第2話 140字三題噺:カプセル・指・砂

 父は形見の金属カプセルに甲子園の土を入れたらしい。嘘だ。開けてみたけど空っぽだった。息子の手前見栄を張ったのだろう。せめて唯一残った嘘は本当にしてやろうと荒れ果て朽ちた球場を見つけたが、砂と化した土は掬うそばから指を抜け、馬鹿みたいに掬い続ける自分も父と同じ見栄っ張りだと気付く。

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