愛を力に変えながら

over the night.

「ねえねえねえ」

「うおっ」

　突撃する娘に吹き飛ばされる父親。

　かろうじて母親が二人を抱き留める。

「どうしたの？」

「こいびと。できた。同性」

「おお。おめでとう」

「あれ。おかしいわね。夢と違う」

「夢？」

「こっちの話よ。おてて洗ってきなさい？」

「あっ。わすれてた。洗ってくる」

　子供が駆け去っていく。

「予知夢。変わったね」

「あなたのアドバイスが未來を変えたんじゃない？」

「なら、よかった。よりよい方向へ向かっているならなおさらだ」

「あの子も成人してるし、もしかしたらスピード婚とかしちゃうのかしら？」

「それはなんかさびしいなあ」

「大丈夫よ。さびしくはないわ」

「て。あらってきた」

「おお。よくできました」

「ここで、愛する娘と愛する夫に重大発表です」

「はい」

「なんでしょう」

「おかあさんのおなかのなかに、ひとり、います。ふたりめのこどもです」

「えっ」

「まじか」

「祝えっ」

「おとうさん。おかあさんと。したの？」

「え、そこ訊（き）く？」

「したわよ」

「おかあさんやめてはずかしい。おとうさんはずかしいよ」

　すべての違いを越えて。

　家族は、この時代を生きる。

　愛を力に変えながら。