第2話 マジで沖田総司になってる!?
俺、
平凡な人生を送り、唐突に癌宣告を受け、そして死にそうになっていたのに、なぜこうなった。
「総司、元気ないな。やっぱ昨日はしゃぎすぎだって」
「お前が言うなよ。お前だって騒いでいただろ、平助」
「何だと、左之さん。聞き捨てならねえ」
「煩い! 黙って食え!!」
目覚めたら目の前にいた土方が、からかってきた二人を一喝している。その二人は、呼ばれた名前から推察するに、俺の知識が正しいならば
藤堂平助はイメージどおりの闊達な少年という感じ。原田左之助は大きく着物をはだけさせ、胸筋を強調している細マッチョだった。
っていうか、がっつり新選組じゃん。
俺は朝食を前に頭を抱える。
ってか、旅の途中であるらしいこと、誰もあの有名なだんだら模様の
ということは、俺は今、この人たちと京都に向おうとしているってことで・・・・・・しかも、認めたくないことに自分は沖田総司であるらしい。
「うっ」
ちょっと待て、なぜよりによって沖田総司。
沖田総司といえば美少年のはず。そして剣の腕は桁外れ。しかも新選組では一番隊隊長という重要ポジションの人だ。
おい、今、俺の顔はどうなっているんだ。美形なのか。着物も何となくで着ているこの俺は今、どうなっているんだ。ちゃんと剣の腕は凄いんだろうな。
しかも沖田総司って早逝するじゃん。転生しても、やっぱり二十五くらいまでしか生きられないってこと。
な、なんという最悪のパターン。せっかく意味不明ながらも転生、しかも幕末に生きられるというのに、タイムリミットが短い。
さらにこの時代でも肺病に悩まされろと。
酷いよ。もしも神がいるのならば、なんて酷い仕打ち。
俺は頭を抱えたままうんうんと唸ってしまう。
「総司、頭痛か。なら、
「だ、大丈夫です」
歳三の申し出をすぐに断ると
「いつも通りじゃん。大丈夫だな」
「拙いもんな、石田散薬」
藤堂と原田が独特の納得をしている。
ああ、そこ、小説や漫画で描かれるとおりに激マズなんですね。
唯一の救いは俺がこの幕末が大好きだということか。おかげでそれなりに知識はあるし、新選組のメンバーは大体記憶している。みんなの会話や見た目から、大体推測することも出来るということだが――
「どうなっちゃうの」
これから起こる数々の試練も知っているわけで、すでに暗澹たる気持ちにしかならない。
「ん」
しかし、いい部分もあるかも。
なんてったってあの新選組だ。この時代では負け組かもしれないが、後世、華々しく描かれ人気がある人たちと一緒にいられる。それも生で新選組が出来上がり、活躍する様を見られる。
さらに考えれば、転生先が同じく肺の病気で死ぬ
「やるしかないか」
俺は何とか自分が沖田総司ポジションであることを納得させ、ようやく朝ご飯に箸を伸したのだった。
さて、朝ご飯が終わったらすぐに出発だった。
俺たちの試衛館の集団の先頭を歩くのは土方歳三で、その後ろを
「マジで江戸時代だ」
街道沿いの町並みを見て、俺は呆然としそうになる。だが、今はこの先のことをちゃんと思い出しておかなければならない。
浪士組として京都に向う旅の途中ということは、現在は
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