第13話 ひとつに・・・
ある日、御風呂からあがり着替える洋服がない事に気付き私はバスタオルで体をくるみ自分の部屋に行こうと向かっていた。
カチャ
ドアが開き飛龍と八合ってしまった。
「ご、ごめん……よ、洋服忘れちゃって…」
「………………」
無言の飛龍。
「よ、洋服着て来まーす」
グイッと片手で今迄にない力強さで力強く抱きしめられた。
ドキン
胸が大きく跳ねる。
「……飛…龍…?」
うなじから背筋に掛けて飛龍は唇を這わせた。
ゾクゾクするような感覚が走る。
抱きしめられた体を離すと両手首を掴み半回転させ頭の上で押え込まれると両肩を壁に押し付けられた。
至近距離で見つめ合う私達。
片手で両手首を押さえたまま、もう片手で私の頬に触れ優しいキスをされた。
唇が離れ、再びキスをされた。
更に深いキスをされ私の口の中を探る熱がある。
私は、それに応える。
唇が離れ首スジから鎖骨辺りまで唇が這う中、私の太ももには飛龍の大きい手がゆっくりと這う。
体がビクッと反応する。
「…ひ、飛…龍…待って…」
飛龍の手が止り、両手首が解放され私は体が下に崩れ落ちそうになり抱き止められる。
「すまない…奈月。好きな女のそんな姿を見たら…手を出さずにいられなかった…無理にしようとは思わないが…いずれ越えなきゃいけない。怖いのは最初だけだ」
「分かってる…分かってるよ…」
私の両頬を優しく両手で包み込む。
「…まだ…怖いか…?」
「…うん…」
「…そうか…」
「…ごめんね…飛龍…」
「いいや。謝らなくても良い」
至近距離で見つめ合う私達。
スッと飛龍は離れ、去り始める。
そんな私は飛龍の背中に引き止めるように顔を埋める。
このままではいけないと思ったのか無意識に体が動いていた。
「奈月……?」
「……飛龍…お願い……」
振り返る飛龍。
両手で両頬を優しく包み込むように触れる。
「……それは……覚悟の上でなのか?」
ゆっくり頷く私。
「無理強いはしない…本当に覚悟が出来た時で良い。無理はするな」
私は飛龍にキスをした。
「良いよ…私…頑張るから…飛龍が好きだから…」
「…奈月…」
「私を…飛龍だけの女にして」
飛龍は私をお姫様抱っこをすると自分の部屋に連れて行くとベットにおろす。
バスタオルを剥ぎ取り布団を被せる。
飛龍は一先ず上半身を脱ぎ布団に入って来る。
私の上に乗り抱きしめ優しい重さを感じる中、キスをし、首スジ、鎖骨、胸元と飛龍は進めていく
~ 飛龍 side ~
1つなろうと頑張る彼女。
実際、いざとなった時、どうなるか分からない彼女は不安かもしれない。
その不安をどう取り除き、どううまく接していこうかと考えながらも彼女の様子を見ながら身体に触れていく。
徐々に彼女の身体が熱を帯びていくのが分かる。
飛龍はいざこうなった時、何も分からない子供の私に不安を取り除くように触れていき、いつになく優しい飛龍に私の胸はドキドキしっぱなしだ。
一緒に住み始めて体をならすように1つになる前迄のシミュレーションをしていた。
時々、頭がおかしくなるような感覚を感じながら。
そんな男の人はこうなるんだという飛龍の身体の変化を私は目の当たりにしてきた。
おかしい話、体の関係になる迄の教育係りみたいなものだ。
飛龍は辛かったかもしれない。
「奈月……」
熱っぽい視線で見つめる飛龍に胸がざわつく。
至近距離で私の名前を呼ぶと飛龍が私の背中を抱きしめた。
「少しの間我慢するんだ。いいな」
「……うん…」
怖かった。
肩に手をかけグッと手に力を込める。
ゆっくりゆっくりと私の身体に痛みが広がっていく。
「……っ……」
「…奈月…良く我慢したな…痛かったろ?なれるまではしばらくは辛いかもしれないが……そのうち痛みはなくなる」
「……うん…」
私は飛龍に抱き付いた。
「これでお前は俺だけの女だ!やっと1つになれたな」
「…うん…飛龍…ありがとう……それから……ごめんね……身体重ねられなくて辛かったよね……」
「気にするな……その分、待った甲斐があった」
「……飛龍……」
「お前とこうして1つになれたんだ」
私は飛龍に全てを委ねた。
「…奈月…愛してる」
ドキン
「飛龍…」
「これからも俺の傍にいろ!」
「うん…」
私達はキスをした。
~ 飛龍 side ~
一つ大人になった彼女が特別綺麗に見えた。
これが子供から大人になった瞬間なのだろうか?
改めて彼女の存在が俺にとって特別になった事が凄く嬉しかった。
次の日の朝。
「……ん……」
ドキッ
私の目の前に飛龍の顔があり驚く私。
≪そうか…昨日…私達≫
昨日の記憶が蘇る。
私の不安を取り除くように飛龍のいつも以上の優しさが凄く嬉しかった。
私は飛龍に触れようと手を伸ばす。
グイッと私の手を掴むと押さえ優しい重みを感じながら私にキスをした。
ドキッ
まさかの飛龍の反応に驚き胸が大きく跳ねた。
見つめ合う私達。
もう一度キスをされ深いキスを何度もされ唇が離れる瞬間名残り惜しむかのように私は声が洩れた
「……可愛い過ぎだ……昨日の続きをするか?」
ドキッ
「えっ!?」
グイッと両手を掴み私の身体に飛龍の唇が這う。
「飛龍…待って…」
「嘘だ」
「えっ?」
「お前の体を負担かけるような事はしない」
「…飛龍…」
「出掛けるか?」
「えっ?あ、うん…」
私は起き上がる。
「あっ!…洋服…」
私の体を毛布でくるむ。
「部屋までそれで行くと良い」
「ありがとう」
私の頭をポンポンとする。
ドキン
私は立ち上がり歩き始める。
「……!!」
≪な、何か違和感…≫
私は立ち止まる。
「奈月…どうしたんだ?」
言葉では言い表せないような違和感のある痛み。
何と言うべきか……?
お腹の下が引き裂かれたような?
とにかく何か違う。
「奈月?」
「飛龍…お腹の下…痛い…」
「お腹の下?」
「何か引き裂かれたような…」
「それは、つまり女になったからだ。今だけだ。そのうち痛みはなくなる」
「本当に?」
「まあ、今日は1日違和感あるかもしれないが……」
「えっ?」
「出掛けるのは辞めておくか?」
「行くよ!行くけど……」
頭をポンポンとする飛龍。
「無理はするな」
「デートするよ」
「分かった。じゃあ出掛けるが何か不安や心配があったらすぐに言え。良いな」
「うん…準備してくる」
「ああ」
そして私達は出掛けた。
私達の出会いは良くなかったかもしれないけど、これからも宜しくね飛龍♪
記憶のパズル ~ パズルの破片(かけら)を探しに ~ ハル @haru4649
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