オーメン三銃士を連れてきたよ

下垣

ラーメン食べたい

「やだやだぁー。勇者強すぎ。勝てない。やだやだー」


 魔王は玉座で駄々をこねていた。側近の魔大臣は呆れた表情で魔王を見下していた。


「魔王様。そう駄々をこねてばかりではなにも解決いたしませぬ。ここは1つ。わたくしめにお任せを」


「おーけい。任せたぞ魔大臣」


 そして、3日後。


「オーメン三銃士を連れてきました」


「オーメン三銃士?」


「呪術の専門家ロック」


「うっす、よろしく」


「悪魔召喚の専門家シックス」


「がんばります、よろしく」


「ネクロマンサーのムッツ」


「よっす、どうも」


「わあ、とっても強そうだね」


 魔王はオーメン三銃士を見てキャッキャと喜んでいる。


「彼らは全て魔界最高峰のレベル6モンスター。それが3人いる。故にオーメン(666)」


「わーい。これなら勇者に勝てそうだね。風呂入ってくる」


 魔王は脱衣所に行く前に服を脱ぎ、そのまま脱衣所に向かっていった。魔大臣は魔王が脱ぎ散らかした衣服を回収して、こっそり匂いを嗅いだ。


「では、頼んだぞ。オーメン三銃士」


「御意。ではいつものあれやるぞ!」


 オーメン三銃士は帯刀していたレイピアを引き抜き、それを天に掲げて交わらせた。


『一人はみんなのために、みんなは一人のために』



 勇者は、魔法使い、僧侶、賢者という非常にバランスの取れたパーティを率いて、魔界へと進行の手はずを整えた。


「ふははは! 勇者よ! よく来たな! 私は魔界の門番ケルベロスだ! レベル5のモンスターだぞ! どうだ! 参ったか!」


「うるせえ!! 死のう!!」 ドン!


 勇者の一喝でケルベロスは死んだ。勇者は強かった。気合だけで人を殺せるレベルで強かった。


 だが、その気合の余波で、魔法使い、僧侶、賢者は全員死んだ。でも戦力的にはなんの問題もない。勇者は最初から全ての魔法を使えるチート性能だからだ。特定の魔法しか使えない魔法使い、僧侶はもちろん。勇者専用魔法は使えない賢者など物の数に入らない。


「なんでついてきたんだよこいつら……」


 勇者は蘇生呪文を唱えた。魔法使い、僧侶、賢者が生き返った。そして蘇生呪文の余波でケルベロスも生き返った。


「くくく、バカめ! 勇者よ! この私まで蘇らせるとはな! 仲間を見捨てられない甘い性格! それが貴様の弱点だ!」


「黙れ!!」 ドン!


 勇者の一喝でケルベロスは死んだ。勇者は強かった。気合だけで人を殺せるレベルで強かった。


 だが、その気合の余波で、魔法使い、僧侶、賢者は全員死んだ。でも戦力的にはなんの問題もない。勇者は最初から全ての魔法を使えるチート性能だからだ。特定の魔法しか使えない魔法使い、僧侶はもちろん。勇者専用魔法は使えない賢者など物の数に入らない。


「なんでついてきたんだよこいつら……」


 勇者は蘇生呪文を唱えた。魔法使い、僧侶、賢者が生き返った。そして蘇生呪文の余波でケルベロスも生き返った。


「くくく、バカめ! 勇者よ! この私まで蘇らせるとはな! 仲間を見捨てられない甘い性格! それが貴様の弱点だ!」


「どけ! 邪魔だ」


 ケルベロスの背後から現れた魔大臣。彼がすれ違い様にケルベロスの全身の骨を抜き取った。ケルベロスは骨なしになってそのまま糸が切れた人形のようにぷつりと事切れた。


「な! 貴様! 仲間を殺すだなんて酷い奴だな! 許せん!」


 勇者は仲間を平気で殺す魔大臣にご立腹のようだ。


「私は魔大臣。魔王様の側近だ。魔界ではかなり偉い立場だ」


「魔王の側近が直々に挑んでくるだなんて、魔界の人材不足は深刻なのか? それとも俺が魔族を倒しすぎたのか?」


「ほざけ。勇者ごときが吠えるんじゃあない! 私が貴様の相手などするわけがないだろう。間抜けが! 常識で考えろ! 阿呆が! 脳みそ詰まってるのか? バカが! 小学生からやり直せ! 低能が! このウンコ製造機」


「ひどい……そこまで言わなくてもいいのに」


 勇者のメンタルは弱かった。


「ごめんね。私も言い過ぎた」


 魔大臣は反省した。


「うん。いいよ」


 勇者と魔大臣は仲直りした。


「ところで勇者よ。貴様の相手をするのは私ではない。この魔界最強の3人。オーメン三銃士だ!」


「オーメン三銃士?」


「呪術の専門家ロック」


「うっす、よろしく」


「悪魔召喚の専門家シックス」


「がんばります、よろしく」


「ネクロマンサーのムッツ」


「よっす、どうも」


「こいつらは魔界でも最高峰のレベル6モンスターなのだ。どうだ参ったか? レベル6のモンスターが3体集まる。故にオーメン三銃士なのだ!」


「なんだって! モンスターはレベル5が最大ではなかったのか!」


 人間の常識では魔界のモンスターはレベル0からレベル5までの範囲で構成されていると思っていた。だが、そのレベル5を遥かに超えるレベル6という存在に勇者も流石に動揺は隠せない。


「さあ、行くがよい! オーメン三銃士よ! 勇者を完膚なきまでに叩きのめすのだ!」


「呪術の専門家ロック参ります。はぁ!」


 ロックは勇者に向かって手をかざした。ロックの手から紫色の波動が飛び出して勇者の体を取り囲む。


「こ、これは……!」


「ふふふ。俺の呪いさ。これで貴様はもう金縛り状態になった。もう動けまい!」


 自信満々に言うロック。しかし、勇者は次の瞬間、普通に動いてロックにボディブローをかました。


「ぐは……ば、ばかな! なぜ動ける! なぜだ! どうして! どうして!」


「俺さ呪いが効かない体質なんだよね」


 勇者は女神から祝福を受けている存在であるため呪いは効かないのだ。呪術の専門家ロックは勇者にとって相性が悪い存在だということだ。


「すまない。シックス……ムッツ……俺の力及ばなかったばかりに」


「案ずるなロック。この悪魔召喚の専門家シックスが勇者に引導を渡してくれる」


 シックスは魔導書を開いた。すると魔導書の中から悪魔が飛び出てきた。


「我を呼び起こすのは貴様か」


「いかにも。我が名はシックス。貴様の力を借りたい」


「よかろう。我もグリモワールの中に閉じ込められて退屈してたところだ」


 悪魔が勇者に向かって突撃した。悪魔の鋭利な爪が勇者の体を引っ掻こうとする。しかし勇者は爪を受け止めて悪魔の指を折った。


「びぎゃああ。わ、我の指がああ!」


「この悪魔……実力はレベル4と言ったところか。なにが悪魔召喚の専門家だ。自分より弱い悪魔を出してどうする」


「く……打つ手なしか……」


「ふん。どいてろシックス」


「ムッツ!」


「このネクロマンサーのムッツが勇者に引導を渡してくれる」


 ムッツが呪詛を唱えると先程骨を抜かれたケルベロスが蘇生した。


「がるるるる」


 ネクロマンサーの屍術により蘇ったケルベロスは自我を失う代わりに強化された。ただでさえレベル5で強いケルベロスが強化されてもっと強いケルベロスになったのだ。


「勇者をこのままにしてはおけない。だからこそ、勇者はこのままにしてはおけない」


 ケルベロスは気が狂ってる構文を口にして、勇者に飛び掛かった。


 勇者はケルベロスにパンチを食らわせて一撃で倒した。


「な!」


 ムッツは驚いた。まさか自分のネクロマンサーの術が通用しないとは思いもしなかったからだ。


「お前バカか。ケルベロスのレベルは5。自分より弱いやつを蘇生してどうする」


「確かに。全く気が付かなかったぞ」


 勇者は三銃士の妙な術を全て打ち破った。これで勝利は決まったかに思えた。しかし……


「ええい! 諦めるな。勇者に立ち向かうぞ!」


「おー!」


 三銃士は勇者に向かって突撃した。勇者はやれやれと言った感じで三銃士を相手にしようとした。


 結果、勇者は負けた。やっぱりレベル6の三銃士は規格外に強かった。それが3人もいたら勝てるわけがない。


 結論、三銃士は術を使わない方が強かった。呪術使いのロックはともかく、自分より弱いやつを操っても意味がないことをシックスとムッツは学習した。かしこい!


 ちなみに三銃士は勇者を倒せとしか言われてないので、魔法使い、僧侶、賢者を見逃した。後日、僧侶の蘇生呪文で勇者は復活しましたとさ。やさしいせかい

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オーメン三銃士を連れてきたよ 下垣 @vasita

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