第3話 140字三題噺:ガラス・蝉・札束

 夏祭りの夜店に吊るされたアクリルの中、目線より高い地を這うセミに、千円札を握りしめた日を憶えている。7日に満たない命の値段としては明らかなぼったくりに、けれど今でも私はカバンに詰まった札束を握る。ガラスの向こう、点滴まみれで渾々と眠るキミを見つめつつ、命の日割りを数えている。

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タン・ペン・シュー 七橋 @nanananananana

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