてないといいのですが。」
これから毎日村上君とお話ができるなんて、夢のようだわ。
と興奮していた。
この先ふたりの仲は急展開を迎える事を、誰も知る事はなかった。
ラブコメなんて大嫌いだ。 コッペパン @kaz0202
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