俺の最推しは隣人でした。 3

「ふ〜ん。海外かぁ……。少し憧れるけど、やっぱりちょっと不安だよねぇ」

「そうなんだよなぁ。旅行ならまだいいけど、その土地で暮らすってなるとねぇ」

「そもそも裕也はパスポート持ってんのか?」

「そういや持ってねぇな。着いていくなら作るしかないな」


 夏乃に事情を話し、そのままだべっているとチャイムが鳴ったので、夏乃と雄一は自分の席に戻った。


「うぉ〜い席につけぇい。出欠取るぞ」


 教室の前のドアを開けて入ってきたのは、若い男性だった。

 笹倉浩二ささくらこうじ。俺らが1年C組の担任で、数学教師である。

 少し伸ばした顎髭が特徴で、パッと見は20代で、若く見えるが実は35歳らしく、愛煙家なのだが、毎回買う度に年齢を聞かれるのが面倒だと、最初の自己紹介で言っていた。


「お、裕也。聞いたぞ。転校すんのか?」

「俺も朝言われたばっかなのに、判断なんて出来ませんよ。てか話はいるの早いですね」

「まぁそういう大事な話はすぐこっちに入れてもらわないと諸々手続きあるからな」


 何で学校には気が利くのに、俺には無かったんだ母さん……。

 そんな中、授業なんて頭に入らず俺はその日、板書するだけのロボットと化し、一日をすごし、放課後となった。


「そういや、裕也。ふと思ったんだがよ」

「んぁ?どした。」


 鞄に教科書やらノートを閉まっていると、雄一が声をかけてきた。


「お前……。海外出たらアニメ見れなくね?」

「よし!!!!!一人暮らしだ!!!!!!!!!!!」


 その時、俺は今年1の大声が出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺の最推しは変態でした。 黒夜 @Nightsky413

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ