第5話 入学試験開始

とりあえず浅間は、一緒にいた男と一緒に試験に臨むことになった。

「俺は、牧田 じん。あんたは?」

(あんた呼ばわりか)

「俺は、浅間 京斗。よろしく、迅」

「ああ、よろしく、京斗」


2人が歩き始めてすぐ最初の課題に出会った。

(なんか、マイクラのアスレの実写版みたいだな)

その課題は、ブロックからブロックへと跳び移る感じだ。

(1000メートルアスレかよ!)

と、心の中でつぶやく。


「なにこれ?ここ魔法使えないんだけど」

「多分校長が、この空間を、支配領域下に置いているんだろう」

「支配領域?」

「ああ、魔法は自分の支配領域にある魔素を操って、火を発生させたりするんだ。支配領域は、魔素を自分の支配下に置いている領域のことだ」

「いや、それはわかるんだが、この空間全部支配してんのか?校長キモすぎ」


(これを魔法無しで跳べってキツイな。3メートルジャンプが何回も続いている)

走り幅跳び3メートルは、今の時代は、3000年前と比べ身体能力が上がっているから簡単だけど(今の時代はDNAが、3000年前より進化している)、2回目からは、助走距離が短くなって難しくなっている。


「行けるか、迅?」

「余裕。見てろよ」

そう言って牧田 迅は、少し助走をつけ、一歩一歩、身軽にブロックを跳び移って行く。

その姿に感心しながら、浅間も、それと同じスピードでついて行く。

彼らの周りで苦戦している人は、その様子を呆気にとられて見ていた。


「なかなか凄いな、ここまで100メートルぐらいあるんだが、迅」

「京斗もやるな。置いてきぼりにするつもりだったんだが」

「悪いな、期待に応えられなくて」

と言って、浅間はニヤリと笑った。

「じゃあ次の試練行くか」

「ああ」


2人が振り返ると、そこには大自然が広がっていた。

(3000年前のジャングルみたいだな)


「ここは、魔法使えるんだな」

と言って、手の上で火をつけてみると、

「本当か?」

と言って、牧田も手の上で火をつけた。

「さすがに校長も、この空間全域支配するのは難しかったんだろう」

「それもそうか」

「とりあえず周囲を警戒して前へ進もう」

「おお」


このジャングルは、浅間達が思っていたより険しく、10メートル程進むのにも結構時間がかかってしまう。

(あの校長は、この空間を一瞬で構築してしまったのか。余程の才能と、血が滲むような努力をして、このレベルまでたどり着いたのだろう。それに多分、まだ本気を出して無いだろう。どうやったらそのレベルまでたどり着けるのだろう)

浅間がそんな思考に囚われていると、違和感を覚えて立ち止まった。


「どうした?」

「ああ、ちょっとまってて」

そう牧田に伝え、浅間は前方3メートル辺りの草むらに、魔法で圧縮した空気をぶつけた。

「げぇ、落とし穴なんてあんのかよ。っていうか、お前よく気づいたな。俺は何にもわかんなかったわ」

「そりゃそうだ。あの校長が造った空間なんだから。一見しただけじゃ分からないよ」

「でもお前は気づいたじゃん、なんで?」

浅間は少し思案している素振りをみせ、

「んー...、なんとなく?」

牧田は一瞬呆れた様子を見せてから、

「野生人か!」

と、突っ込んだ。


「そういえば、中学校ってどこ行ってたんだ?」

不意に、迅がそんなことを聞いてきた。

「中学は、京都市立中央中学校だったけど」

(中学時代は、本当に何事も無かったなー。おかげで特訓に明け暮れることが出来た。小学時代と言えば、この世界の常識が3000年前と比べて、ちょっとづつ違ったりしたから結構苦労したなー)

「なんだ、普通の学校だったんだな」

「なんでそんな驚いた顔してるんだよ」

「いや、別に。小学校は?」

なんか露骨に話を逸らされたような気がしたが、

「えーと確か、京都府立魔法研究専門大学附属だったな」

「なんだよ、進学試験うかんなかったのか?」

迅が、からかうような口調で聞いてくる。

「いや、6年の時に退学になった」

「......え?」

「いやー、6年生の最初らへんに大学の先生の研究室に侵入して、色々いじってたら大爆発して建物とか色々壊れちゃったからね」

浅間は、苦笑いを浮かべながら、その時のことを思い出していた。

(3年生までは、ある程度様子見したりしてたから何も無かったけど、4、5年で大学生の部室にこっそり入ったりして情報収集し始めて、見つかったら先輩に怒られたなー。6年は、先生の研究室を調べる予定だったけど、1回目でミスったから予定が全部無くなって、結構マジで泣きそうになったなー)


京斗が、昔のことを思い出していると、

ヒュンッッッッ

目の前を何かが通り過ぎた。


「なんだっ!?」

「矢だな」

「まじか、今の当たったら大怪我だぜ」

「うーん、このステージ結構罠多いから早めに抜けるか」

「罠多いって言っても、ここまで300メートルぐらい進んでまだ落とし穴と、さっきの矢の2回しか無かったぜ」

「いや、そんなことは無い。ここに来るまでに10回はあった。全部対処はしたけど」

「えっ?!まじか。全く気づかなかった。ってか、それ教えろや」

「ああ悪い、次からはそうする。今から走るから付いてこれるか?」

「ああ。さっきの見てなかったのか?」

と、迅がニヤリと笑う。

浅間もそれにつられて笑い、100メートル走15秒ぐらいのスピードで、ジャングルのように木々が生い茂る中を駆け抜けてゆく。


「早すぎだろ」

迅は、小声でそう言い、難なく浅間について行く。



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在り来りな異世界ファンタジーです kocheldy2594 @koo0904

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